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ラグビー コラム 2022年8月21日

【ハイライト動画あり】女子アイルランド代表との第1戦 サクラフィフティーン、攻守にミス多く完敗

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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ラグビー女子日本代表テストマッチ2022

女子アイルランド代表からの初勝利を狙った女子15人制ラグビー日本代表(サクラフィフティーン)だったが、力の差を見せつけられる敗戦となった。8月20日、静岡県袋井市にある小笠山総合運動公園エコパスタジアムで行われた一戦は、午後7時3分、サクラフィフティーンのキックオフで始まった。個々の体格、パワーで優るアイルランドは、密集サイドを力強く前進。先手を取ろうとしたが、ここでサクラフィフティーンは的確にタックルを決め、相手のミスを誘う。

前半3分、相手陣22mライン内に入った右中間スクラムからの攻撃では、SO大塚朱紗とCTB松田凛日がクロスして松田がディフェンスを突破。素早くサポートしたFL細川恭子がゴールに迫り、ゴール前の密集サイドをFL鈴木実沙紀がついて先制トライをあげる。鈴木はこの日が30キャップ目という節目で自ら記念の試合を祝った。

WTB今釘小町のトライ

WTB今釘小町のトライ

その後もサクラフィフティーンは速いテンポで攻め、前半6分、ラインアウトからの攻撃でNO8永井彩乃がタックラーをずらしながら抜け出し、松田がつないでWTB今釘小町がインゴールに走り込んだ。その後もサクラフィフティーンは素早いテンポで攻め、11分に大塚がPGで加点。15-0とリードを広げる。この夏のテストマッチシリーズで初登場のFL細川は得意のジャッカルを決めて反則を誘うなど、序盤はサクラフィフティーンの良いところばかりが目立った。

流れが変わったのは、前半17分のアイルランドのトライだった。サクラフィフティーンのゴールラインまで15mほどの位置でのラインアウトからモールを押されてトライを奪われたのだ。「アイルランドがモールで来るのは分かっていたが、対応できませんでした」(南早紀キャプテン)と、ずるずると押し込まれてしまう。

ここからサクラフィフティーンに反則、ミスが続き、再び攻め込まれて自陣でのスクラムとなる。前半23分、スクラムからのディフェンスでは、アイルランドのCTBエンヤ・ブリーンの突破を許し、懸命にタックルするもオフロードパスをつながれ、WTBイーファ・ドイルにトライを奪われた。スコアは15-12。前半終了間際にはCTBイーファ・ダルトンに縦に切り込まれてトライされ、15-19と逆転を許す。その後もサクラフィフティーンはこの両CTBのランニングスキルの高さに苦しめられることになった。

【ハイライト動画】日本 vs. アイルランド(8月20日) |ラグビー女子日本代表テストマッチ2022

後半の立ち上がり、なんとか流れを変えたいサクラフィフティーンだったが、いきなりアイルランドFLエデル・マクマホンにジャッカルを決められる。このPKからタッチキックを選択され、ラインアウトからのモールでHOニーヴ・ジョーンズに2つ目のトライを奪われた。スコアは15-24。それでも、後半4分、サクラフィフティーンはアイルランドボールのスクラムを猛プッシュして反則を誘う。反撃の狼煙を上げたように見えたが、その後の攻撃がつながらない。アイルランドはオフロードパスを次々に決めながらボールをつないだが、サクラフィフティーンはハンドリングエラーが多かった。

後半10分には苦しめられていたモールを止めるなど、良いプレーも出るのだが、直後にミスが出るなど、良いプレーが続かない。13分にもモールからジョーンズにトライを献上し、15-31。17分、両CTBにディフェンスを崩され、FBメイブ・デーリーに走られて、15-38と突き放された。サクラフィフティーンのディフェンスには明らかに迷いがあった。

後半22分に交代出場したSH阿部恵はPKから躊躇なく速攻を仕掛けるなど攻撃をテンポアップさせた。23分にはゴール前のPKから交代出場のPRラベマイまことにパス。ラベマイはタックルを弾き飛ばしながらポスト下にトライ。22-38としたが、サクラフィフティーンのスコアはここまで。その後も失点を重ねた。「自分たちのテンポを出せず、相手のアタックを受けてしまいました。スクラムも、ほとんどが相手との駆け引きに負けてしまった。ラインアウトも自分たちのミスから相手ボールにしてしまいました」と南キャプテンは反省の弁。レスリー・マッケンジーヘッドコーチは、この日30キャップとなった鈴木、齊藤聖奈を最初に祝福したが、試合内容を語るときになると悔しそうな表情を見せた。「課題は明確です。きょうは自分自身でプレッシャーをかけてしまっていた」と攻守にミス、反則で流れを渡してしまったことを課題にあげた。

8月27日の最終戦(秩父宮ラグビー場)までに、連携を欠いたディフェンス、圧力を受けたセットプレーなど、どこまで修正できるか。10月、11月、ニュージーランドで開催されるラグビーワールドカップに向かって、次の試合は最後のテストマッチとなる。現状のベストのパフォーマンスで手ごたえをつかんでもらいたい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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