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ラグビー コラム 2022年8月19日

強力FW擁する東海大に、新スタイル構築を進める同志社大が挑む。菅平合宿練習試合プレビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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8月も後半に入り、夏合宿の聖地・菅平では大学チームのトレーニングマッチが本格化してきた。秋のリーグ戦の開幕を間近に控えたこの時期のゲームは、各校の仕上がり具合をチェックするとともに、今季の力関係を見極める絶好の機会でもある。地域やリーグをまたいだ注目カードが連日組まれており、公式戦シーズンとはまた違った楽しみの多い季節といえるだろう。

そうした中、8月21日にはサニアパークで東海大対同志社大の一戦が行われる(11時キックオフ)。昨年度大学選手権4強の東海大は、今春の関東大学春季大会Aグループで4勝1敗の2位という成績を残しており、5連覇がかかる関東大学リーグ戦に向け足取りは順調という印象だ。一方の同志社大も社会人の強豪サントリーで名将の薫陶を受けてきた宮本啓希氏を新監督に迎え、名門復活に向け意欲的に変革を進めている。互いにこれが菅平での最初の練習試合ということもあって、さまざまな面で見どころの多いゲームとなった。

東海大は春季大会最終戦で帝京大に21-59と敗れ優勝こそ逃したものの、明治大(43-24)、早稲田大(38-29)と対抗戦の伝統校を撃破。同じ関東リーグ戦に所属する大東文化大(59-40)、日本大(50-17)にも危なげなく勝利し、今季も覇権争いの一角を担う存在であることを証明した。下級生時からチームを牽引してきた主軸が数多く卒業したものの、頑健なフィジカルを押し出し攻守ともコリジョン局面で激しく体を張るクラブのカルチャーは、CTB伊藤峻祐キャプテンが牽引する今季のチームにもしっかりと受け継がれている。

特に目を引くのはFWの支配力だ。LOワイサケ・ララトゥブアやFLレキマ・ナサミラ、FLアフ・オフィナらパワー自慢の留学生と、副将のNO8井島彰英で形成するバックファイブは、学生随一のサイズと推進力を誇る。メンバーが大幅に入れ替わったフロントローも、2年生PR本田啓らの台頭でセットプレーの安定感が高まってきた。

東海大学

多彩なスキルに視野の広さを兼ね備えたプレーメーカー、SO武藤ゆらぎがリードするBKにも、楽しみなランナーが並ぶ。FWが前に出て作り出した外のスペースを、WTB岡村優太、WTB中川湧眞らスピードあるフィニッシャーが自由に走り回る展開になれば、相手にとっては脅威だろう。万能プレーヤーの谷口宜顕をどのポジションで起用するかという点も、注目ポイントのひとつだ。

対する同志社大は関西大学春季トーナメントの初戦で立命館大に14-57と完敗を喫するなど春は苦しい戦いが続いたが、新体制での産みの苦しみという側面があったのも確かだろう。実戦を重ねるごとにゲーム内容は良化しており、春季トーナメント最終戦では摂南大に52-27と完勝。ブレイクを挟んで迎える夏合宿でどんなパフォーマンスを披露するか、周囲の期待は大きい。

「同志社のDNAはアタック」と語る宮本新監督のもと、春から苦しい状況で厳しいプレーを選択して動き勝つスタイルの構築を進めてきた。また授業が始まる前の早朝に全体練習を行い、午後の時間をウエートトレーニングにあてることで、最大の課題だったフィジカル面の強化にも注力。留学生のような飛び抜けたサイズや突破力こそないもののバランスのとれた実力者が各ポジションにそろっており、コンタクト局面で互角に渡り合う地力がつけば、チームとして躍進を遂げる可能性は十分ある。

メンバーを見ていくと、FWはキャプテンのLO/FL梁本旺義を筆頭に昨季のレギュラー8人中5人が残った。特にPR山本敦輝、HO西濱悠太、PR李優河とフロントローに試合経験豊富な選手を擁する意味は大きく、布陣が整えば力のあるパックに仕上がりそうだ。ビッグネームが数多く卒業したBKも高校時代から全国に名を馳せてきた俊英がひしめいており、ポテンシャルは高い。春の公式戦でデビューを果たしたNO8林慶音、SO大島泰真ら期待のルーキーたちが、タフな戦いでどんなプレーを見せるかも楽しみだ。

ゲームの焦点としては、接点やセットプレーでプレッシャーをかけにくる東海大に対し、同志社大がどこまでフィジカルバトルで対抗できるかが一番のポイントになるだろう。大型FWが激しいヒットでたたみかける展開になれば、試合はおのずと東海大ペースで進む。同志社大にすれば攻守とも前に出て相手の勢いがつく前に体を当て、スピードと運動量で上回る流れに持ち込みたいところだ。

練習試合とはいえ、夏合宿の初戦でいいスタートを切ってチームを上昇気流に乗せたいというのは、両校に共通する思いのはず。ここで浮かび上がる課題と収穫が、この先の戦いにつながるトライアンドエラーの起点にもなる。今後を左右するそれぞれの第一歩に注目したい。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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