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東芝ブレイブルーパス東京のスピリッツ
8月15日(月)、リーグワンに向けて本日から全体練習を開始した昨季4位の東芝ブレイブルーパス東京が、チーム編成に関する会見をオンラインで行った。登壇者は事業会社(東芝プレイブルーパス東京株式会社の)荒岡義和社長、強化担当である薫田真広GM(ゼネラルマネージャー)、今季で4シーズン目となるトッド・ブラックアダーHC(ヘッドコーチ)の3人だった。
まず、荒岡社長は「リーグワンの1stシーズン、目の前をとにかく猪突猛進、走り抜けた感じです。昨季は6年ぶりのベスト4という結果を残すことができました。ただ、昔のブレイブルーパスとしては、ベスト4は当たり前。ようやくスタート地点に立った」。
「強さだけではなくて、求められているものは唯一無二のチーム。世界で有数のユニークなラグビーチーム、ラグビークラブになろう。チームも運営もそういう姿を目指していこうと、私の中ではイメージとして考えました。マインド、考え方を変えることで、世界有数のユニークなラグビークラブチームになることで、人気と実力を兼ね備えたチームとして、長く君臨できるだろうというスタートの年にしたい」と挨拶した。
新シーズンに迎えるにあたり、荒岡社長は「唯一無二のチームになるため」に、それをいっしょに具現化してくれる人として、プロデューサーという肩書きとして元広告マンで高校ラグビー界でも知られた星野明宏さん(元静岡聖光学院校長&ラグビー部監督/元静岡県ラグビー協会代表理事)を招聘。星野氏は強化部門、運営部門、経営企画のそれぞれに机があり、横串でチーム改革に尽力しているという。
続いて薫田GMは「昨季は中盤からチームに力が出てきた。しかし、プレーオフでは1勝もできなかった。トッド体制として4シーズン目を迎えますが、新たなチャレンジ、そしてチームが大きく変わるために、今、大きな変革をしています。その1つとして、チームのスピリッツを言語化することを始めています」。
左から薫田GM、荒岡社長、ブラックアダーHC(写真提供:東芝ブレイブルーパス東京)
「チームスピリッツとして、選手、チームがグラウンド内外で常に立ち戻る場所を明確にし、我々の現在のチーム、選手、スタッフ、73年の歴史のある先人たちにご意見をいただき、東芝らしさ、東芝府中、東芝のDNAとは何かと選手、HCと見つめ直し、言語化に至った」と説明した。
東芝ラグビーのDNAと、ブラッアダーHCが築き上げている近代ラグビーを共存しているハイブリッドな言葉として選んだのが「猛勇狼士」だった。現役の選手たちだけでなく、OB会を通じて、OBの500~600名にもアンケートを取った上で定めた。
中2文字の勇狼はブレイブルーパス。最後の「士」という言葉には紳士、侍という意味もあるため、「グラウンド内外で、紳士たるもの、そして侍の精神を持った武士という姿を見せよう」という意味が込められた。
さらに選手、チームが体現し、姿勢を表す言葉として、ファンの共感をもてるように「我ら、接点無双、猛攻猛守の紳士なり」という言葉も加えた。「もう一度、東芝らしさを考えたとき、一番多かった言葉は『接点で勝つ』でした」。
「守るだけでなく、HCが作り上げている攻め続けるラグビーを意味する言葉として『猛攻猛守』、そしてグラウンドの外でも見本になるような、ラグビーが持つパッションと高潔さを体現できるように『紳士なり』という言葉にさせていただいた」(薫田GM)。
猛勇狼士~我ら、接点無双、猛攻猛守の紳士なり
さらに薫田GMは「猛勇狼士~我ら、接点無双、猛攻猛守の紳士なり~」という言葉は我々の魂の言葉です。そして我々のラグビースタイルを表す言葉です。今季、すべての試合で選手たちがこれを体現し、スタジアムでお見せできるように、ここに誓います。またファンの方々に我々のユニークさが伝わり、この言葉により、1つ1つのプレーをより理解して試合を楽しんでいただけると思います」と語気を強めた。
続いて薫田GMは新体制も発表した。5名が新任、役職変更が1人となった。HCは引き続き、ブラックアダーHCが務め、コーディネーターだったジョー・バラカットは、プレミアシップのバースへ移籍したため、後任には森田佳寿がコーチングコーティネーターとなった。BK(バックス)コーチには新任として、オークランドを中心に活動してきたダン・ボーデンが就任した。
ブラックアダーHC(写真提供:東芝ブレイブルーパス東京)
一昨季、昨季に続いてFL(フランカー)徳永祥尭と、SH(スクラムハーフ)小川高廣の2人が共同キャプテンを務める。ブラックアダーHCは「小川、徳永は昨季も素晴らしい仕事をしてくれました。キャプテンという2人がいることで、新しいラグビー、新しいリーグに上手く適応できた。2人は本当に信用できるメンバーだし、彼らはチームを第一に考えてくれる。組織からも尊敬されている人間であるし、選手としてもどんどん良くなっている」と信頼を寄せた。
新加入選手として天理大学やNTTドコモレッドハリケーンズ大阪で活躍したPR(プロップ)山川力優、白鴎大学時代はCTB(センター)だったPRタウファ・ラトゥが加わり、46名で今季は戦う。「昨季は52名でしたが、今季は46名の少数精鋭で戦って参ります。12年ぶりの日本一に向けて活動していきたい」(薫田GM)。
4シーズン目を迎えるブラッカダーHCは「自分たちとしてはイノベーションをどんどん打ち出して、スマートに、判断できる選手をたくさん抱えてやっていきたい。チームが強い信念をもって動いているとわかる状況にしたい」。
「過去を振り返るとすべての面で成長できた。私としては異なったアタッキングストラクチャーを導入したいと思っています。ディフェンスもさらによくできると確信している。FW(フォワード)コーチのサム・ワードが2年目になりますが、FWパックはかなり成長できると思います。革新性なラグビーに取り組みたいと思います」と意気込んだ。
会見当日から全体練習がはじまり、9月中旬にはすべての外国人も来日し、本格的に始動する。12月のリーグワン開幕までに強豪中心に10試合のプレシーズンマッチを予定しており、10月末には例年通り、鹿児島でのキャンプも実施する。ラグビー面だけでなく、事業面でも革新的な施策を行い、来月にも再び会見を行うという。
12シーズンぶりの日本一、そして世界に轟く「唯一無二のユニークなラグビークラブ」になるために東芝ブレイブルーパス東京の新たなチャレンジが始まった。
文:斉藤健仁/写真提供:東芝ブレイブルーパス東京
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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