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ラグビー コラム 2022年7月8日

32歳でさらに進化する「笑わない鉄人」稲垣啓太、フランスとの第2戦に挑む。ラグビー日本代表

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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突破を見せるPR稲垣啓太

「鉄人」と呼ぶにふさわしい活躍を見せている選手がいる。それは2019年ラグビーワールドカップで「笑わない男」として一躍有名になった、日本代表41キャップを誇るPR(プロップ)稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)だ。7月9日(土)、東京・国立競技場でラグビー日本代表はフランス代表との第2テストを戦うが、当然、稲垣は3試合連続で1番をつけて先発する。

日本の第1列、右から坂手主将、稲垣、ヴァル

ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)も、稲垣を含めた、PRヴァル アサエリ愛、HO(フッカー)坂手淳史の3人に対して「私が来てから(日本代表として)ずっとプレーしている。フロントローとしてチームを引っ張ってほしい。今週もセットプレーが重要なので、彼らの活躍に期待したい」と語気を強めた。

2015年、日本人のPRとして初のスーパーラグビー選手となった稲垣は2019年ワールドカップでは5試合全てに先発し、ベスト8に貢献。2021年からのテストマッチも昨秋のポルトガル代表戦と、NDS主体で戦った6月のウルグアイ代表との第1戦以外はすべて出場している。

なお、2021年最後のトップリーグでも全試合に、そして今季のリーグワンでは、1試合を除いて試合に出場し、埼玉ワイルドナイツの連覇にも貢献した。ルーキーイヤーから8シーズン連続の「ベスト15」は前人未踏の記録だ。リーグワンの優勝直後、昨年夏に右アキレス腱と右ヒジを手術していたことを明かしたが、それをまったく感じさせないプレーぶりだった。

フランスとの第1戦でに稲垣

2日(土)のフランス代表との第1テストに向けて、「テストマッチは勝つことがすべて」と常々話してきた稲垣は「フランス代表はセットプレーが強い。スクラム、ラインアウト、モールからペナルティを奪い、チームに勢いをもたらす。そこを起点にペナルティからショットを狙えるし、確実にFW(フォワード)を前に進めてくる強さがある。今まで準備していたものを出すことによって、2023年のワールドカップが見えてくる。今の日本代表がどう立ち向かうのか、そしてどう結果を残すのかそこがすべて」と意気込んでいた。

結果、前半こそ13-13と善戦したが、後半フランスにペースを握られ4トライを与えてしまい、23-42で敗れた。稲垣は「新しいメンバーはがんばっていた。自分の仕事を遂行しようとしていた。ただ、負けてしまったので気分的には最悪」と振り返った。また、前半に関しては「(フランスは)想像していたプレーが多かったし、それに対して自分たちが準備してきたアタックは出せた」と一定の評価はしていた。

だが、後半に関しては「自分たちからミスや反則を繰り返してしまった。プレッシャーがかかってというよりかは、ちょっとしたコミュニケーションのミスや、自分たちがやろうとしていたことと別のことをやってしまった時にミスが多かった。レベルの高い試合になると、ミスでトライまで持っていかれてしまう。シンプルに一番強いサインを選択すべきだった」と悔しさを露わにしていた。

フランスと互角に渡り合ったスクラム

PRの大きな役割であるスクラムに関しては、宮崎合宿で「新しく入ってきた選手とコネクションを作ること、そして方向性とディテールにこだわっている」と話していた。第1テストでは、スクラムの強さに定評のあるフランス代表と互角に渡り合っていたと言えよう。

「1つブレーキフット(の反則)は取られたが、やろうとしているスクラムは組めたし、後半にメンバー変わって、プレッシャーをかけることもできた。スクラムは全員が確実にレベルアップできた。基本的には変わってないが、より1人ひとりの仕事が明確になった。新しく入ってきた選手も理論を徹底的に頭に詰めているから、相手からペナルティを奪うことができた。スクラムの理解度、遂行力のレベルが上がっている」。

また、スクラムだけでなく、ダブルショルダー、2人でジャッカルにいくなど新たに就任したジョン・ミッチェル コーチの下、ブラッシュアップを図っているディフェンスでも稲垣は力強いタックルを繰り返している。「個人的にはディフェンスの部分で成長を感じている。威力にこだわったタックルにフォーカスしている。ポジショニングが正しく取れれば威力のあるタックルができるが、テストマッチでは毎回そうできないので、いろいろアジャストしている」、

タックルに耐えオフロードパスを見せる稲垣

他にも稲垣が2019年ワールドカップから進化を遂げているスキルがある。それがオフロードパスだ。ウルグアイ代表との第2テストでも2回の効果的なオフロードパスを見せて、フランス代表との第1テストでも前半14分のNO8(ナンバーエイト)テビタ・タタフのトライにつながる一連のアタックで、効果的なオフロードパスを見せた。

ウルグアイ代表との第1テストマッチ後、稲垣は「オフロードパスは、準備ができていないと試合でやらないと言っていたが、今年は練習で取り組んでいる。不安があったらしないが、準備があったのでできると思った。自信を持って出せた」と胸を張った。稲垣はディフェンス面だけでなくアタック面でも進化を遂げている。

「笑わない鉄人」はさらに進化する

フランス代表との第2テストに向けて稲垣は「(第1テストでは)自分たちのやろうとしていることができている時間帯はいい形が作れて、実際、スコアで持っていけた。コミュニケーションミスと反則を減らすことだけ」と冷静に話した。

32歳となっても成長の歩みを止めることはない。「鉄人」稲垣がスクラムはもちろん、アタック、ディフェンスでも目立つシーンが増えれば増えるほど、日本代表はより勝利に近づいていくはずだ。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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