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ラグビー コラム 2022年6月28日

「今の日本を見ると恐怖心を感じる」。ラグビー日本代表と対戦するフランス代表記者会見

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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フランス代表のウィリアム・セルヴァ コーチ

7月2日(土)9日(土)にラグビー日本代表と対戦する「Les Bleus」(レ・ブル)こと、フランス代表が6月23日に来日し、練習を重ねている。

来日メンバーは41人。今年、シックスネーションズで「グランドスラム」(全勝優勝)を成し遂げたメンバーは15名で、昨年の世界最優秀選手のSH(スクラムハーフ)アントワーヌ・デュポン、SO(スタンドオフ)ロマン・ヌタマック、FL(フランカー)グレゴリー・アルドリッド(ラ・ロシェル)ら主力の一部は休養のため、来日していない。

平均年齢は23歳で、最年長はCTB(センター)ヴィリミ・ヴァカタワ(ラシン92)の30歳。最年少はPR(プロップ)マティス・ペルショー(バイヨンヌ)の19歳だ。ペルショー含む、3人のU20フランス代表の選手が昇格となった。

『TOP14』の決勝を控えていたモンペリエ、カストルの両チームの選手はU20を除き、召集されておらず、最多はトゥーロン、ラ・ロシェル、ボルドーから各6人、トゥルーズ、ラシンから各5人の選手が選出された(PRドリアン・アルドゲリは来日直前に負傷のためチームから離脱)。また、フランス2部にあたる『Pro D2』からは4人の選手がメンバー入りした。

ファビアン・ガルティエHC(ヘッドコーチ)は事前に公言していた通り、6月19日にイングランド代表を、52-21で下したバーバリアンズ戦の主将FLシャルル・オリヴォン(トゥーロン)ら、メンバー19人を全て召集。また、そのオリヴォンが今回のツアーではキャプテンを務める。

今回のメンバーの平均キャップ数は6で、最多はWTB(ウイング)ダミアン・プノの32キャップで、17人がノンキャップだ。ハーフ団はボルドーでもコンビを組むSHマクシム・ルク、正確なキックが武器のSOマチュー・ジャリベールの2人が中心となろう。

フランス代表は昨夏のオーストラリア遠征でも、22人のノンキャップの選手を召集した。今回の日本ツアーにも参加するFB(フルバック)メルヴァン・ジャミネもその1人で、昨夏のオーストラリア戦で代表デビューを果たすと、今年のシックスネーションズではすでに主力の1人として活躍している。ノンキャップやキャップ数の少ない選手たちにとっては、この日本代表戦で一気に来年のワールドカップ出場を手繰り寄せるチャンスとなろう。

SOアストイ(右)とLOラヴォー

来日後の会見では、昨年のオーストラリア遠征で初キャップを獲得し、先のバーバリアンズでも、10番で先発したアントワーヌ・アストイが、「フランスにいる内から、日本の気候を想定して合わせてきた。来日してからも暑さや湿度、天候の変化に対応したトレーニングを開始している」と、懸念される暑さ対策に万全を期していることを強調し、「(日本代表は)よくボールを動かしスピードもある。対戦が楽しみ」と試合を心待ちにしている。

一方、2018年のU20ワールドカップ優勝メンバーで、今年ラ・ロシェルの欧州王者にも大きく貢献したLO(ロック)/FLトマ・ラヴォーは「(日本とフランスは)同じタイプのチームで、ストラクチャーとゲームプランに忠実なチーム。最初は激しいバトルになると考えている。スタジアムが満員になるということで、フランスでも地上波で放送される。その瞬間を多くの人と共有できること、このような質の高い状況でプレーできるのはうれしい」と、初キャップの機会を楽しみにしている。

ガルセス レフリー

また、2015年のワールドカップで、日本vs.南アフリカの主審を務めたジェローム・ガルセス氏もフランス代表に帯同しており、オンライン会見に対応した。

「日本とウルグアイの2試合を正確に分析し、日本代表のパフォーマンスを見極めることができる。また、(去年の)オーストラリア代表と対戦した試合についても研究し、多くのエリアを確認することができた。かなり速いラグビーをし、かなりパワフルな選手、かなりパワフルなキープレーヤーが揃っている。LOも攻撃的」(ガルセス氏)。

2015年の日本vs.ウルグアイ戦のガルセス氏

今回の対戦に関しても経験豊富なガルセス氏は「(2015年のワールドカップ以来、日本代表は)その一貫性を保っている。良いパフォーマンスをするチームは、『ティア1』相手に70分を過ぎてもパワフルな選手で試合に臨んでいる。タフな試合になるだろう」と予想した。

2011年W杯で日本と対戦したセルヴァ コーチ

また、2011年ワールドカップや2012年のフレンチバーバリアンズなどで日本代表と対戦経験もある、元フランス代表HO(フッカー)だったウィリアム・セルヴァ コーチは「日本はコロナ禍以来、あまりテストマッチを行なっていないが、去年もオーストラリア、アイルランド、スコットランドを苦しめている。以前と今のレベルは全く違っていて、正直、今日の日本代表を見ると恐怖心を煽られます」と話した。

さらにセルヴァ コーチは「だからこそ、我々もこのツアーに向けて、より良い準備をすることができるのはとても良いこと。このチームに簡単に勝つのは難しい。本当にいい相手だと思うので、できるだけ真摯に向き合いたい」。

「日本代表は世界中でプレーする選手を抱え、また世界から日本にコーチや選手が集まっているし、そうしたコーチや選手たちの質を見てもそれがわかる。日本のチャンピオンシップのレベルは急速に上がり、どんどん良くなっているし、今も成長中であり、将来もきっと脅威になるチーム」と警戒を緩めなかった。

フランス代表にとって、今回の日本代表との連戦は来年のワールドカップに向けて、新しい選手を試す、選手層を厚くするためにも大事な試合となることは間違いなく、互いに現在地を測る試合となる。

文/写真:斉藤健仁

◆フランス代表来日メンバー41名

(所属/年齢/キャップ数)

FW:22名

・PR デンバ・バンバ(リヨン/24歳/23)
・PR シピイリ・ファラテア(クレルモン/25歳/2)
・PR ジャン バティスト・グロ(トゥーロン/23歳/19)
・PR トマ・ラクラヤ(オヨナ/24歳/0)
・PR マティス・ペルショー(バイヨンヌ/19歳/0)
・PR ダニー・プリゾ(ラ・ロシェル/28歳/14)

・HO ピエール・ブルガリ(ラ・ロシェル/24歳/5)
・HO ペアト・モヴァカ(トゥルーズ/25歳/14)
・HO クリストファー・トロフア(トゥーロン/28歳/7)

・LO ティボー・フラマン(トゥルーズ/25歳/7)
・LO トマ・ジョルム(ラ・ロシェル/26歳/0)
・LO トマ・ラヴォー(ラ・ロシェル/23歳/0)
・LO レミ・ピケット(ラ・ロシェル/27歳/0)
・LO スワン・ルバジ(トゥーロン/27歳/3)

・FL/NO8 ディラン・クレタン(リヨン/25歳/18)
・FL/NO8 イブライム・ディアリョ(ラシン92/24歳/1)
・FL/NO8 マティアス・アダ(ラ・ロシェル/21歳/0)
・FL/NO8 セク・マカルー(スタッド・フランセ/27歳/7)
・FL/NO8 シャルル・オリヴォン(トゥーロン/29歳/23)※キャプテン
・FL/NO8 ヨアン・タンガ(ラシン92/25歳/0)
・FL/NO8 スレヴァシオ・トロフア(トゥルーズ/25歳/1)
・FL/NO8 バスティアン・ヴェルニュ タイユファー(ボルドー/25歳/0)

BK:19名

・SH バティスト・クイユー(リヨン/24歳/8)
・SH ノラン・ル ギャレック(ラシン92/20歳/0)
・SH マクシム・ルク(ボルドー/29歳/7)

・SO ルイ・カルボネル(トゥーロン/23歳/5)
・SO アントワーヌ・アストイ(ポー/25歳/1)
・SO マチュー・ジャリベール(ボルドー/23歳15)
・SO ルイ・ル=ブラン(カストル/20歳/0)

・CTB ジュール・ファーブル(ラ・ロシェル/23歳/0)
・CTB ヨラム・ムファナ(ボルドー/21歳/6)
・CTB ヴィリミ・ヴァカタワ(ラシン92/30歳/30)
・CTB タニ・ヴィリ(クレルモン/21歳/0)

・WTB レミ・バジェ(バイヨンヌ/24歳/0)
・WTB マティス・レベル(トゥルーズ/23歳/2)
・WTB ダミアン・プノ(クレルモン/25歳/32)
・WTB エンゾ・レビエール(オヨナ/20歳/0)

・FB ロマン・ビューロ(ボルドー/24歳/0)
・FB メルヴァン・ジャミネ(ペルピニャン/22歳/11)
・FB エメリック・リュック(トゥーロン/24歳/0)
・FB マックス・スプリング(ラシン92/21歳/0)

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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