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ウルグアイ戦に挑むSH齋藤(左)、SO山沢
6月25日(土)、ラグビー日本代表は北九州・ミクニワールドスタジアム北九州でウルグアイ代表との第2テストマッチを行う。この試合から7月2日(土)9日(土)フランス代表までの3戦戦は、宮崎で合宿を張っていた「ファーストチーム」の日本代表選手たちが出場する。
2日前のメンバー発表会見で、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は「1試合目をしっかりと考えながら数週間、準備してきました。土曜日は自分たちを試すチャンス。新しい選手を試すが、経験豊富な選手もいるので、試合に向けて自分たちとしては選手を観察したい」と話した。
共同主将のSH(スクラムハーフ)流大がコンディション不良で早々に離脱したため、9番を付けて先発するのは、6キャップのSH齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)、そして10番は埼玉パナソニックワイルドナイツの優勝に貢献した3キャップのSO(スタンドオフ)山沢拓也だ。2023年ワールドカップを目指す、新進気鋭のハーフ団の今に迫りたい。
9番を背負う齋藤
昨年、夏と秋の代表活動にフルに参加したSH齋藤は「毎年、緊張しますが、1日や1週間の流れがわかってきたので、自分でうまくコントロールできるようになった」と話す。
流共同主将がいない中、公開練習で齋藤がレギュラー組としてプレーをしていた。先発出場するにあたり齋藤は、「9番も1つのオプションになる、相手にとって脅威になるというのは、昨年の遠征から(コーチ陣)言われていてその辺も意識しながらこの半年間やってきました」と振り返った。
山沢を始めとした新しいSO3人と「たくさんコミュニケーションをとってうまくやれている」というSH齋藤は、ゲームコントローラーとして「モメンタム(勢い)があるかないかで、9番、10番が適切にアタックかキックかを判断すること。チームをドライブさせるために戦術を理解することが大事かと思っています」と意気込んだ。
FW(フォワード)、BK(バックス)をつなぐSHというポジション柄、リーダーシップも求められている。「自分もチームを引っ張るという意識を持ってトレーニングに取り組んでいます。9番はエナジーだったり、チームを前に出したりすること求められているので、そういった意味では、チームを見ながら疲れている時に声を出したり、先頭で移動したりは意識しています」。
ベン・ガンターと話す齋藤
また、齋藤はシーズン中、チームの決まり事の中でプレーする際も、アドバンテージをもらったときなどは、「自分のひらめきや思い切ったプレーをして、チームの枠の中でも、自分の色を出すようにシーズンは意識してやっていました」と話す。
「前回の(日本代表の)ツアーで課題もあったので、今回のキャンプでも意識していますし、コーチからも周りを気にせず、自分を信じてプレーするように言われています」と、アドバンテージ中やアンストラクチャーからの攻撃では齋藤のアタックセンスも見られそうだ。
来週からは世界ランキング2位のフランス代表との連戦も控える。齋藤は「まずはウルグアイ代表のことを考えていますが、シックスネーションズで優勝しているフランスと試合できるのは楽しみ。高い強度の中でプレーすることで成長することは間違いない」と先を見据えた。
サンゴリアスに入った時、「2023年のワールドカップは絶対に出たい」と語気を強めていた齋藤。日本代表7キャップ目の試合で、2度目となる9番で存在感を示したい。
4キャップ目となる山沢
一方、山沢も2017年4月~5月、アジア勢との対戦以来、4試合目の桜のジャージーで、10番を背負うのは2試合目となる。
ジョセフHCは「山沢はリーグワンの準決勝、決勝を通じて、リードできる10番だと証明した。もう1段、ステップアップする必要があると思う。山沢のキャップ数は3で、今回は緊張していると思うが、27・28歳になって成熟してきている部分があるので、彼のプレーを楽しみにしている」と期待を寄せた。
久しぶりの代表合宿に参加して山沢は「フレッシュな気持ちで、練習に臨めている。以前、選ばれた時はすごく受け身だったり、自信を持てなかった。自分としてはリーグワンで見せていたような、自分らしさを評価してもらえたところもあると思うので、私生活でもラグビー面でも、それを継続してプレーしていければいい」と話した。
山沢自身が思う自分らしさとは、「チャンスがあれば常に攻めていくところたったり、いろいろなキックを使って相手にプレッシャーをかけたりなど。まだまだ、完璧ではないですが」と説明してくれた。
同じポジションの李と話す山沢
ウルグアイ代表戦の後には、世界ランキング2位のフランス代表との連戦が控える。「フランスはすごく勢いがあるチームだと思います。間違いなく世界で今、トップレベルのチーム。すごくいいチャレンジの機会だと思います」。
2019年ワールドカップは出場することができなかったが、そのことに関しては、「2019年は本当に一観客として見ていた。選手として悔しさは、選ばれなかった時点で割り切っていたので、実力がなかったと自分の中でわかっている。何年か経って自分のこれまでの経験が、今後に活きていけばいいと思います」と話すにとどめた。
2023年ワールドカップまであと1年3ヶ月、今夏に活躍すればコーチ陣に対する大きなアピールとなる。山沢はワールドカップへの思いを聞かれて「メンバーに入れれば、すごくうれしいし光栄なことですが、自分としては、今までやってきたこと、自分らしいプレーができればいい。しっかり、その精度やクオリティを上げて、ラグビー選手として成長できればいい」と自分のプレーにフォーカスしている。
7キャップ目のSH齋藤、そして4キャップ目となるSO山沢という2023年ワールドカップを目指す新しいハーフ団がどんな化学変化を起こし、日本代表のアタックに勢いをもたらすか。トップリーグ、リーグワンで進化を遂げてきた2人の舵取りに大いに期待したい。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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