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帝京大学 vs. 東海大学
今シーズンの大学ラグビーシーンの勢力図が決まる大一番。大げさのようだが、そういって過言ではない一戦である。
6月19日、関東大学春季交流大会Aグループの優勝をかけて、帝京大学と東海大学が激突する(@帝京大学グラウンド、13時キックオフ)。ここまで4戦全勝の勝点18で首位に立つ東海に対し、帝京は3勝1敗の勝点15で2位につけている。それぞれ前年度の関東大学対抗戦と関東大学リーグ戦を制したディフェンディングチャンピオン。ここまでの春季交流大会でのゲーム内容を踏まえても、この試合の結果は今季の覇権争いを展望する上での重要な指標となりそうだ。
昨季の大学選手権で4年ぶりの優勝を果たした帝京は、新型コロナウイルスの影響で春季大会の序盤の2試合が不戦勝となり、新チームとしての実戦経験がほとんどない状況で迎えた5月19日の明治大学戦に26-35で惜敗した。しかし1週後の早稲田大学戦では持ち前の強靭なフィジカルを生かして接点のバトルで優位に立ち、52-26のダブルスコアで快勝。修正能力の高さを示すとともに、あらためて学生トップクラスのポテンシャルを証明した。中2週で迎える3戦目の今節は、さらに成長した姿で引き締まったパフォーマンスを発揮するだろう。
一方の東海は春季大会初戦で早稲田を38-29と振り切って白星発進すると、続く大東文化大学戦(59-40)、日本大学戦(50-17)にも大量得点を挙げて完勝。さらに全勝対決となった6月5日の明治大学戦もセットプレーで圧力をかけて序盤から優勢に試合を進め、43-24の快勝を収めた。大学選手権で4強入りした前年の主軸が数多く卒業したものの、各ポジションで力のある新鋭が台頭してきており、今年も全国屈指のチームに仕上がりそうな潜在力をうかがわせる。
過去大学選手権の決勝で3度対戦するなど数々の激闘を繰り広げてきた両校の戦いで常に焦点となってきたのが、コンタクト局面の攻防だ。お互いチームづくりにおいてもっともこだわりを持つ部分であり、アタック、ディフェンスとも激しく体を当ててプレッシャーをかけ続けることが、戦い方の根幹となっている。セットピースを含めたFW8人の戦いでどちらが優位に立つかが、ゲーム展開を大きく左右しそうだ。
武藤ゆらぎ(東海大学)
BKは昨季のレギュラーが数多く残る帝京に対し、東海は顔ぶれが大幅に入れ替わった。その中でポイントとなりそうなのがSOのプレーメイクだ。帝京の高本幹也、東海の武藤ゆらぎといずれの10番も下級生時から公式戦を経験してきた学生有数の司令塔であり、キック、パス、ランの優れたスキルセットに、深いラグビー理解と卓越したゲームセンスをあわせ持つ。厳しい圧力を受ける中で両者がいかに試合を組み立てるかという点も、この試合の重要な見どころになる。
江良颯(帝京大学)
発表された登録メンバーを見ていくと、帝京はHO江良颯が今季初先発で、左PR津村大志、右PR上杉太郎とフロントローを形成する。LO陣は早稲田戦と同じ山川一瑳と江里口真弘のペア。バックローも前節に続きFL青木恵斗、FL奥井章仁にNO8延原秀飛という布陣だ。
HBはSH李錦寿とSO高本幹也の昨年からのコンビ。WTBは高本とむが11番に移り、14番には小村真也が入った。松山千大主将、二村莞司の両CTBとFB谷中樹平は3戦連続のスターターだ。
対する東海のFWは、前節から1人を変更。玉木皓盛がHOに入り、平晴樹、本田啓の両PRと第1列を組む。バックファイブは2週前の明治戦と変わらず、LOに朴淳宇、ワイサケ・ララトゥブア、FLはアフ・オフィナとレキマ・ナサミラ、NO8井島彰英という並びだ。
ゲームを組み立てるのはSH清水麻貴、SO武藤ゆらぎのHB陣。13番にキャプテンの伊藤峻祐が復帰し、今村泰士とCTBを組む。前節13番で出場した谷口宜顕が15番に下がり、バックスリーは左WTBに岡村優太、右WTBに中川湧眞、最後尾のFBに谷口という構成になった。
現在Aグループ3位の明治は残り1試合(対日本大学、6月19日13時キックオフ)の時点で勝点13。東海は今節勝利か引き分けで優勝が決まり、帝京は勝てば逆転で1位になる可能性がある。もっとも、タイトルうんぬん以上に両校ともこの一戦に必ず勝つという気持ちのほうが強いだろう。連覇がかかる帝京と、悲願の大学日本一を目指す東海。どちらが今シーズンの主役となるか、注目だ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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