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晴れから雷雨のち快晴。急変する天気と合わせるように試合展開も目まぐるしく変化した。序盤の20分間で流れを引き寄せたのは早稲田。しかし日大もそこから反撃に転じて地力を示した。最終スコアは36-21。振り切った早稲田と追い上げた日大、どちらの側にも確かな手応えと克服すべき課題が浮かび上がる戦いだった。
早稲田大 松下怜央
ゲームは開始早々にいきなり動いた。敵陣22メートル付近のラインアウトで早稲田が相手投入のボールをスチールすると、すかさずBKに展開。アウトサイドCTBの松下怜央が個人技で日大ディフェンスを突破し、オフロードを受けたWTB槇瑛人が抜け出して先制トライを挙げる。
7分には中盤のアタックでいったんターンオーバーされたものの、相手のパスミスにすばやく反応したNO8相良昌彦がこぼれ球をキック。転がるボールをみずからチェイスして左中間に押さえ、リードを広げた。
その後も早稲田は鋭い出足でプレッシャーをかけて日大のエラーを誘い、主導権を掌握。21分にはゴール前のラインアウトからFW戦で前に出て、SH宮尾昌典がラックサイドを突いてゴールラインを越える。これでスコアは17-0となり、そのまま早稲田が一気に引き離すかと思われた。
しかしこの直後からみるみる空模様が悪化し、雷雨のためプレーが一時中断となる。天候の回復を待って再開されたのは45分後。ブランクが挟まったことで、試合の流れもまたリセットされる結果となった。
日大 水間夢翔
仕切り直しされたゲームで先にリズムをつかんだのは日大だ。WTB水間夢翔のビッグゲインを起点に早稲田陣22メートルライン内に攻め込むと、FWが近場で縦を突いて前進。ラックからボールを持ち出したHO林琉輝がインゴールに飛び込み、反攻の口火を切る。
その6分後にはFB普久原琉が好判断と精度の高いスキルで50:22キックを決め、一気に敵陣ゴール前へ。ラインアウトからテンポよくフェーズを重ねてディフェンスを揺さぶり、SO饒平名悠斗がギャップを切り裂いてポスト下に駆け抜ける。CTB広瀬龍二のコンバージョンも決まり、スコアはあっという間に3点差まで縮まった。
関東大学ラグビー春季大会2022
【ハイライト】早稲田大学 vs. 日本大学
早稲田大学 宮尾昌典
しかし早稲田もここで集中力を発揮し、持ち前のスピーディーな連続攻撃でチャンスを作り出す。辛抱強くボールを動かし続けてジリジリ前進すると、最後はHO佐藤健次→FL村田陣悟→SH宮尾とオフロードがつながってフィニッシュ。24-14とふたたびリードを広げて、前半を折り返した。
どちらが先に追加点を奪うかによって流れが決まりそうなムードの中で迎えた後半。先にスコアボードを動かしたのは、またしても早稲田だった。46分、ターンオーバーからのカウンターアタックでゴール前マイボールラインアウトの好機を得ると、シンビンで日大FWがひとり少ない優位性を生かしてモールを一気にドライブ。HO佐藤がグラウンディングし、31-14と引き離しにかかる。
だが日大もここから意地を見せ、鋭いラインスピードのディフェンスと強烈なコンタクトで早稲田の速い展開に対抗。相手を押し戻すビッグタックルを連発し、懸命に食らいついていく。アタックではWTB水間やCTBジョアペ・ナコ、FB普久原ら好ランナーが要所で力強い走りを見せ、たびたび早稲田防御をブレイクするシーンを作った。
中盤以降はお互いに疲労が蓄積する中で激しく攻防が入れ替わる消耗戦となり、試合は膠着したまま終盤へ。そしてようやくスコアが動いたのは79分だった。日大が早稲田陣22メートルライン付近でマイボールスクラムを獲得すると、BKのサインプレーで右大外を攻略。FB普久原のラストパスからWTB水間がコーナーへ走り切り、待望の追加点を刻む。
攻めあぐねる場面が続いた早稲田も続くキックオフでボールを確保し、連続攻撃から入替出場のWTB磯崎錬太郎がトライをマーク。すぐに点を返して底力を示したが、ラストプレーのゴール前でのマイボールスクラムはミスで仕留めきれず。36-21の最終スコアでノーサイドとなった。
いずれもBKに学生ラグビー界屈指のタレントを擁し、さまざまな局面でハイレベルなプレーが交錯したこの一戦。早稲田にすればゲームの入りの集中力で上回って大きく先行していただけに、雷雨による中断で勢いに水を差されたのは痛かっただろう。一方で、受けに回った時に相手のパワープレーや懐深いオフロードでたびたび防御を崩されるなど、課題があらためて浮き彫りになったのも事実だ。関東大学春季交流大会の最終戦を終え、NO8相良主将は「今週はディフェンスに取り組んできて、(成果を)出せた部分もあったが、後半キツくなってきた時間帯に出せなくなった部分もあった。まだまだ反省が多いと感じます」と実感を口にする。
一方の日大は今季2戦目ということもあって試合運びという点では未成熟な部分も見られたが、鋭い出足のタックルで早稲田のボールキャリアーを再三仰向けに倒すなど、防御面では随所に見せ場を作った。「ディフェンスで継続して前に出られたところは、いい我慢ができていたと思います。ただ、試合の入りとセットプレーは改善点」とFL平坂桃一主将。こちらは次週(対明治大学)、再来週(対大東文化大学)と春季交流大会2試合を残しており、ここからどのようにチーム力を向上させていくかが注目される。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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