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NDS合宿は別府でスタート
いよいよ、ラグビー日本代表活動が始まった。6月3日(金)から日本代表は宮崎で、そして「セカンドチーム」にあたる「NDS」(ナショナル・デベロップメント・スコッド)も同日から、大分県別府市で合宿を行っている。
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そして、4日(土)午後には、11日(土)に東京・秩父宮ラグビー場で「トンガサムライXV」との試合を控えるNDSが練習を公開した。34名が参加の予定だったが、PR(プロップ)北川賢吾(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)は日本代表の練習相手として宮崎合宿に参加し、FL(フランカー)徳永祥尭(東京ブレイブルーパス東京)はコンディション不良で参加しなかった。
練習内容をモニターで確認
NDSのHC(ヘッドコーチ)には、2019年以前からジェイミー・ジョセフHCとともに、ウルフパックなどの指導にあたっている静岡ブルーレヴズの堀川隆延監督が就いた。NDSの内容やスケジュールなどほぼ日本代表と同じだという。
初の全体練習後、堀川HCは「今年、日本代表がやろうとしていることを、先週1週間、ジェイミー(・ジョセフ)と、新しいディフェンスコーチのジョン・ミッチェルと一緒にいて、彼(ミッチェル)がやりたいディフェンスをしっかり学んだ。リーダーたちが積極的に選手を集めて、いいトレーニングができたと思います」と振り返った。
リーダーの田村
キャプテン、副キャプテンこそ名言しなかったが、リーダー陣は、堀川HCが「キーになる選手」と名指ししたSO(スタンドオフ)田村優を筆頭に、HO(フッカー)堀越康介、LO(ロック)大戸裕矢、CTB(センター)ラファエレ ティモシー、FB(フルバック)尾崎晟也の5人となった。
2週間という短い中でのNDSの活動におけるスローガンは「グリット」になった。「重要で、とにかくやりきる。今回に関しては、やりきるという言葉に、不屈の精神、這い上がるという言葉もつけているんですけが、本来は日本代表にいなきゃいけないような人材もここにいる、ラストチャンスであるような選手もいる。そういう意味合いも含めて、グリットという言葉をスローガンにした」(堀川HC)。
NDSを指揮する堀川HC
また、堀川HCは「最終的に僕らNDSの使命は、1人でも多くの選手を日本代表のチームに送り出すこと」と語気を強めたが、試合は6月11日のトンガサムライXVと、18日のウルグアイ代表戦の2試合しかない。
そのため指揮官は「基本的には全員出るチャンスはないと思っています。もちろん、トンガサムライ戦もすごく大事ですし、ウルグアイ代表はテストマッチなので、我々は日本代表として戦わなきゃいけない。そういう意味では、そういったメンバー編成にする必要があると思います」と話した。
練習に参加していた32名の選手の中から、ベテランのCTB立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)と、昨季のトップリーグ新人賞WTB(ウィング)竹山晃暉(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、リーグワン元年の新人賞WTB根塚洸雅の3人が取材に対応した。
CTB立川
2015年ワールドカップで大活躍したが、2019年大会は出場できなかったベテランCTB立川は「2日目ですが、いい雰囲気だと思います。(NDSは)立ち位置がやっぱり違うと思うし、日本代表はさらに上のレベルにあると思うので、そのレベルにしっかりと達するように、ここでやることも重要です。日本代表になるためだけの合宿じゃなくて、その先のワールドカップもそうだし、ワールドカップで活躍できるようなスタートのベースを作っていけたらいい」と話した。
チーム内での役割を聞かれて立川は、「自分自身のパフォーマンス、ひたむきにやる姿が重要だと思っていますし、その中で自分も成長したいという気持ちを持ってやっていくことが、いろんな人にいい影響を与えると思っています。ただ、自分の立ち位置をしっかり理解しているので、ここでも一番下だと思って、一番元気にやっていきたい」と謙虚に話した。
ジョセフHCは6~7月のパフォーマンスを見て、現在80名近い大きなスコッドから50名に絞ることを名言している。立川はそれを踏まえて「この2週間に関しては、そこの緊張感というよりは、自分たちが何をしたいのか、このNDSで何を達成したいのかとか、そういうところの方が重要だと思っています。それが達成されて、自分をうまく表現できれば、日本代表に繋がっていくという風に思います」と意気込んだ。
WTB竹山
埼玉パナソニックワイルドナイツの優勝に貢献したWTB竹山は、初のトップカテゴリーの合宿に参加して「決勝、リーグ戦の疲労感はありますが、決勝が終わってからも気持ちを切らさず準備してきました。チャンスをいただけると思いますし、まだまだ自分の中では完成系ではないので、本当にここでもしっかりとチャレンジして、成長し続けるマインドを常に持ってもっと上を目指していきたい」と語気を強めた。
また、桜のエンブレムがついた練習着は、帝京大学3年時のジュニア・ジャパン以来となった竹山は、「久しぶりなのでうれしい。このウェアは決められた人数の選手しか着用できない。その中で恥じないように行動し、プレーしていきたい」。
「NDSといえども、代表クラスの選手がたくさんいるので、そういう人たちと一緒にできるのはうれしいですし、普段、敵のチームで、特に最近戦ってきた選手ばっかりなんですけど、1回切り替えて、自分たちが日本代表を目指して行く中で、たくさんコミュニケーション取ってプレーできたらいい」と語った。
日本代表、ワールドカップへの思いを聞かれた竹山は、「そこに対してもフォーカスを置いて、できることを丁寧にプレーしていきたい。1つ1つこういう場でクリアにしていって、それを力に変えていくことが、すごく自信にも繋がると思うし、それが自分の未来をだんだん近づけていく階段の要素になると思うので、逃げずに、しっかり目を向けてやっていきたい」と先を見据えた。
WTB根塚
リーグワンで「新人賞」「ベスト15」「ベストラインブレイカー」の個人賞3冠に輝いたWTB根塚もトップカテゴリーでは初の合宿参加となった。「レベルの高いところでラグビーができることは幸せなことなので率直にうれしい。SO田村(優)さんというレジェンドの方から教えていただきながらというところでは、本当に良い学びが多い練習だと思います」と笑顔を見せた。
NDSの位置づけを聞かれて根塚は、「ここでいいところを見せれば、日本代表の桜のジャージーを着たり、代表合宿の方に参加させていただけると思います。ジャパンがやりたいことで、まだわかりきっていないことが多いと思うので、そこを今ここで学んで、世界で通用する選手になるための準備と思っています」と話した。
WTBとしてどんなプレーをしたいかを聞かれて根塚は「やっぱりWTBとして、大外の狭いところで勝負して、思い切って勝負した結果、トライを取り切る。そこをどれだけできるかだと思っています」。
「あと、ディフェンスはグランドのスペースをいっぱい見て、まわりの人とコネクションを取ることが一番大事だと思っています。若手として、まわりの選手たちに対してプレッシャーを与えるように思い切ってプレーしたい。そして日本代表の座を掴み取れるように頑張りたい」と腕を撫した。
これから堀川HCとNDSのメンバーたちは「エマージングブロッサムズ」として、6月11日(土)の「トンガサムライXV」との対戦に向け、急ピッチでチームを仕上げていく。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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