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明治大学vs.帝京大学
昨季の大学選手権のファイナリスト同士の対戦はやはり熱戦となった。
「第11回関東大学春季交流大会」も中盤戦を迎え、5月29日(日)には静岡・エコパスタジアムで、昨季の大学選手権決勝と同じカードが実現。準優勝だった明治大学(関東対抗戦2位)と、10度目の大学王者に輝いた帝京大学が激突した。
両者は昨年6月も同スタジアムにおいて招待試合で対戦。帝京大学が、32-28で、2017年以来となる白星を挙げた。さらに帝京大学は、秋の対抗戦(17-14)、大学選手権決勝(27-14)でも、明治大学に勝利し頂点に輝いた。
リベンジに燃える明治大学、FW(フォワード)は、PR(プロップ)に中村公星(4年)、為房慶次朗(3年)、LO(ロック)には山本嶺二郎と亀井茜風の3年生コンビが先発した。BK(バックス)は大学生で唯一、東京五輪に出場したキャプテンWTB(ウィング)石田吉平(4年)を筆頭に、SO(スタンドオフ)伊藤耕太郎、CTB(センター)廣瀬雄也(ともに3年)、FB(フルバック)には安田昂平(2年)らが入った。
一方、名将・岩出雅之監督が勇退し、今季からOBの相馬朋和氏が監督に就任した帝京大学。練習試合では負けなしできており、新監督になって初の公式戦で、昨季に続いて、エコパスタジアムで明治大学を下して勢いに乗りたいところだった。
キックオフ直後は、「紅い旋風」帝京大学がテンポのいいアタックで主導権を握り、前半7分、ゴール前まで攻め込み、最後はFL(フランカー)青木恵斗(2年)が右隅に押さえてトライ。SO高本幹也(4年)がゴールも決め、7点を先制する。
その後、明治大学はPG(ペナルティゴール)を沈めることができなかったが、22分、モールを押し込み、最後はHO(フッカー)松下潤一郎(3年)が左中間に押さえて、ゴールも決まって7-7の同点に追いつく。
その後は拮抗した状況が続く中、34分、帝京大学は相手キックからカウンターを仕掛けて、最後はCTB松山千大キャプテン(4年)からパスを受けた、FL奥井章仁(3年)が右隅にトライ、再び5点をリードする。
明治大学も39分、ハーフウェイライン付近のスクラムをプッシュしてから、左に展開。最後はFB安田が裏にキックしたボールを自ら押さえてトライ。ゴールも決まって14-12と逆転してハーフタイムを迎えた。
後半、先に得点を挙げたのはリードしている明治大学だった。9分、再びゴール前のモールを押し込んでHO松下がトライを挙げて、ゴールも決まり、21-12とリードを広げた。
しかし、昨季王者の意地を見せる帝京大学も、9分にはSO高本幹也のグラバーキックをFB谷中樹平(4年)がキャッチした後、オフロードパスでつないで最後はWTB高本とむ(3年)がトライ。さらに33分にはラインアウトを起点にアタックを継続し、最後はCTB二村莞司(4年)が抜け出して中央に押さえて26-21と逆転した。
ただ、明治大学は石田キャプテンが「まだ時間がある。落ち着いてプレーをして取り切ろう」と声を掛けていたように、5点差だったため焦ることはなかった。36分、モールを押し込み、最後は寮長であるHO紀伊遼平(4年)が押さえてトライ。SH(スクラムハーフ)で途中出場した池戸将太郎(3年)がゴールを決めて、29-26と逆転に成功した。
さらにロスタイム、SO伊藤の打ち返しのパスに途中出場のWTB秋濱悠太(2年)が抜け出して、最後はフォローしたFB安田がトライ。ゴールも決まって、終わってみれば5トライを挙げた明治大学が35-26で勝利した。
ラグビー関東大学春季大会2022
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春季大会で3連勝となった明治大学の神鳥裕之監督は「昨季、最後に悔しい思いをして勝てなかった帝京さんに勝利できたことは、非常に大きな収穫だった。スクラム、激しいコンタクでしっかり戦えたことは、今年のチームのいいスタートだった」と言いつつ、「まだまだ成長する時間があるので、今日の内容に決して満足することなく、伸びシロを伸ばして、次の練習、試合にフォーカスして成長していきたい」と先を見据えた。
石田キャプテンは「コンタクトのところで絶対負けないと話していて、いい部分がたくさん出て、激しい試合を制したことは良かった。FWには勇気づけられたし、チームを元気づけるプレーをしてくれたので、頼もしかった。我慢するところで我慢できて、最後まで走り勝つところで走り勝ったことはチームの自信になるが、課題もたくさん出たので修正したい」と話した。
関東大学ラグビー春季大会2022
【ハイライト動画】明治大学 vs. 帝京大学。春の大一番、昨季大学選手権決勝の再戦
今季、初の公式戦で黒星スタートとなった帝京大学の相馬朋和監督は「熱のこもった試合ができた。明治さんが我々より良いラグビーをしていたので敗戦した。負けなければ学べないこともたくさんあるので、この試合を今後の糧に、よりいいチームに成長していければいい」と話した。
キャプテンCTB松山は「昨季、決勝で明治さんに勝たせてもらって、相手はリベンジの気持ちでくることはわかっていた。80分隙を作らずに戦おうとチームメイトに伝えて試合に臨んだ。ブレイクダウン、セットプレーの部分で自分たちの課題が見つかった。チームに持ち帰ってより成長したい」と意気込んだ。
昨季は帝京大学に後手を踏んでいたブレイクダウンで、明治大学が互角、スクラムで優勢となるなど、成長の跡を見せて白星を飾った試合となった。ただ、まだ6月、対抗戦、大学選手権ともに連覇を狙う帝京大学は、今日の敗戦を糧にチームを作っていきたいところだ。また、昨季のリベンジを達成した明治大学は今日の勝利を大きな自信として次につなげていきたい。
3連勝となった明治大学は6月5日(日)、福島・いわきグリーンフィールドで同じく3連勝の東海大学と激突する。敗れた帝京大学は、早稲田大グラウンドで早稲田大学と対戦する。今後、両チームともに春季大会の試合が続くが、秋の関東対抗戦での再戦が楽しみになる一戦だった。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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