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昨季の大学選手権決勝のカード
4月から始まった「第11回関東大学春季交流大会」も中盤戦。5月29日(日)、昨季大学選手権で準優勝だった明治大学(関東対抗戦2位)と、10度目の大学王者に輝いた帝京大学(対抗戦1位)が静岡・エコパスタジアムで激突する。
両者は昨年6月も同スタジアムにおいて招待試合で対戦し、帝京大学が32-28で、2017年以来となる明治大学からの勝利で勢いに乗った。その後、帝京大学は秋の対抗戦(17-14)、大学選手権の決勝(27-14)でも勝利し頂点に輝いた。
まず、神鳥裕之監督の就任2年目を迎えた明治大学。初戦となるライバルの早稲田大学との「早明戦」は26-19で競り勝ち、2戦目の大東文化大戦では48-17で快勝。5月22日の招待試合では、慶應義塾大学に22-17で勝利するなど今季も力のあるところを見せている。
昨季は一度も勝てなかった帝京大学戦に向けて、東京五輪に出場したキャプテンWTB(ウィング)石田吉平(4年)を筆頭に、昨季の大学選手権決勝に出場した選手9名が先発する。
FW(フォワード)第1列は、PR(プロップ)に中村公星(4年)、為房慶次朗(3年)とお馴染みの2人に、今季から2番に定着しているHO(フッカー)松下潤一郎(3年)が入った。LO(ロック)はともに身長190cmを超える山本嶺二郎と亀井茜風の3年生コンビが務める。バックローはFL(フランカー)に森山雄太、石浦大貴と、こちらも3年生の2人。NO8(ナンバーエイト)は昨季、ルーキーながら大活躍した木戸大士郎が務める。
BK(バックス)はSH(スクラムハーフ)萩原周、SO(スタンドオフ)には昨季から10番に定着した伊藤耕太郎の3年生のハーフ団。CTB(センター)はスキルに長けた廣瀬雄也と石塚勝己の3年生の2人が入った。バックスリーは11番に主将WTB石田、14番にWTB原口虎太郎(ともに4年)、FB(フルバック)にはランが武器のFB安田昂平(2年)が入った。
控えには寮長のHO紀伊遼平(4年)、PR中山律希(3年)、副将のPR大賀宗志(4年)、ハイボールキャッチが得意なLO佐藤大地(2年)、昨春のMVPであるFL福田大晟(2年)、唯一のルーキーCTB山村和也、副将CTB齊藤誉哉(4年)、WTB秋濱悠太(2年)、WTB松本光貴(3年)、SO池戸将太郎(3年)、FB金昂平(2年)といった実力ある選手が揃った。
帝京大学に負けてから、フィジカルを強化してきた明治大学としては、試金石となる試合となるだろう。また、セットプレーでもプレッシャーを与えたいところ。そして石田主将が「今季は自分たちでもっと考えて、いろんな選択肢、対応力を持って、柔軟にプレーできるようになりたい」と話していた通り、勝負どころでの判断力も勝利の鍵を握るはずだ。
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一方、昨季の大学選手権10回目の優勝後、岩出雅之監督が勇退し、OBで元日本代表PRだった相馬朋和氏が監督に就任した帝京大学。相馬監督は昨夏からコーチとして帯同していたこともあり、フィジカルとディフェンスというチームの大きな軸は今季も変わらないだろう。
ただ、春季大会は初戦の大東文化大学戦、続く日本大学戦もコロナ禍の影響で不戦勝となり、この試合が今季初の公式戦となる。4月から練習試合は行っており、青山学院大学、山梨学院大学、さらには昨季の大学選手権準決勝で苦戦した京都産業大学に52-14で快勝するなど、今季もここまで負けなしできている。
相馬監督の公式戦初采配ということで注目が集まる一戦に、昨季の大学選手権決勝に出場した9人が先発する。
FWの第1列はPR津村大志、PR西野拓真の3年生コンビ、HOは福井翔が務める。LOは身長190cmのダアンジャロ・アスイ(3年)と江里口真弘(4年)がコンビを組む。バックローはLOでもプレーできるFL青木恵斗が6番、昨季まではNO8が多かった奥井章仁がオープンサイドフランカーを務める。NO8には延原秀飛(3年)が入った。
ハーフ団は、昨季1年生ながら9番として存在感を示したSH李錦寿(2年)、SOはゲームリーダー的存在のSO高本幹也(4年)、CTBはキャプテンの松山千大と、バックスリーでもプレー可能な二村莞司(ともに4年)が務める。バックスリーはスピードが武器で日本代表の父を持つWTB大籔洸太(4年)、WTB高本とむ(3年)が両翼を務め、昨季の後半からSHではなく、FBでプレーしている谷中樹平(4年)が最後尾に入った。
他にはHO/FL當眞蓮(2年)、PR梅田海星(2年)、PR/HO上杉太郎(3年)、LO山川一瑳(4年)、LO岡大翔(3年)、SH岡本泰斉(4年)、SO/FB小村真也(2年)、SO/CTB久木野太一(2年)、FL/NO8平井半次郎(2年)、FL/NO8倉橋歓太(2年)、CTB/WTB五島源(2年)がベンチ入りした。
新たに指揮官となった相馬監督は就任会見で「(帝京大ラグビー部のいいところを)守っていきたいと思います。周りの人に聞きながら、今あるものを大切にして、新たなものを加えていけたら」と話していた。フィジカル、激しいディフェンス、スクラムといった昨季の良かったところはそのままに、どんなカラーを加えていくか耳目が集まりそうだ。
明治大学が昨季の王者を下してリベンジし、勢いに乗ることができるか。ディフェンディングチャンピオンの帝京大学が、監督が変わっても強さを見せつけるか。今季の大学ラグビーを占う一戦は、5月29日(日)午後1時に静岡・エコパスタジアムでキックオフされる。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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