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会見に臨む堀江翔太
5月29日(日)、ジャパンラグビー リーグワンの初代王者を決めるプレーオフ決勝戦が国立競技場で開催される。昨季のトップリーグに続いて、リーグワン初代王者に王手をかけているのが、今季15連勝中で『堅守速攻』を持ち味とする埼玉パナソニックワイルドナイツ(リーグ戦2位)だ。
今週、火曜から決勝戦に向けた練習を始めた埼玉ワイルドナイツの中軸であるHO(フッカー)堀江翔太、PR(プロップ)稲垣啓太、SO(スタンドオフ)山沢拓也、WTB(ウイング)竹山晃暉の4人がオンラインでメディアに対応し、今季の戦いぶりや決勝に向けての意気込みを語った。
最後のトップリーグ王者であり、当然、リーグワン元年も優勝候補と目されていた埼玉ワイルドナイツ。ただ、開幕から2試合はコロナ禍の影響で不戦敗という苦しいスタートだった。
「意識も変わった」と稲垣啓太
PR稲垣は「序盤はラグビー以外で難しい部分があった。今までの準備ではダメで、ラグビーをやっているだけでは今季は戦い抜けない。選手1人1人の意識も変わった。最終的に負けなしで(決勝まで)来られたのは、ラグビーにおいても、感染予防対策にも心がけのレベルが高かったから」と話した。
HO堀江も「今シーズン、最初の2試合はつまずいたが、目の前の試合に集中して1試合1試合、成長していこうという話をずっとしていた。それができて、成長しながら勝ち進んでこられた。接戦で何度も勝ち切れたところは評価してもいい」と自然体で話した。
「成長した」と竹山晃暉
在籍3シーズン目、10トライを挙げたWTB竹山は「たくさん自分の課題が出たり、逆に今までのシーズンで出てきた課題を克服してきたことが、いい方につながった。シーズン振り返るとたくさん成長させていただいた」と語った。
また、SO山沢は「チャレンジの1つが、FB(フルバック)で先発したこと。10番で出ても、何事もうまくやろうと思わず、自分らしいプレーをしようとできているので、すごくいい形で試合を迎えられる」と振り返った。
プレーオフ決勝戦の相手は5年連続ファイナルに駒進めた、トップリーグ時代からのライバルである『アタッキングラグビー』を信条とする東京サントリーサンゴリアス(リーグ戦1位)となった。
PR稲垣は東京サンゴリアスの印象を「アグレッシブにアタックしてくるチームで、勢いを作り出してくるチーム。その勢いを使って、勢いをさらに作って最後に仕留め切る力を持っているチーム。トップ4に入ってくるチームはどこもセットプレーのレベルが高いし、50m以内なら3点を決められるいいキッカーもいる。反則をいかに減らすかが大事になってくる」と分析していた。
「よりも成長した姿を見せたい」と堀江翔太
HO堀江は「サントリーは変わらずアタックの素晴らしさがあるので、そこを僕らがどう止めるか。キーになる外国人のBK(バックス)の選手もいるし、日本人の選手たちも嫌な選手ばっかりなので、ディフェンスしながら相手の強みを消していくことができればいい」と冷静に話した。
SO山沢はオールブラックスでもある、中軸のSO/FBダミアン・マッケンジーに対して「すごく才能のある選手だと思うので、自由にさせると脅威になる。他にもサントリーにはいい選手がいるし、自由にプレーさせないようにできれば相手にもフラストレーションが溜まる。いかに自由にさせないかが一番のキーポイント」と話した。
2003年以降、両者の対戦は15勝15敗1分、カップ戦の決勝では東京サンゴリアスの6勝、埼玉ワイルドナイツの5勝というライバル関係にある。ただ、WTB竹山は「相手がサントリーだという外的要素で、メンタリティが左右されることはあまりない。過去のデータにとらわれてないと思うし、気持ちは入っているが、相手に関係なく、自分たちの強みを80分間やり切る。練習でやってきたことをしっかりと80分間出していきたい」と話した。
最後に意気込みを聞くとPR稲垣は「自分たちが積み上げてきたもの、準備してきたものを100%発揮できれば、しっかり結果がついてくる。自分たちの力を信じているので、まずは自分のやるべきことをしっかりやりたい」と言えば、HO堀江は「決勝では同じように、準決勝よりも成長した姿を見せられたらと思う」と話した。
昨季は新人賞に選ばれたが、プレーオフは負傷のため出場できなかったWTB竹山は「昨季は(決勝のピッチに立てなかったことは)個人的には悔しかった。今季は本当にたくさんの方々に支えがあって、ここまで来られているので、決勝のフィールドで恩返しができればいい。ファイナルもまだ成長するというマインドを持って臨んでいきたい」と語気を強めた。
SOでの先発が濃厚な山沢拓也
SO松田力也が負傷したため、10番を任されることが濃厚なSO山沢は「考えすぎたら硬くなってしまうし、(勝つことだけを考えると)チームもピリピリした雰囲気になってしまう。結果として、1点でも多く取って勝ちたいが、それ以上に自分たちらしいラグビーができればいい」と話した。
やはりファンも注目しているのは、選手たちも言うように、サンゴリアス東京のアタックを埼玉ワイルドナイツがしっかり守り、切り返しから得点を挙げられるかどうかとなろう。堅守速攻を軸とした「自分たちらしいラグビー」を見せて、埼玉ワイルドナイツがリーグワンの初代王者に輝くことができるか。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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