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ラグビー コラム 2022年5月26日

誇りをかけたシーズン最終戦。ブレイブルーパス東京×スピアーズ船橋・東京ベイ、リーグワン3位決定戦プレビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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東芝ブレイブルーパス東京 vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

初代王者への道がついえた直後に迎えるラストマッチ。気持ちの面で難しい部分があるのは確かだろう。ただしこの舞台に立つことは、リーグ有数の実力を示して長いシーズンを戦い抜いてきた証でもある。クボタスピアーズ船橋・東京ベイ東芝ブレイブルーパス東京、おのおのの1年の歩みと誇りをかけた激突。それがこの3位決定戦だ。

小川高廣

1週前に行われた準決勝での両者の戦いを振り返ると、リーグ戦4位通過のブレイブルーパスは、同1位の東京サントリーサンゴリアスにPG2本の差で24-30と惜敗した。強靭なフィジカルを武器に接点のバトルで優位に立ち、45分のSH小川高廣のトライで24-17と先行したが、そこから細かなエラーや反則が重なりスコアが停滞。終盤猛追したものの、勝負どころでセットプレーのミスが続き、あと一歩が届かないという内容だった。

一方のリーグ戦3位のスピアーズは、実質シーズン無敗の埼玉パナソニックワイルドナイツと対戦。看板の縦への推進力を押し出してたびたび見せ場を作ったが、ワイルドナイツの巧みな試合運びに要所を押さえきれず、10-24で競り負けた。少ないチャンスを確実にポイントに結びつける、リードする展開に持ち込み点差と時間で相手にプレッシャーをかけるというプレーオフの鉄則の重みを、あらためて実感するゲームとなった。

ディビジョン1でも1、2を争う体の強さとプレーの激しさで相手をなぎ倒してきた両者だけに、今回の試合で焦点になるのはコンタクトエリアとボール争奪局面の攻防だ。いずれも卓越した突破力を有するランナーがそろっており、いったん勢いに乗せてしまえば押し戻すのは難しい。コリジョンの場面でどちらが主導権を握れるかがゲームの趨勢を決めるポイントであり、見応えあるファイトが繰り広げられるだろう。

もうひとつ注目したいのは空中戦。ブレイブルーパスはワーナー・ディアンズ(201cm)とヒュー・パイル(202cm)、スピアーズはルアン・ボタ(205cm)に控えのデーヴィッド・ブルブリング(199cm)とLO陣に2メートル級のタワーがひしめき、BKにもそれぞれWTBセタ・タマニバル、FBゲラード・ファンデンヒーファーとハイボールに強い長身選手を擁する。キックオフやラインアウト、コンテストキックは一発で流れを変えられるプレーだけに、お互いどんなオプションを準備して臨んでくるのか興味深い。

なお両チームは今季、3月19日の第10節で戦っており、この時はスピアーズが43-28で勝利している。多彩なアタックで6トライを奪って快勝したスピアーズは、いいイメージを持って今回のゲームを迎えられるだろう。もっともブレイブルーパスもこの敗戦を機にチームがまとまり、そこからの6連勝でプレーオフ進出をつかみとっている。2か月後に巡ってきた再戦の機会で、雪辱に燃えているはずだ。

東芝ブレイブルーパス東京スターティングメンバー

キックオフ48時間前に発表された登録メンバーを見ていくと、ブレイブルーパスは準決勝から先発を8人入れ替えた。HO森太志と右PRの知念雄がリザーブから繰り上がり、第2列はヒュー ・パイルが4番に入る。バックローでは前節途中出場のシオネ・ラベマイ徳永祥尭が両FLで先発。徳永はゲームキャプテンも務める。

HB団はSH高橋昴平がスターターを務め、松永拓朗がFBからSOに移ってコンビを組む。前節SOの中尾隼太は12番にシフト。バックスリーではWTB桑山聖生、FB豊島翔平の2人が先発入りを果たした。攻撃的なBKラインの中で、“オフロード・マスター”タマニバルをどのように使ってくるのかも楽しみだ。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイスターティングメンバー

対するスピアーズの前節からの先発変更は、HOジャバ・ブレグバゼ、LOヘルウヴェ、WTB山崎洋之の3人。ブレグバゼをスターターに起用し、体重120kgのウヴェが4番に入ったことで、スクラムの推進力がスケールアップした印象だ。ベンチに控えるPRオペティ・ヘル、LOデーヴィッド・ブルブリングの起用法は、ゲーム展開を左右するひとつのカギとなる。

BKは負傷した木田晴斗に替わって山崎が11番に入った以外は、リザーブまで含めて同じ布陣となった。キャプテンの立川理道、オールブラックス48キャップのライアン・クロッティが並ぶCTB陣のミッドフィールドにおけるゲインライン争いは、試合の趨勢に直結する大事な要素だろう。準決勝はやや消化不良気味だったベストラインブレイカーのWTB根塚洸雅が、ここでどんなパフォーマンスを見せるかにも注目したい。

戦いの舞台は2か月前と同じ秩父宮ラグビー場(12時キックオフ)。21週間にわたるシーズンも、いよいよ今週末でフィナーレを迎える。気迫に満ちたクライマックスの激闘を、存分に堪能したい。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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