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ラグビー コラム 2022年5月22日

【ハイライト動画あり】東京サンゴリアス、激闘の「府中ダービー」を制して決勝へ。ジャパンラグビー リーグワン 準決勝

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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ノーサイド直後、喜ぶ東京サンゴリアスの選手たち

「花園」での「府中ダービー」は戦前の予想通り、やはり激闘となった。

5月21日(土)、大阪・東大阪市花園ラグビー場で、ジャパンラグビー リーグワン プレーオフトーナメント準決勝の1試合目、リーグ戦1位の東京サントリーサンゴリアスと、4位の東芝ブレイブルーパス東京の一戦が行われた。

両者はともに東京・府中市に練習場を構えるため、「府中ダービー」として熾烈な戦いを繰り広げてきたライバル同士である。今季は1月8日(土)にリーグワン初戦で対戦。東京サンゴリアスが60-46で勝利。しかし、5月1日(日)第15節は、東芝ブレイブルーパス東京が、27-3とノートライに抑えリベンジを果たした。今季は1勝1敗、これまで東京サンゴリアスが28勝、東芝ブレイブルーパス東京が26勝とほぼ互角の戦いを繰り広げてきた歴史がある。

東京サンゴリアスは、リーグ最終節がコロナ禍の影響で中止となったが、第15節のブレイブルーパス戦から、先発をFW(フォワード)3名、BK(バックス)1名変更した。FWは日本代表候補のPR(プロップ)垣永真之介、2019年ワールドカップ日本代表HO(フッカー)北出卓也、LO(ロック)には国際経験豊富な元日本代表LO(ロック)ツイ ヘンドリックらに加え、明治大学出身の箸本龍雅が、NO8(ナンバーエイト)として初先発した。

BK陣は、SH(スクラムハーフ)流大、キャプテンのCTB(センター)中村亮土といった日本代表や、昨年の世界最優秀選手候補にもノミネートされたオーストラリア代表のCTBサム・ケレビ、リーグワン得点王となったオールブラックスのFB(フルバック)ダミアン・マッケンジー、昨季のトライ王WTB(ウィング)テビタ・リーが入った。

試合は激しいフィジカルバトルとなった

一方、リーグ戦を6連勝でフィニッシュした東芝ブレイブルーパス東京は最終戦からFW1名、BK3名を変更。流通経済大学柏高校を卒業し加入したルーキーで、昨秋に日本代表初キャップも獲得したワーナー・ディアンズジェイコブ・ピアス、ともに2m越えの大型LOがチームのセットプレーを支え、FL(フランカー)は日本代表のリーチ マイケルと、ニュージーランド代表で活躍したマット・トッドの経験値の高い2人が入った。

BKには共同主将の1人SH小川高廣、SO(スタンドオフ)には日本代表候補に選出された中尾隼太がハーフ団を組む。両翼は元オールブラックスのWTBセタ・タマニバルと、日本代表を狙うジョネ・ナイカブラが務めた。

曇り空の下、7525人の観客が見守る中、東京サンゴリアスのキックオフで試合が始まった。序盤は接点での激しいバトルが繰り広げられる中、前半7分、東京サンゴリアスはFBマッケンジーがPG(ペナルティゴール)を外すと、17分に東芝ブレイブルーパス東京はSO中尾隼太が決めて3点を先制。

インターセプトからトライを挙げるWTB尾崎

24分、東芝ブレイブルーパス東京が相手ゴール前で攻めるものの、東京サンゴリアスのWTB尾崎晟也が自陣22m付近で相手パスをインターセプト。そのまま快足を活かして走りきり、中央に飛び込んで7-3と逆転に成功する。

しかし、ブレイブルーパスもすぐに反撃し、27分、相手ゴール前からモールを押し込み、最後はラックからLOピアスが左中間に押さえて、ゴールも決まり、再び3点をリードする。

キックを蹴るSH小川。この後、トライも決めた

31分に東京サンゴリアスもPGで10-10と同点にすると、36分には東芝ブレイブルーパス東京が、自陣の相手モールからボールを奪い、SH小川が裏へキック。WTBナイカブラが、相手FBマッケンジーにタックルし、FLリーチがジャッカルを決めて、最後はSH小川がギャップを突いて右中間にトライ。7点をリードする。

100試合目でトライを挙げたPR石原

ロスタイム、東京サンゴリアスも相手陣でラインアウトを得て、持ち前の攻撃ラグビーを見せてボールを展開。最後はサントリーとしての100試合目となったPR石原慎太郎が左隅に押さえてトライ。FBマッケンジーが難しい角度のゴールを決めて17-17の同点で折り返した。

SH小川のトライで東芝ブレイブルーパス東京がリード

後半、先に得点を挙げたのは東芝ブレイブルーパス東京だった。一度、モールを止められた後の5分、敵陣右ゴール前ラインアウトからモールを押すと見せかけてボールアウトし、SH小川が今日2つ目となるトライを挙げて再び7点をリードした。ただ、「ファイナルラグビーはどういうものか、規律、そして自分たちのラグビーをどう出すかを話してきた」(SH流)というサントリーは落ち着いていた。

トライを決めた後、笑顔のCTB中村主将

相手にやや疲れが見え、反則が増えてきた9分、12分とFBマッケンジーが約50mのPGを2本決め、1点差に追い上げる。さらに19分、相手陣22mライン付近からラインアウトを起点にアタックを継続、最後は「本能だった」というCTB中村が、ラックから持ち出してトライを挙げて30-24と再び逆転に成功した。

東芝ブレイブルーパス東京、ラベマイの突進

24分、東芝ブレイブルーパス東京も途中出場のFLシオネ・ラベマイがインゴールまでボールを持ち込んだが、TMO(テレビジョンマッチオフィシャル)の末、トライは認められなかった。その後も東芝ブレイブルーパス東京はラインアウのミスや、東京サンゴリアスの途中出場の選手たちの激しいタックルの前に得点を重ねることができず、そのまま東京サンゴリアスが、30-24で勝利し、5シーズン連続の決勝進出を決めた。

15得点を挙げてPOMに輝いたFBマッケンジー

POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には、得意のキックで15得点を挙げてチームを牽引した東京サンゴリアスのFBマッケンジーが選出された。「前半、キックを外した部分があったが、自分のミスだった。後半、修正してちゃんと決められて良かった。厳しい展開になったが、チームとしてすごくいいパフォーマンスができて、たくさんのファンの目の前でハードワークできていい結果を残せてよかった」と語った。

ブラックアダーHC(左)、小川共同主将

常にリードする展開ながら逆転負けを喫した東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダーHC(ヘッドコーチ)は、「本当にこういった試合では、小さな事がすごく大切になる。自分たちの遂行がうまくいかなかった。やはり決勝トーナメントでのプレッシャーを感じました」と悔しさをにじませながらも、「自分たちのチームを誇りに思う」と選手たちの奮闘ぶりを称えた。

共同主将の1人、SH小川は「今日は絶対にフィジカルのバトルだと思って臨んだ。その部分では自分たちも上回っていると思っていました。ただ、やっぱりサンゴリアスさんはずっと上位チームで、こういう舞台に本当に慣れていて落ち着いていて、それに対して自分たちは結構試合中も、あまり冷静でいられなかった部分もあった。そういう差が出た」と振り返った。

ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1 準決勝

【ハイライト動画】東京サンゴリアス vs. 東芝ブレイブルーパス東京

ただ、小川主将は「これでまだ終わらない。また来週(3位決定戦)、この緊張感を思い出して勝てるようにしたい」と前を向いた。FLリーチも「去年より、その前の年からもどんどんステップしているし、上がってきているので、勝って終わるのはすごく大事」と3位決定戦に向けて気持ちを切り替えていた。

ヘイグHC(左)、中村主将

逆転勝ちを収め、5シーズン連続となる決勝へ駒を進めた東京サンゴリアスのミルトン・ヘイグHCは「東芝との対戦はローカルダービーということもあり、毎回、タフなフィジカルバトルになります。前半20分、いいディフェンス、いいプレーをしました。後半は同じようにプレーしたが1つ、2つミスをした。来週はファンを満足させたい」と話した。

決勝トライを決めたCTB中村主将は、「今までの戦い方とはちょっと違う、負けたらお終いというラグビーをしなくてはいけないので、今週はミーティングを重ねながら、ゲームプランを自分たちで考えながら組み立てました。それがみんなメンタル的にも遂行できたのは、たくましく感じます」と胸を張った。

さらに中村主将は、「サンゴリアスはアタッキングラグビーのチームなので、激しいアタッキングラグビーを決勝でも見せたい。今日出た修正ポイントは、自分たちでコントロールできるペナルティの部分です。リーグワン初代チャンピオンになりたいという思いだけでここまでやってきたので、このチームで、仲間と一緒に笑顔で終わりたい」と決勝戦を見据えた。

善戦したものの敗れた東芝ブレイブルーパス東京は5月28日(土)に、東京・秩父宮ラグビー場で3位決定戦を戦う。試合巧者ぶり、そしてチーム一丸となって勝利した東京サンゴリアスは、29日(日)、東京・国立競技場でリーグワン初代王者を目指し、埼玉パナソニックワイルドナイツとのファイナルに臨む。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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