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決勝「国立」へのきっぷを懸けた戦いは聖地「花園」での「府中ダービー」。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフトーナメント準決勝
ラグビーレポート by 斉藤 健仁東京サントリーサンゴリアスvs.東芝ブレイブルーパス東京
いよいよリーグワン元年のクライマックスを迎える。今週末はディビジョン1のプレーオフ準決勝が行われる。21日(土)は大阪・東大阪市花園ラグビー場で、東京サントリーサンゴリアス(リーグ戦1位)と、東芝ブレイブルーパス東京(同4位)が激突する。
両チームはともに東京・府中市に練習場を構えるため、トップリーグ時代から「府中ダービー」として熾烈な戦いを繰り広げてきた。なお、両チームの選手によると花園ラグビー場での「府中ダービー」は記憶にないという。
今季は1月8日(土)の開幕戦で両者は対戦し、激しい点の奪い合いの末、東京サンゴリアスが60-46で勝利。しかし、5月1日(日)の第15節では東芝ブレイブルーパス東京が、27-3と東京サンゴリアスをノートライに抑え、リベンジを果たした。
過去55回の対戦で、東京サンゴリアスが28勝、東芝ブレイブルーパス東京が26勝とほぼ互角の戦いで、今回も熱戦必至の「府中ダービー」だが、それでは東京サンゴリアスのメンバーから見ていきたい。
昨季、最後のトップリーグで準優勝と、6度目のタイトルを逃した東京サンゴリアスは、リーグワンになってもどこからでもトライを取る「アグレッシブアタッキングラグビー」は不変。チームを率いて3シーズン目となる、ジョージア代表前指揮官で、ニュージーランド出身のミルトン・ヘイグHC(ヘッドコーチ)が指揮を執り、14勝2敗、勝ち点66と堂々の首位でプレーオフに駒を進めた。
東京サントリーサンゴリアス
最終節はコロナ禍の影響で試合が中止となったが、第15節の東芝ブレイブルーパス東京戦からFW(フォワード)3名、BK(バックス)1名の先発を変更した。FW第1列はPR(プロップ)に石原慎太郎と、日本代表候補の垣永真之介。HO(フッカー)は、2019年ワールドカップ日本代表の北出卓也が務め、LO(ロック)には国際経験豊富な元日本代表ツイ ヘンドリックと、206cmのハリー・ホッキングスがコンビを組む。
バックローはFL(フランカー)に飯野晃司、ベテランのジャッカラー小澤直輝、そして、明治大学出身の1シーズン目のNO8(ナンバーエイト)箸本龍雅が大舞台で初先発となった。
BK(バックス)陣は、日本代表でも活躍するSH(スクラムハーフ)流大と、今季、10番としてチームを引っ張ってきたSO(スタンドオフ)田村煕がハーフ団を務める。CTB(センター)は、キャプテンの日本代表の中村亮土と、昨年の世界最優秀選手にもノミネートされた突破力が武器のオーストラリア代表のサム・ケレビがコンビを組む。
バックスリーはWTB(ウイング)に、今年の日本代表候補に選出された尾崎晟也と、昨季のトップリーグトライ王のテビタ・リー、そしてFB(フルバック)にはリーグワン得点王に輝いたオールブラックスのダミアン・マッケンジーが入った。
リザーブにはHO堀越康介、SH齋藤直人、CTB/WTB中野将伍の日本代表候補3人、PR森川由起乙、PRセミセ・タラカイ、LO小林航、尾崎晟也の弟で1シーズン目のCTB泰雅(帝京大学出身)、さらに4月に入部したばかりの慶應義塾大学出身のFL山本凱らが控えており、ベンチからインパクトを与えてくれるはずだ。
サンゴリアス東京のスタッツを見ると、リーグ戦のトライ数は1位で78トライ、ディフェンス突破回数も404で1位。また、クリーンブレイク91は2位、ゲインメーターは2位の10523m。当然、今季もアタック力でリーグ1位となった。
ヘイグHCは「(5月1日の東芝ブレイブルーパス東京戦後)前半に7つのペナルティと、3つターンオーバーをされた。そういった部分を改善しなければプレーオフでは勝てない。修正していきたい」と話した通り、サンゴリアス東京の攻撃ラグビーはブレイクダウンでのテンポのいい球出しは必須だ。やはり、FWのバックファイブの働きがキーとなろう。
CTB中村キャプテンは「どこからでも得点できる能力のある選手がいるし、全員サンゴリアスのラグビーを体現できるのが強み。プレーオフになると本当にタイトなゲームになってくるので、ボール持ってないときにハードワークできる尾崎晟也や、僕みたいな選手がキーになってくる」と腕を撫した。
東芝ブレイブルーパス東京
一方、東京サンゴリアスと同様、トップリーグ最多タイの優勝5回を誇る東芝ブレイブルーパス東京だが、ここ数シーズンはタイトル争いから遠のいていた。ただ、3シーズン前より元ニュージーランド代表のLO(ロック)でクルセイダーズやバースで指揮をとったトッド・ブラックアダーHCの下、着実に強化を進めてきた。
持ち味であるフィジカルラグビーだけでなく、「ボールが流れるように動く、エンターテイメント性に富んだラグビー」にも挑戦してきた。今季は徐々に調子を上げ、第11節からは負けなしの6連勝で、2015-16シーズン以来のプレーオフ進出の切符を掴み取った。
東芝ブレイブルーパス東京のメンバーは、リーグ最終戦の静岡ブルーレヴズ戦から、FW1名、BK3名を変更した。FWのフロントローにはベテランの元日本代表PR三上正貴と、天理大学出身で1シーズン目の小鍜治悠太のコンビに、今年久しぶりに日本代表候補に選出されたHO橋本大吾という構成となった。
LOは流通経済大学柏高校を卒業して1シーズン目で、昨秋に日本代表初キャップも獲得したワーナー・ディアンズと、ジェイコブ・ピアス。ともに2m越えの大型LOがチームのセットプレーを下支えする。バックローは日本代表FLリーチ マイケルと、ニュージーランド代表で活躍したマット・トッドの経験値の高い2人に、NO8には日本代表候補にも選ばれた山本浩輝が入った。
BKには共同主将の1人で日本代表候補のSH小川高廣、SOには今季、チームのパスラクビーの中軸であり、日本代表候補にも初選出された中尾隼太が入ったCTBはベテランのティム・ベイトマンと、25歳のニコラス・マクカラン。バックスリーは元オールブラックスのWTBセタ・タマニバルと、日本代表候補のスピードスターWTBジョネ・ナイカブラ、FBには天理大学出身で1シーズン目の松永拓朗が入った。
フィジカルやセットプレーの強みだけでなく、ブラックアダーHCが掲げるパスラグビーはすっかり浸透している。東芝ブレイブルーパス東京のスタッツを見ると、トライ数こそ1位のサンゴリアス東京より、4つ少ない74トライだったが、ボールキャリーはトップの1704回、ゲインメーターはサンゴリアス東京を上回り11496mで1位、オフロードパスも1位の178回だ。セットプレーとブレイクダウンで上回れば、自然と東芝のアタック力が活きてくるはずだ。
ブラッカダーHCは「サンゴリアスさんはボールを持つと、才能のある選手たちが一気にアタックしてくる。リーグの中でも一番危険なチームだと思います」と警戒を怠らない。
共同主将のSH小川は「強みはアグレッシブなディフェンスと、グラウンドを広く使ったアタック。サンゴリアス東京はアウトサイドBKなどにいいランナーがいるのが強みですが、そこはうちも強みで勝てる選手がいると思うので、しっかり倒したい」と意気込んだ。
サンゴリアス東京のCTB中村主将が「(東芝ブレイブルーパス東京に敗戦し)バッチリ目が覚めた感じです。上回らないといけないのは勝ちたい気持ちです。本当ぶつかりに行く気持ちでいきます」と言えば、東芝ブレイブルーパス東京の共同主将SH小川は、「正真正銘の戦いになるので、徹底的に、もう1回、潰してやるという気持ちで準備しています」と応戦した。
ともに今季、アタック力でトップ4に入った両チーム。ボールの供給源であるセットプレー、そしてブレイクダウンでの趨勢が、そのまま勝負に直結することは間違いなさそうだ。
東京サンゴリアスは、持ち前のアタッキングラグビーでトライを量産、第15節のリベンジを果たしてライバルを退けて初代王者に向けて前進したい。東芝ブレイブルーパス東京としても、第15節同様の激しいディフェンスとパスラグビーを武器に、再び好敵手に勝利して、強豪復活の狼煙を上げたい。
今季3度目、そして花園での「府中ダービー」となったプレーオフ準決勝1試合目は5月21日(土)午後2:30にキックオフされる。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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