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ラグビー コラム 2022年5月10日

【ハイライト動画あり】明治、後半に底力を発揮し大東文化を突き放す。関東大学春季交流大会レビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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大東文化大学 vs. 明治大学

1週前の早稲田大学戦から先発15人全員を入れ替えて臨んだ明治大学にとっては自信を深める勝利だ。これがこの春初戦の大東文化大学にしても、敗れたとはいえつかんだ手応えは小さくなかっただろう。

お互いに今シーズンの目指すスタイルをストレートに押し出し、真っ向から強みをぶつけ合う。だからこそ現時点での成果と課題は随所に浮かび上がった。それぞれがここからどのように力を高め、チームとして成長していくのかが楽しみになる。そんな春らしいゲームだった。

立ち上がりの20分は大東文化の前へ出る勢いが目を引いた。吉瀬航太、手島壮汰の両FLが目の覚めるようなビッグタックルを連発し、ディフェンスからリズムを生み出していく。10分に防御ライン裏のスペースをキックで崩され明治に先制トライを許したものの、17分に連続攻撃で左サイドにオーバーラップを作りWTB松田武蔵がトライ。その直後にもNO8サイモニ・ヴニランギのパワフルな突進をサポートしたSH稲葉聖馬が約30メートルを走り切り、10-5と逆転する。

しかし明治もここからじわりと地力を発揮。FWとBKが一体となったスピーディーなアタックで相手陣に攻め込むと、27分にゴール前のペナルティからPR中山律希が力強くタックラーを弾いてポスト下にねじ込む。続く33分にもFW戦でゴールラインに迫り、右ショートサイドでパスを受けたPR中山が連続トライ。さらにハーフタイム直前の43分には22メートルライン付近の左スクラムからBKのサインプレーでWTB杉本大雅がフィニッシュし、24-10として前半の40分を終えた。

後半も序盤から激しい攻防が繰り広げられる中、先に得点を刻んだのは明治だった。44分、統制のとれた組織防御で辛抱強く守り続けて相手のハンドリングエラーを誘うと、こぼれ球を確保するやすかさず切り返してFB金昂平が鋭くラインブレイク。フォローしたCTB石塚勝己が左中間に押さえ、29-10とリードを広げる。

関東大学ラグビー春季大会2022

【ハイライト】大東文化大学 vs. 明治大学

大東文化もここで意地を見せ、48分にラインアウト起点のアタックからWTB松田が腰の強い走りで左タッチライン際を大きくゲイン。折り返しの右オープン展開でSO落和史がぽっかり空いたスペースを走り抜け、17-29と12点差に詰め寄った。

もっとも、明治の懐の深さが表れたのはここからだった。続くキックオフのタイミングで一気に7人を入れ替えて布陣をリフレッシュすると、フィールドに立ったリザーブのメンバーたちがいきなり躍動。54分、途中出場のルーキーCTB山村和也が得意のステップでチャンスを作り、同じく入ったばかりのWTB西川賢哉がフリーで抜け出してトライをマークする。

その後は細かい部分でのコンビネーションの乱れで膠着する時間帯もあったものの、運動量と前に出る推進力で大東文化にプレッシャーをかけ続け、主導権を掌握。70分に連続攻撃からPR床田淳貴、77分にはモールドライブでHO金勇哲がトライを追加し、最終的に48-17までスコアを伸ばしてフルタイムを迎えた。

相手の厳しいコンタクトに食い込まれる場面もあったものの、受けに回ることなく体を当て続け、疲労が蓄積する時間帯にトライを重ねて交流大会2勝目を挙げた明治。「最初は大東文化大学の激しいプレッシャーにうまくいかないシチュエーションもあったが、80分間を通してスタンダードをキープできたのはよかった」と神鳥裕之監督が振り返ったように、苦しい状況でも技に逃げず、最後まで一貫性を保って押し切ったところに、チームとしての確かな歩みを感じさせた。

何より際立ったのは選手層の厚さだ。早稲田戦から丸ごと入れ替わったスターティングメンバーのみならずベンチにも世代有数の実力者が並び、それぞれが持ち味を生かしたプレーで輝きを放った。「いまは全員を競わせている状態。誰が秋に向けて手を上げるかというところを注目していきたい」と神鳥監督。昨季の大学選手権決勝と同カードとなる次節の帝京大学戦(5月29日13時キックオフ@エコパスタジアム)ではどのようなどんな組み合わせが見られるのか、ファンならずとも興味がふくらむところだろう。

一方の大東文化大学も、出足鋭いタックルや個々の強靭なコンタクトでたびたび見せ場を作り、ゲームを通して高いポテンシャルを示した。共同キャプテンのFB青木拓己が「接点、セットプレーなどさまざまな部分で上回るチームと戦って、自分たちの立ち位置がわかった」と語ったように、全国トップクラスの相手との実戦で通じる部分と足りない部分を体感できたことは、この日の最大の収穫だろう。

「今シーズン最初の試合で緊張感もあったと思うが、すごくいいプレーもあったし、改善点もあった。それらを整理して、次の試合に向けて改善していきたい」と日下唯志監督。こちらも今後の躍進に期待を抱かせた。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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