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藤井雄一郎NTD
5月9日(月)、日本ラグビー協会は2022年度男子15人制日本代表候補選手63名(FW:36名、BK:27名)を発表し、藤井雄一郎15人制男子日本代表NTD(ナショナルチームディレクター)がオンラインで会見を開いた。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
まず、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は日本ラグビー協会を通じて、下記のようにコメントした。「ラグビーワールドカップ2023フランス大会まであと1年余りとなりました。新しいシーズンの幕開けを迎え、充実したテストマッチシリーズに向けて、日本代表候補を発表できますことをうれしく思います」。
「この2年間は国際試合中断の影響もあり、このたび再び日本のファンの皆さんの前で、全国のスタジアムにてプレーできますことは、とてもエキサイティングなことです。コーチングチームとしては、リーグワンを注視してきており、そのラグビーのレベルや競争力にとても満足しています。日本国内トップチームでの競技は年々向上しており、以前にも増して、我々が世界レベルのチームを編成できる真の実力を証明する場となっています」。
「今回のメンバー選考では、経験、潜在能力、その他の適切なバランスを見極めるとともに、我々のプレースタイルを補完する能力と姿勢を持ち、かつ我々のスタイルを進化させる可能性を持つ選手を探しました。シニアプレーヤーは、経験豊富なチームのバックボーンとして重要な役割を担っていますが、同時に若いプレーヤーを指導し、導く役割も担っています。新しい選手には、ステップアップして自分の力を発揮し、チームに新たな一面をもたらす機会を得ることを期待しています」。
「2023年のラグビーワールドカップを見据え、世界の強豪を相手にラグビーにさらに磨きをかけ、どのチームにも挑戦できるような最高のポジションに身を置くことが、私たちのセレクションのすべてです」。
今回、10名がコンディションの都合により選考外となったが、63名中、21人がノンキャップメンバーとなり、HO(フッカー)堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、CTB(センター)立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が日本代表に復帰した。
それ以外にもPR(プロップ)津嘉山廉人(横浜キヤノンイーグルス)、FL(フランカー)下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)、SO(スタンドオフ)李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)、WTB(ウィング)竹山晃暉(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、WTB根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)ら、リーグワンで活躍する若い選手も選出された。
今回、HO庭井祐輔(横浜キヤノンイーグルス)、PR具智元、LO(ロック)小瀧尚弘(コベルコ神戸スティーラーズ)、LO(ロック)ジェームス・ムーア(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス浦安)、FL福井翔大、SO松田力也(ともに埼玉パナソニックワイルドナイツ)、SO小倉順平(横浜キヤノンイーグルス)、CTB中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)、FB(フルバック)松島幸太朗(クレルモン)、WTB/FBセミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)は、コンディション都合により選考対象外となった。
一方、昨季は日本代表として活動していたPR中島イシレリ(コベルコ神戸スティーラーズ)、NO8(ナンバーエイト)アマナキ・レレィ・マフィ(横浜キヤノンイーグルス)、WTBレメキ ロマノ ラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛)など、2019年ワールドカップに出場した選手は選外となった。
藤井NTDは6・7月のテストマッチに向けて「大事なポジションでケガ人が数人出ていて、今回はチャレンジのテストマッチになる。ただワールドカップでも同じような状況が想定されるので、そういう意味では、初めてキャップを手にする選手も出てくる可能性もある」。
「これを他の選手がチャンスと捉えて、良いパフォーマンスでアピールしてほしい。また、どれくらいの選手がどこのレベルまでいくのかを見極めるのと、ワールドカップでもケガなどが想定されるので、できるだけ幅広く選手を見たい」と話した。
今回は、選考対象外に名前が挙がった10名も含めて、2023年ワールドカップに向けて70名を超える大きなスコッドが発表されたというわけだ。藤井NTDも「100%ではないが、基本的には相当なことがない限り、(他の選手が)ここに食い込んでくることは大変かなと思います」と話した。
63名はリーグワンのディビジョン1の選手がほとんどで、埼玉パナソニックワイルドナイツが最多の12名、東京サントリーサンゴリアスが11名など、トップ7に入ったチームからの選手がほとんどとなり、ディビジョン2の選手は、先日、ディビジョン1昇格を決めた花園近鉄ライナーズに所属する3名のみにとどまった。
「リーグワンのカレンダーでは、スーパーラグビーに参戦できないので、1シーズン、ディビジョン1でプレーするのと、ディビジョン2,3でプレーするのではまったく違ってくる。そういった意味ではディビジョン1に偏ってくる」。
「トップ4のチームのやっている精度、クオリティがまったく違うのでいたしかたない。また、リーグワンで頑張れない選手は恐らくテストマッチでも頑張れない。全試合で安定したパフォーマンスを出した選手、チームの事情で、外国人選手との兼ね合いで(出られず)ちょっと見てみたい選手を選んだ」(藤井NTD)。
また、HO堀江、CTB立川が復帰したことに関して、藤井NTDは「堀江はちょっと別格なので、スーパー特別扱いです。ジェイミーもずっと気にしています。彼はリーグワンで、コンディションが良く、文句なく入ってこられる選手なので、そういう意味で選んでいます」。
「また、いろんなCTBを見て、立川は経験がある。若い選手にチームにとってプラスになることを教えられるし、中村が外れることもあり、経験がある選手を入れておきたいと思った。次のワールドカップを狙うのであれば狙ってほしい」と説明した。
「今回のシリーズで特に見てみたいポジションは堀江以外のフッカー、田村優(横浜キヤノンイーグルス)、松田力也に次ぐスタンドオフだという。「山沢(拓也/埼玉パナソニックワイルドナイツ)は上からの順番で、一番近いところにいた。中尾(隼太/東芝ブレイブルーパス東京)に関しては、リーグのパフォーマンスが良かった。2人はその次の選手になる。しっかりチャンスだと思って、2人はつかんでもらいたい」(藤井NTD)。
また、SO中尾、SO李、WTB根塚洸雅、WTB竹山晃暉ら、新たに日本代表候補に入ってきたメンバーも「テストマッチのハイプレッシャーでどこまでできるか見てみたい」(藤井NTD)という。
今回の63名は日本代表とNDS(ナショナル・ディベロップメント・スコッド)の2つのチームに分かれて、6月から本格的に活動していく。ジョセフHCや藤井NTDの頭の中では、誰がどちらのチームで練習するかなど、だいたいの振り分けはできているとのこと。なお、キャプテンはまだ決まっていない。
NDSのメンバーが「エマージングブロッサムズ」として、6月11日のトンガサムライズと対戦し、ウルグアイ代表との第1テストマッチはNDSと日本代表の混合チームで臨む予定だ。もちろん、ウルグアイ代表の第2テストマッチ、フランス代表戦は日本代表が対戦する。また、NDSのメンバーで6月下旬に韓国代表と試合をする方向で調整中だ。
いずれにせよ、2023年ワールドカップまで残り1年半を切った。新たに日本代表に名乗りを挙げる選手が出てくるか注目したい。約70名の選手が切磋琢磨し、練習や試合を通して個々を成長させながら、ワールドカップのスコッド33名を目指していく。
◆日本代表候補選手63名(ポジション、名前、所属、キャップ数)
【FW(フォワード):36名】
・PR 淺岡俊亮(トヨタヴェルブリッツ/0)
・PR 稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ/39)
・PR ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ/20)
・PR 岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス/0)
・PR 垣永真之介(東京サントリーサンゴリアス/10)
・PR 北川賢吾(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/3)
・PR 木津悠輔(トヨタヴェルブリッツ/3)
・PR 津嘉山廉人(横浜キヤノンイーグルス/0)
・PR クレイグ・ミラー (埼玉パナソニックワイルドナイツ/6)
・PR 森川由起乙 (東京サントリーサンゴリアス/0)
・HO 坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ/27)
・HO 中村駿太(東京サントリーサンゴリアス/0)
・HO 橋本大吾(東芝ブレイブルーパス東京/2)
・HO 堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ/66)
・HO 堀越康介(東京サントリーサンゴリアス/4)
・LO 秋山大地(トヨタヴェルブリッツ/0)
・LO 大戸裕矢(静岡ブルーレヴズ/4)
・LO ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ/6)
・LO サウマキ アマナキ(横浜キヤノンイーグルス/0)
・LO 辻雄康(東京サントリーサンゴリアス/0)
・LO ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京/1)
・LO 長谷川崚太(埼玉パナソニックワイルドナイツ/0)
・LO ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪/18)
・LO サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ/0)
・FL ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ/2)
・FL 嶋田直人(横浜キヤノンイーグルス/0)
・FL 下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス/0)
・FL セル ジョセ(花園近鉄ライナーズ/0)
・FL 古川聖人(トヨタヴェルブリッツ/2)
・FL 山本浩輝(東芝ブレイブルーパス東京/5)
・FL ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/13)
・FL リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京/72)
・NO8 テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス/9)
・NO8 徳永祥尭(東芝ブレイブルーパス東京/15)
・NO8 姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ/22)
・NO8 ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/2)
【◆BK(バックス):27名】
・SH 小川高廣(東芝ブレイブルーパス東京/2)
・SH 齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス/6)
・SH 茂野海人(トヨタヴェルブリッツ/13)
・SH 中嶋大希(コベルコ神戸スティーラーズ/2)
・SH 流大(東京サントリーサンゴリアス/27)
・SO 田村優(横浜キヤノンイーグルス/68)
・SO 中尾隼太(東芝ブレイブルーパス東京/0)
・SO 山沢拓也(埼玉パナソニックワイルドナイツ/3)
・SO 李承信(コベルコ神戸スティーラーズ/0)
・CTB 梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス/1)
・CTB シェーン・ゲイツ(NTTコミュニケーションズシャイニンズアークス東京ベイ浦安/1)
・CTB 立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/55)
・CTB テアウパ シオネ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/3)
・CTB ラファエレ ティモシー(コベルコ神戸スティーラーズ/27)
・CTB 中野将伍(東京サントリーサンゴリアス/2)
・CTB ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ/4)
・WTB 高橋汰地(トヨタヴェルブリッツ/0)
・WTB 竹山晃暉(埼玉パナソニックワイルドナイツ/0)
・WTB ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京/0)
・WTB ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/0)
・WTB シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ/6)
・WTB 根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/0)
・WTB アタアタ・モエアキオラ(コベルコ神戸スティーラーズ/4)
・WTB 山下楽平(コベルコ神戸スティーラーズ0)
・FB 尾崎晟也(東京サントリーサンゴリアス/3)
・FB 野口竜司(埼玉パナソニックワイルドナイツ/13)
・FB 山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ/22)
◆今後の合宿スケジュール
・5月14・15日:日本代表候補テスティングキャンプ(大分県別府市)
・5月23~27日:日本代表候補スキル&コンディショニングキャンプ(大分県別府市)
・6月 3~30日:日本代表合宿(宮崎県宮崎市)
・6月 3~27日:NDS合宿(大分県別府市)
・7月 3~ 9日:日本代表合宿(東京都港区)
※キャンプ、合宿の日程は変更になる場合もあり
◆今後の試合予定
・6月11日(土)13:00 EMERGING BLOSSOMS vs. TONGA SAMURAI XV(秩父宮ラグビー場)
・6月18日(土)15:00 日本vs.ウルグアイ(秩父宮ラグビー場)
・6月25日(土)15:00 日本vs.ウルグアイ(ミクニワールドスタジアム北九州)
・7月 2日(土)15:00 日本vs.フランス(豊田スタジアム)
・7月 9日(土)14:50 日本vs.フランス(国立競技場)
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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