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ラグビー コラム 2022年5月9日

東芝ブレイブルーパス東京、土壇場の逆転でプレーオフに向け勢いをつける勝利。ジャパンラグビー リーグワン最終節

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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リーグワン最終節、静岡ブルーレヴズvs.東芝ブレイブルーパス東京

ジャパンラグビー リーグワンのディビジョン1は、5月7日(土)8日(日)にリーグ戦の最終節となる第16節を迎えた。8日は8位の静岡ブルーレヴズが、前日、プレーオフ進出を決めた4位の東芝ブレイブルーパス東京を、静岡・ヤマハスタジアムに迎えた。

リーグワン元年、コロナ禍の影響で5試合が中止となった静岡ブルーレヴズ。先週もコロナ禍の影響で、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦が中止となり、2週間ぶりの試合となった。すでに入替戦は回避しており、今季の最終戦をホストのファンの前で、白星で締めくくりたいところ。

先発は2週間前に15-18で逆転負けを喫したトヨタヴェルブリッツ戦から、FW(フォワード)とBK(バックス)各1名を変更。FWは日本代表のLO(ロック)大戸裕矢主将を中心に、HO(フッカー)日野剛志、南アフリカ代表NO8(ナンバーエイト)クワッガ・スミスら経験値の高い選手が名を連ね、BKはベテランの元日本代表SH(スクラムハーフ)矢富勇毅、SO(スタンドオフ)サム・グリーン、2年目のFB(フルバック)奥村翔らが先発した。

一方の東芝ブレイブルーパス東京は、前節、首位の東京サントリーサンゴリアスに27-3と勝ち、5連勝で4位に浮上。この最終戦で勝利すれば自力でプレーオフ進出を決めることができたが、前日、5位のトヨタヴェルブリッツvs.東京サンゴリアスの試合がコロナの影響で試合が中止となり、4位でのプレーオフ進出を決めていた。

そんな東芝ブレイブルーパス東京は、東京サンゴリアス戦からはFW1名、BK2名を替えた。共同主将の1人で日本代表のFL(フランカー)徳永祥尭が先発に上がり、同じく日本代表のFLリーチ マイケルがリザーブに下がった。BKは2年目の松永拓朗がFBからSOに上がり、リザーブに東海大学出身の3年目のCTB眞野泰地が初めてメンバー入りした。

快晴の中、静岡・ヤマハスタジアムには6326人の観客が集まり、試合は午後2:30にキックオフされた。先手を取ったのは、ホストの静岡ブルーレヴズだった。前半12分、スクラムを起点にFWでフェイズを重ねてゲインし、最後はSOグリーンがステップで相手のギャップを突いてトライ。FB奥村のゴールも決まり、7点の先制に成功する。

東芝ブレイブルーパス東京も23分、ラインアウトからモールで前進して、左に展開。最後はSO松永がトライを決め、自らコンバージョンを沈め、同点に追いついた。しかし34分、静岡ブルーレヴズは自陣から攻撃を仕掛けて、SH矢富のショートパントキックを空中でキャッチしたNO8スミスが50mを走り切ってトライを挙げた。

一方の東芝ブレイブルーパスも前半終了間際の39分、FLマット・トッドがクイックリスタートし、すぐにWTB(ウイング)ジョネ・ナイカブラにパスしてそのままトライ。前半は14-12と静岡ブルーレヴズが2点のリードで折り返した。

後半に入ってすぐの3分、東芝ブレイブルーパス東京はスクラムからNO8山本浩輝が持ち出して中央にねじ込み、ゴールも決まってついに19-14と逆転する。でが、勝ってリーグワン元年を終えたい静岡ブルーレヴズは、7分にFB奥村のPG(ペナルティゴール)で17-19と点差を詰める。

16分、東芝ブレイブルーパス東京の途中出場のSH高橋昴平が、明らかなオフサイドの反則でシンビン(10分間の一時的退場)となる。数的有利になった静岡ブルーレヴズは18分にスクラムからボールを展開してCTBヴィリアミ・タヒトゥアのトライで24-19と逆転。さらに28分にFL舟橋諒将がオフロードパスでSH田上稔につなぎ、左中間にトライし29-19と10点差に広げた。

それでも粘る東芝ブレイブルーパス東京は39分、相手陣奥のラインアウトを起点にアタックを継続し、さらに相手の反則からタップキックでリスタートし、最後はLO(ロック)ジェイコブ・ピアスがねじ込んでトライを挙げて26-29と3点差に迫る。

ジョニー・ファアウリの逆転トライ

さらに、ホーンが鳴った後、反則の繰り返しで静岡ブルーレヴズのNO8スミスがシンビンとなると、東芝ブレイブルーパス東京はラストプレーで、30フェイズを重ねて、最後はCTBジョニー・ファアウリがゴールラインを割り、土壇場33-29と逆転勝利を飾った。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には、東芝ブレイブルーパス東京のLOピアスが選出された。

ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1

【第16節ハイライト】静岡ブルーレヴズ vs. 東芝ブレイブルーパス東京

第14節に続いて、またもホストスタジアムで逆転負けを喫した静岡ブルーレヴズの堀越隆延監督は、「自分たちの作り上げているレヴズスタイルの成果が確実に見えているところだが、10点差をつけたラスト10分での失点というのは、自分たちにまだ足りないものがあると感じた。それをこれから振り返って、しっかり準備して次のシーズンに臨みたい」と話した。

LO大戸主将も「シーズンを通して成長した実感はあるが、今季は本当に悔しい試合が多かった。今この瞬間から来シーズンをスタートさせて、強いブルーレヴズを皆さんにお見せしたい」と前を向いた。

リーグ戦6連勝とプレーオフに向けて弾みのついた東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダーHC(ヘッドコーチ)は「試合のいろいろな部分でうまくいかなかったところもあったが、それでも自分たちの信念を持ち続け、最後まで途切れることなく、勝利を掴み取ることができた」と満足そうな表情を見せた。

共同主将のFL徳永は「プレーオフ進出は決まっていたが、この試合で勝って成長しないといけないし、自分たちのラグビーがどういうものか、ファンの方に見せないといけない、そういう思いで試合に臨みました。相手のブレイクダウンでのプレッシャーと、自分たちの規律の部分に守れない部分があり、うまくいかない時間もあったが、結果的に勝って学べたということはポジティブだと思います」と振り返った。

後半20分から出場したリーチ マイケル

FLリーチは「プレーオフもすでに決まった状態で、今週の試合も難しかった。今日の試合から得るものがたくさんあったので、府中に帰って、東芝ラグビーができるために、何をしないといけないか考えてやっていかないといけない。(プレーオフに向けて)ワクワクしています!」と先を見据えた。

リーグワンのディビジョン1はリーグ戦の全日程を終えて、静岡ブルーレヴズは勝点27の8位でシーズンを終えた。東芝ブレイブルーパス東京は勝ち点53の4位となり、2015-16シーズン以来となるプレーオフトーナメントへ駒を進めた。

プレーオフ準決勝は5月21日(土)22日(日)に行われる。4位の東芝ブレイブルーパス東京は、首位の東京サントリーサンゴリアスと21日(土)に大阪・花園ラグビー場で決勝進出をかけて激突する。

文:斉藤健仁/写真:谷本結利

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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