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早稲田大学 vs. 明治大学(5/1)
4月上旬に開幕した第11回関東大学春季交流大会は、5月に入り各グループとも対戦が本格化してきた。新チームでの活動が始まって間もないこの時期の真剣勝負は、各校にとって自分たちの現在地を確認する重要な機会だ。ファンにとっても今季の勢力図やひいきチームの状況、新戦力の台頭などをチェックできる絶好のチャンスであり、リーグの枠を超えたカードが組まれることもあって、注目のゲームが続いている。
昨季の関東大学対抗戦と関東大学リーグ戦の上位3チームずつが参加するAグループでは、5月8日に明治大学と大東文化大学がセナリオハウスフィールド三郷で対戦する(13時キックオフ)。明治大学が1週前の札幌ドームでの早稲田大学戦(26-19で勝利)に続く2戦目となるのに対し、大東文化大学は4月24日に予定されていた帝京大学戦が新型コロナウイルスの影響で中止となり、これが今季初戦。明治大学が前節からいかにステップアップを果たすか、また大東文化大学がシーズンの第一歩をどのように踏み出すのか、見どころの多い一戦となった。
前年度の大学選手権準優勝校である明治大学は、本年も学生トップクラスの戦力と選手層を有する。特に目を引くのがFWの充実ぶりだ。中村公星、大賀宗志の両PRに武内慎と山本嶺二郎のLO陣、FL木戸大士郎ら昨年からのレギュラーが多く残り、リザーブまで含めて好選手がそろう。ポジションや先発、バックアップの起用法など、最終的にどんなメンバー構成に仕上げていくのか興味深い。
BKはSH飯沼蓮(現NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安)、FB雲山弘貴(現東京サントリーサンゴリアス)という卒業したビッグネームの後をどうカバーしていくかが、最大のテーマになるだろう。SO伊藤耕太郎、CTB廣瀬雄也と多彩な能力を有する2人のプレーメーカーを擁し、アウトサイドにも新キャプテンに就任したWTB石田吉平を筆頭に決定力あるスピードランナーがそろう。キッキングゲームで重要な役割を担う9番と15番が安定すれば、昨季以上に総合力の高いラインになる可能性は十分にある。
リサラ・キシナ・フィナウ(大東文化大学)
対する大東文化大学も、リーグ戦3位で3大会ぶりの大学選手権出場を果たした昨季を上回る潜在力を秘めたチームだ。FWでは前主将の酒木凜平(現コベルコ神戸スティーラーズ)らフロントロー3人が抜けた穴は大きいが、バックファイブには猛タックラーのFL吉瀬航太共同キャプテンをはじめ、前年からのレギュラー経験者が並ぶ。LO/NO8サイモニ・ヴニランギやNO8リサラ・キシナ・フィナウら留学生たちの強烈な突破力も、相手にとって大きな脅威だろう。
さらにBKは共同キャプテンの万能BK青木拓己や副将のSO落和史、CTB戸野部謙ら下級生時から主軸を務めてきた実力者が最終学年を迎え、近年随一の陣容を誇る。SH稲葉聖馬やCTBハニテリ・フィラトア・ヴァイレアらと構成するラインは、全国でも有数といえる顔ぶれだ。試合ごとのパフォーマンスの波が大きかった昨季の課題が修正されれば、一気に飛躍を遂げそうなポテンシャルを感じさせる。
出場予定の先発メンバーを見ると、明治大学は前週の早稲田大学戦から15人全員を入れ替えた。FW第一列は中山律希、紀伊遼平、1年生の富田陸の3人で、LOはともに190センチオーバーの田島貫太郎、武内慎のコンビ。バックローは松本光貴、福田大晟の両FLにNO8脇野倫太朗という組み合わせだ。SHにはゲームキャプテンの丸尾祐資が入り、SO池戸将太郎とHB団を組む。TB陣は11番に秋濱悠太、12番に吉田輝雅、13番に石塚勝己、14番に杉本大雅という並びで、最後尾にはアタック能力に優れたFB金昂平が控える。
一方の大東文化大学は、PR松山青、HO塩田海輝、PR河村樹来の新生フロントローがスクラムの最前線に立つ。LOは塩見成梧、佐々木柚樹という昨季からのペア。両FLには吉瀬航太、手島壮汰のタックラーが並び、サイモニ・ヴニランギが8番を背負う。BKはSH稲葉聖馬、SO落和史という経験豊富なHBが試合を組み立て、戸野部謙、ハニテリ・フィラトア・ヴァイレアの両CTBがミッドフィールドを引き締める。バックスリーは11番小田嶋生吹、14番松田武蔵、15番にゲームキャプテンの青木拓己という布陣だ。
どちらもアタッキングマインドの強いチームだけに、序盤からアグレッシブに仕掛け合う展開が予想されるこの試合。2022シーズンの大学ラグビーを沸かせそうな逸材たちがどんな輝きを放つのか、楽しみだ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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