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【ハイライト動画あり】スカイアクティブズ広島が残留へ前進。釜石シーウェイブスから会心の勝利挙げる。ディビジョン2順位決定戦第2節レビュー
ラグビーレポート by 直江 光信
リーグ戦での直接対決の結果はそれぞれホストゲームをものにしての1勝1敗。実力拮抗の両者が、入替戦回避をかけて激突するポストシーズンの大一番だ。プレッシャーはそれまでの試合とは別次元。だからこそわずかな差が勝者と敗者を分ける。まさにそんな試合だった。
冷たい雨が芝を濡らす難しいコンディションでのキックオフとなったこの一戦。先に見せ場を作ったのは、ホストチームの釜石シーウェイブスだった。
立ち上がりから果敢にパスをつないで相手ディフェンスを揺さぶり、開始3分にSOブレット・キャメロンの卓越した個人技からFL河野良太がインゴールへ駆け抜ける。これはTMO判定で一連のプレー中にノックオンがあったとしてノートライになったものの、その後もテンポよくボールを動かすアグレッシブなラグビーを展開。5分にFWとBKが一体となった連続攻撃からWTB吹越大清が右ライン際を抜け出し、先制のトライを挙げる。
しかしマツダスカイアクティブズ広島もすぐに反撃。9分のSO龍野光太朗のPGはポストに当たり不成功となったが、続くリスタートからカウンターを仕掛け、スピーディーにゲインを重ねてFBさき(山に竒)口銀二朗が中央を抜け出す。さらにサポートしたHO武田知大へとオフロードがつながり、一直線にポスト下へ。コンバージョンも決まって7-5と逆転した。
その後もスカイアクティブズは出足鋭いシャローディフェンスで勢いを生み出し、接点で厳しく体を当てて流れを引き寄せていく。17分には敵陣ゴール前でペナルティを獲得すると、ショットではなくスクラムを選択。力強いプッシュでさらにペナルティをもぎ取り、NO8イシレリ・マヌがクイックタップからタックラーの間を突き抜けて左中間に押さえる。SO龍野のゴール成功でリードは14-5に広がった。
劣勢を強いられるシーウェイブスがようやく息を吹き返したのは35分。度重なるピンチをしのぎ切って相手陣での攻撃機会を得ると、ゴール前での右ラインアウトでモール勝負を挑む。BKまで加わって懸命にドライブし、最後はHO伊藤大輝がなだれ込みながらグラウンディング。12-14とリードを縮めて前半を折り返した。
【順位決定戦 第2節ハイライト】釜石シーウェイブス vs. スカイアクティブズ広島|ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン2
後半も立ち上がりから激しい主導権争いが繰り広げられる中、その後の展開を大きく左右するアクシデントが起こったのは49分だった。スカイアクティブズNO8イシレリ・マヌのタックルが頭部への危険なコンタクトと判定され、レッドカードで一発退場。スカイアクティブズは残り30分あまりを14人で戦うこととなった。
これで数的優位になったシーウェイブスは、一連の流れから55分にSOキャメロンが正面のPGを決めて15-14と逆転。そのまま波に乗ってたたみかけるかに思われた。しかしスカイアクティブズもここで集中力を切らさず、闘志みなぎるファイトで相手に圧力をかけ続ける。そして60分、シーウェイブスのイージーエラーで得た敵陣ゴール前でのスクラムからひたむきに近場を攻め続け、LOロックラン・オズボーンが値千金のトライを奪取。SO龍野のコンバージョンも加え、21-15と再逆転に成功する。
細かいミスが重なり有利な状況を生かせないシーンが続いたシーウェイブスだったが、68分にようやく決定的な場面が訪れる。敵陣ゴール前でマイボールラインアウトのチャンスをつかむと、一気にモールを押し切ってFL河野が右隅にトライ。しかしSOキャメロンのゴールは惜しくもポストに当たって外れ、スコアは20-21に。
ここからは壮絶な総力戦となった。シーウェイブスが気迫を押し出したアタックで攻め込むも、スカイアクティブズは渾身のタックルで刺さり続け、最後の一線を死守する。そして迎えた後半ロスタイム、シーウェイブスは懸命に攻撃を継続し、敵陣でペナルティを獲得。SOキャメロンが右中間約30メートルのPGを狙う。
決まれば逆転。極限の緊張感がスタジアムを覆う中、蹴り出されたボールはポストの際をかすめて右へ逸れる。スカイアクティブズがこれを蹴り出しフルタイム。1点差を守り抜き、大きな大きな勝利を手にした。
これでスカイアクティブズは勝点4を獲得し、4位〜6位決定戦の2位に浮上。入替戦を回避してのディビジョン2残留に向け、大きく前進した。レッドカード退場で土俵際まで追い詰められる苦しい戦いだったが、シーズンを通して貫いてきたディフェンスへの高い意識と全員の献身的な姿勢が、シーズンのクライマックスでついに実を結んだという印象だ。
シーウェイブスにとっては痛恨の敗戦となったが、まだ挽回の機会は残されている。最下位を抜け出すには、最終節のレッドドルフィンズ戦で勝利するしかない。決戦の舞台はこの日と同じ釜石鵜住居復興スタジアム(5月8日、12時キックオフ)。地元サポーターの前で、今季の集大成となるパフォーマンスを見せてくれることを期待したい。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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