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接点で上回ったヴェルブリッツが勝利
ジャパンラグビー リーグワンのディビジョン1は第15節。4月30日(土)はリコーブラックラムズ東京とトヨタヴェルブリッツの一戦が、東京・秩父宮ラグビー場で行われた。
ディビジョン1のリーグ戦は今節を含めて残り2試合で、前節までにプレーオフ進出の3チームが決定したが残り1枠、さらにディビジョン2との入替戦争いも熾烈になってきている。
ホストのブラックラムズ東京は前節、首位の東京サントリーサンゴリアスに敗れて6連敗中で、勝ち点16で10位。このまま連敗してしまうと入替戦という厳しい状況に置かれていた。
試合前に、膝の負傷から復帰予定だったキャプテンのHO(フッカー)武井日向が先発から外れて、控えだったHO森雄基が先発に、リザーブには新たにPR(プロップ)眞壁貴男が入った。
ランで湧かせたブラックラムズ東京のSOルーカス
BK(バックス)は、SO(スタンドオフ)アイザック・ルーカスが先発に復帰し、ゲームキャプテンを務めるマット・マッガーンが、10番からFB(フルバック)下がった。CTB(センター)には、21歳のメイン平と池田悠希の2人が入り、WTB(ウイング)は古賀由教と栗原由太の若手が顔を揃えた。
一方、プレーオフ進出最後の1枠を争っているトヨタヴェルブリッツは前節、静岡ブルーレヴズに18-15と逆転勝ちを収め、勝ち点41の6位につけていた。他力だが連勝すれば4位の可能性もあるため、負けられない一戦であり、できれば3トライ差のボーナスポイントを含む、勝ち点5の獲得を狙っていた。
突進するLOトゥイプロトゥ
SH(スクラムハーフ)茂野海人、NO8(ナンバーエイト)姫野和樹の両キャプテンが先発。FW(フォワード)は、LO(ロック)にオールブラックスのパトリック・トゥイプロトゥと秋山大地が入った。BKは南アフリカ代表のFBウィリー・ルルーが復帰。試合直前にメンバー変更があり、先発予定だった13番のCTBロブ・トンプソンが欠場、12番のチャーリー・ローレンスが13番に回り、12番にはリザーブに入っていたマレ・サウが上がった。
アタックを牽引したFBルルー
両者は2月5日の第5節に、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で対戦し、その時は追い上げるブラックラムズ東京を振り切って、ホストのトヨタヴェルブリッツが、23−19で勝利している。ともに負けられない一戦は、4657人の観客が見守る中、東京・秩父宮ラグビー場でキックオフされた。
試合の序盤はともにキックを使い、膠着した状態だったが、先手を取ったのはビジターのトヨタヴェルブリッツだった。試合後、共同キャプテンSH(スクラムハーフ)茂野が「スタートから主導権を握って、1人1人が役割を遂行した」と胸を張った通り、LOトゥイプロトゥら、強力FWが接点で前にドライブしてペースをつかむ。
NO8姫野は前半ケガで交替した
前半9分、キックカウンターから左に展開し、タッチライン際にいたCTBサウが抜け出して、フォローしたCTBローレンスがトライを挙げて、5点を先制する。15分には自陣からボールを継続し、最後はFL(フランカー)吉田杏が抜け出してトライ。共同キャプテンのNO8姫野が負傷交替するアクシデントもあったが、24分にはスクラムを起点にアタックし、最後はFL古川聖人が中央に押さえてトライし、19-0とリードした。
30分、ブラックラムズ東京は、LO柳川大樹がトライを挙げ、7-19と点差を縮めた。だが33分、すぐにトヨタヴェルブリッツは再びテンポよくアタックを仕掛け、最後はLO秋山が左中間に押さえて、24-7で前半を折り返した。
後半は先にホストのブラックラムズ東京がトライを挙げたかったものの、トヨタヴェルブリッツが主導権を握る。
ケガから復帰し力強いランを見せたWTB高橋
3分、ゴール前からキックカウンターを仕掛け、FBルルーが左足でグラバーキック。そのボールをWTB高橋汰地が押さえてトライ。10分にはモールを押し込んでから、CTBサウが相手のディフェンスラインの裏にゴロパン、それをFBルルーが押さえてトライ。14分には相手のキックからボールを継続して、最後はWTB岡田優輝がトライを挙げ、45-7として勝負を決めた。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第15節ハイライト】 ブラックラムズ東京 vs. トヨタヴェルブリッツ
トライを挙げるブラックラムズ東京WTB栗原
ブラックラムズ東京は17分と試合終了間際にCTB池田悠希、WTB栗原由太がトライを挙げたが、終盤もトヨタヴェルブリッツは、SH福田健太、WTB岡田、LOトゥイプロトゥがトライを重ねて、終わって見れば10トライを挙げて64-17と快勝した。
トライを挙げるLO秋山 POMにも選出
トヨタヴェルブリッツは、3トライ差のボーナスポイントも合わせ、勝ち点5を挙げた。これで、総勝ち点を46として、暫定ながら30日の時点で4位まで浮上。最終節までプレーオフ進出の可能性を残した。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはトヨタヴェルブリッツのLO秋山が選出された。
トヨタヴェルブリッツのサイモン・クロンHC(ヘッドコーチ)は、「前半の立ち上がりも良かった。ポゼッションもコントロールもよく、ブレイクダウンでも相手より早くできた。アタックからディフェンスへの切り替えも良かったし、ディフェンスでもしっかり相手を倒していた。全体的に良いパフォーマンスだった」と満足げに語った。
攻守に機能していたFL古川は「前半も最初から積極的に相手にアクションをかけていくことができた。(最終節に向けて)自分たちもやってきたことを信じて、自分たち1人1人の役割をやる。そして、その役割1つ1つに価値を持ってチームのためにやる」と語気を強めた。
7連敗となってしまったブラックラムズ東京のピーター・ヒューワットHCは、「タックルミスが多すぎた。前半は正しいエリアでプレーできていたが、トヨタの大きいFWの勢いを止められなかった」と肩を落とした。
ただ、指揮官は「我々は最後まであきらめないでファイトする。(ケガ人が多く)苦しい状況が続いているが、若い選手も成長する機会だし、これを乗り越えればいいチームになっていく」と前を向いた。ベテランLO柳川は「タックルは絶対、修正しないといけない。今までやってきたラグビーを信じて、リコーのラグビーをするしかない」と最終戦を見据えた。
トヨタヴェルリッツは5月7日(土)の最終戦、地元の愛知県・パロマ瑞穂ラグビー場で、すでにプレーオフ進出を決めている首位に立つ東京サントリーサンゴリアスを迎えて、プレーオフへの滑り込みを狙う。
ブラックラムズ東京は7日(土)のリーグ戦最終戦もホストスタジアムの東京・秩父宮ラグビー場で、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪と対戦し、勝利して入替戦回避をうかがう。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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