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釜石シーウェイブス×スカイアクティブズ広島
NTTドコモのチーム再編成に伴う会員資格の再審査と、宗像サニックスブルースの昇格機会の辞退により、ディビジョン2/ディビジョン3の入替戦はディビジョン2の6位とディビジョン3の2位または3位による1カード(2試合)のみとなった。その結果として一つひとつの戦いがいっそう重みを増したのが、ディビジョン2の4位〜6位決定戦だ。
4月23日の第1節では、リーグ戦4位の日野レッドドルフィンズが同6位のマツダスカイアクティブズ広島に43-17で勝利。今週末の第2節では、リーグ戦5位の釜石シーウェイブスが地元の釜石鵜住居復興スタジアムでスカイアクティブズと対戦する(5月1日12時キックオフ)。シーウェイブスにすれば勝つとその時点でディビジョン2残留が決まる半面、落とせば崖っぷちの状況でレッドドルフィンズとの最終節を迎えることになる。スカイアクティブズにとっても入替戦回避のためになんとしても勝利がほしい試合であり、激戦必至だ。
データ提供:Opta
リーグ戦での成績を振り返ると、どちらも白星はひとつながらボーナスポイントの差で、勝点7のシーウェイブスが同4のスカイアクティブズを上回り5位につけた。勝利はお互いにこの対戦で挙げたもので、2月13日の第4節ではシーウェイブスが30-3、3月20日の第8節ではスカイアクティブズが21-19と、それぞれホストゲームを制している。アタックのスタッツを見ても同じような数字が残っており、実力は拮抗していると見ていいだろう。
両者の特徴が表れているのはセットプレー。ラインアウトでシーウェイブスが82パーセント超と高い成功率を記録しているのに対し、スカイアクティブズは約75パーセントとやや低め。ラインアウトキャッチでランキング7位(26回)につけるシーウェイブスのLOチャールズ・マシュー(201センチ)と、同10位(24回)のスカイアクティブズLOロックラン・オズボーン(194センチ)の空中戦は、この試合のひとつの焦点となりそうだ。
釜石シーウェイブススターティングメンバー
一方スクラムはシーウェイブスが9試合で51回(1試合平均5.7回)、スカイアクティブズが10試合で94回(同9.4回)と本数に差があるものの、成功率はそれぞれ74.5パーセント、76.6パーセントとほぼ同じ。1巡目の対戦は冷たい雨の中でのゲームでセットプレーの多い展開となったが、2巡目の対戦はお互いに持ち味を出し合いボールがよく動く内容だった。日曜日の釜石の予報は曇りのち雨。天候がどのように影響を及ぼすかという点も、この試合のひとつのポイントになるだろう。
データ提供:Opta
発表された登録メンバーを見ていくと、シーウェイブスの3週前のリーグ戦最終節からの変更は2人。レッドカードにより6試合の出場停止となったサム・ヘンウッドに替わって中野裕太がメンバー入りし、上田宥人が6番からNO8にシフトする。攻守の大黒柱であるヘンウッドの欠場は痛いが、FW8人が一丸となってその穴をカバーしたいところだ。
BKではFBに打開力とハイボールの強さを兼ね備えたキャメロン・ベイリーが入ったのは大きなプラス材料だ。オールブラックスでキャップ1のSOブレット・キャメロン、現在好調のCTBヘルダス・ファンデルヴォルトとの組み合わせは、相手にとって脅威となるだろう。キッキングゲームで優位に立ち、敵陣でのプレータイムを増やしてFWの負担を軽減するという点でも、SOキャメロンとFBベイリーは重要な役割を担う。
スカイアクティブズ広島スターティングメンバー
対するスカイアクティブズは前週のレッドドルフィンズ戦からFW1人、BK2人の3人を入れ替えた。芦田朋輝がリザーブから繰り上がり、西野嘉修に替わって6番で先発。LOオズボーン、FLデヴィン・フェリス、NO8イシレリ・マヌとFWに外国人選手を3人起用する布陣で、ボール争奪局面で優位に立つという意図を感じさせるメンバー構成だ。
BKは摂南大からこの4月に加入したばかりのテビタ・タイが14番で初のスターターを務める。またキレのあるランとハードタックルでチームを鼓舞する崎(正しくは右上が「立」)口銀二朗がFBに戻り、ライン全体としても厚みが増した印象だ。攻守に渡るひたむきなプレーが持ち味のCTB亀井康平がゲームキャプテンを務める。
いずれも粘り強いディフェンスからリズムを生み出し、敵陣でのセットプレーを起点に15人一丸のアタックで得点を目指すスタイルだけに、いいエリアでの攻撃機会を着実にスコアへ結びつけることが勝利の条件となるだろう。ポストシーズンのゲームではリーグ戦とは異なる重いプレッシャーがかかるだけに、規律を保ちペナルティを少なくとどめることも、試合の流れを左右する大切な要素となる。最後まで目の離せない熱戦を期待したい。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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