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慶應義塾大学vs.法政大学
4月17日(日)に開幕した「第11回関東大学春季交流大会」。前年度の秋季リーグの順位に基づいて、関東大学対抗戦・リーグ戦の各9チーム(18チーム)を6チームずつ、AからCの3グループに分け、総当たり戦で行われる。
4月24日(日)Bグループは3試合が行われて、慶應義塾大学グラウンドで、先週、筑波大学と31-31で引き分けた慶應義塾大学(昨季関東対抗戦4位)と法政大学(関東リーグ戦6位)の伝統校同士が激突した。
関東リーグ戦最多13回の優勝を誇るが、昨季も大学選手権を逃してしまった法政大学は、この試合が今季の公式戦初戦だった。FL(フランカー)吉永昂生と、FL/HO(フッカー)徐和真(ともに4年)が共同主将に就任し、スローガンは大学選手権出場を目指し、シンプルに「~突破 Breakthrough~」を掲げた。
一方、先週の筑波大学戦で17点差を追いつかれて引き分けた慶應義塾大学。「いい課題をもらったので、スキル的にもメンタル的にも修正して次に臨みたい」(栗原徹監督)と、今季の2試合目に臨んだ。
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午後1:00、小雨の中でキックオフされた試合、序盤は橙青ジャージーがペースをつかむ。「今季、アタック、ディフェンスの仕組みをちょっと変えた」と新宮孝行監督が話したように、SO(スタンドオフ)熊田経道(3年)、インサイドCTB(センター)金侑悟(2年)を中心にボールを動かす。
ラインアウトを起点に前半9分、ボールを継続し、SH(スクラムハーフ)山脇一真(3年)がラックサイドを突いて、フォローしたWTB(ウィング)南部翔大(4年)が左中間に抑えてトライ。FB(フルバック)石岡玲英(3年)のゴールも決まり、7点を先制する。
慶應義塾大学も反撃するが、なかなかゴールラインを越えることができず、ようやく22分、SO永山淳(3年)が、PG(ペナルティゴール)を決め、3-7とする。
直後の24分、キックオフのボールを慶應義塾大学がノックオンし、法政大学は5mスクラムのチャンスを得る。第1列の3人が4年生の法政大学がスクラムを押し込み、そのままNO8(ナンバーエイト)佐野祐太(2年)が抑えて、14-3とリードを広げた。
この後は慶應義塾大学が32分、ゴール前のチャンスからモールを形成し、HO中山大暉(2年)が抑えてトライ。36分には法政大学が、モールからHO井口龍太郎(4年)がトライ。しかしロスタイム、再び慶應義塾大学がモールからHO中山が抑えてトライを挙げ、前半は法政大学が19-17と2点リードして折り返した。
後半、雨が降り続く中、互いにキックで陣地を取り合うものの、アタックで相手のプレッシャーによりノックオンが出てしまうという状況が続く。14分、法政大学は相手陣に攻め込むものの、トライを挙げることはできなかったが、FB石岡がPGを決めて22-17とリードを5点に広げた。
法政大学は後半16分、22分とFL宮下晃毅(1年、報徳学園出身)、SH小山田裕悟(1年、桐蔭学園出身)ら7人のフレッシュレッグスを投入してテンポアップを狙うも、相手のプレッシャーの前になかなかチャンスをつかむことができず、慶應義塾大学が相手陣のプレー時間が増えていく。
そして迎えた36分、慶應義塾大学は相手陣深くでモールを形成し、最後はBK(バックス)の選手も加わって押し切り、FL高武俊輔(4年)が抑えて同点。SO永山のゴールも決まって24-22と逆転に成功する。
ロスタイムになっても黒黄軍団は攻める姿勢を貫いたが、そのまま24-22でノーサイドを迎え、慶應義塾大学が逆転勝利を収めた。
法政大学の監督に再任されて3年目の新宮監督は「ディフェンスで昨季と違ったシステムをやっていて、オフサイド(の反則)が多かったので修正したい。セットプレーで先発したFW(フォワード)第1列は良かったが、交替で出場した3人が少し食い込まれることがあったので、そこを強化していきたい」と先を見据えた。
共同キャプテンのFL吉永は「前半は勢いが良く、自分たちのラグビーができたが、後半になるにつれて勢いがなくなって逆転された。前半の勢いを後半に持って行けるようにしていきたい。(5月8日の次戦は筑波大学戦だが)身体は小さいが、チャレンジャーとして泥臭いラグビーをしていきたい」と反省しつつ、前を向いた。
逆転で勝利した慶應義塾大学の栗原監督は「法政大学さんのフィジカルとひたむきなプレーを受けてしまって、終始圧倒されたゲームでした。自分たちは慢心があったし、課題をいただいた。まだまだ成長しないといけない部分がたくさんある。2週間後は、フィジカルの強い流通経済大学さんなので、自分たちを見直して準備したい」と反省しきりだった。
キャプテンFL今野勇久は「自分たちのミスで流れを崩してしまった。勝ったが内容的には満足いく結果ではなかった。Aチームだけでなく部員全員で修正していきたい。(次戦に向けて)できなかったことをやる、できたことを伸ばしていくことにフォーカスしてやっていきたい」と勝利にも笑顔はなかった。
まだ、4月ということで新しいシステムや新戦力を試す時期であり、僅差で敗れた法政大学も、逆転勝ちした慶應義塾大学も課題が多く残る試合となったようだ。初戦を落とした法政大学は5月8日(日)に法政大学グラウンドに筑波大学を迎える。慶應義塾大学も同日、流通経済大学第1グラウンドで流通経済大学と対戦する。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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