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横浜キヤノンイーグルス vs. 埼玉ワイルドナイツ
メンバー23人の総合力で後半に突き放す――。
もはや後半の逆転劇は埼玉ワイルドナイツのお家芸のようだ。
ジャパンラグビーリーグワン「ディビジョン1」(D1)は第14節。
9勝4敗(実戦8勝4敗)で4位(勝点41)の横浜キヤノンイーグルスが、4月23日(土)、神奈川・日産スタジアムに、11勝2敗(実戦11勝全勝)で3位(勝点48)の埼玉ワイルドナイツを迎えた。
前半40分間の支配者はイーグルスだった。
「イーグルスさんがモメンタム(勢い)をもって仕掛けてくることは分かっていましたが、後手を踏んでしまいました」(ワイルドナイツ、HO坂手淳史キャプテン)
先制パンチは、自力でのプレーオフ(PO)進出へ一戦も落とせないイーグルスだった。
相手のペナルティから自慢の強力モールをくみ上げ、前半3分にHO庭井祐輔が先制トライ。7点だけでなくモール攻防戦での手応えも手にした。
セットプレーが安定感抜群のワイルドナイツだが、序盤のラインアウトで2連続のミス。
一方のイーグルスは前半9分、ショートサイドからおとりのランなどを織り交ぜて左隅を突破。WTB松井千士の2トライ目が生まれた。
昨季チャンピオン相手に序盤で14点。ワイルドナイツのHO坂手主将に「前半はやりたいことがほぼ出来なかった」と言わしめるアタック、粘り強いディフェンスを披露。その後お互いにPG(ペナルティゴール)を決め合い、17-3で試合を折り返した。
しかし重厚なリザーブ陣の投入によって、後半にブーストをかけるのがワイルドナイツだ。それはイーグルスも当然理解していた。
ハーフタイムで、イーグルスのHO庭井らは後半に強いワイルドナイツを警戒していた。
「前半は14点のリードがありましたが、相手(ワイルドナイツ)にとっては普通の点差だという話は出ていました。後半はこちらから仕掛けようという話もしていました」(イーグルス、HO庭井)
一方、ワイルドナイツのHO坂手主将はハーフタイムに「ホイッスルが鳴ったときに1点でも上にいよう」と伝えていた。
そして始まった後半で、ワイルドナイツは1分にFL大西樹らがいきなりジャッカル成功。
敵陣に入った後半6分、焦らずに相手反則のPGで3点追加。まずはリードを11点(6-17)に縮めたところで、控えの日本代表経験豊かなフロントローが3人投入された。
マリカ・コロインベテ(埼玉ワイルドナイツ)
左に控えていた豪州代表WTBマリカ・コロインベテの独走トライが決まり、あっという間にビハインドは6点(11-17)になった。
さらにワイルドナイツは前半に見せていなかったラック中央のピック&ゴーなどで自陣を突破。後半12分のPG成功でさらにビハインドを3点にすると、圧巻は後半14分のスクラムだった。
「モメンタムを生み出すためにスクラムは重要でした。思うようにいかない場面もありましたが、みんなが良いスクラムを組んでくれました」(ワイルドナイツ、ロビー・ディーンズ監督)
選手層で圧倒するワイルドナイツが、敵陣での相手ボールスクラムをまっすぐプッシュ。
迫力満点のスクラム・ターンオーバーにより相手FWのディフェンス参加が遅れ、後半14分、突破したCTBディラン・ライリーが難なく逆転トライ(ゴール成功)。この日初めてワイルドナイツがリード(21-17)を奪った。
イーグルス主将のSO田村優は試合後に「相手の方が80分間良いプレーをする力があった」と語ったが、イーグルスもトップ4にふさわしい実力を随所に見せた。
相手の危険なタックルから敵陣に入ると、好調のFBエスピー・マレーのフリックパスから流通経済大学出身のWTBヴィリアメ・タカヤワが右隅で突破。しかし足がラインを踏んでおり、後半19分の逆転トライは幻となった。
この日もワイルドナイツは堅調だった。
後半25分に途中出場の堀江翔太がラックでターンオーバー。キックカウンターからこちらも途中出場の山沢拓也がラインブレイクするなど、リザーブメンバーの躍動が目立った。
ジャパンラグビーリーグワン2022ディビジョン1
【第14節ハイライト】 横浜キヤノンイーグルス vs. 埼玉ワイルドナイツ
ワイルドナイツは後半29分にモールトライを奪い、同39分には守備からの切り返しでCTBライリーがこの日自身2トライ目。33-17と勝利を決定的にした。
しかしイーグルスはロスタイムになっても攻め続け、日本大学出身のルーキー、途中出場のシオネ・ハラシリが今季2トライ目。難しい角度のコンバージョンも決め、最終スコアを9点ビハインド(24-33)にした。
両軍ともに最後までファイトを見せ、激戦は終わった。
見事に12連勝を決めたロビー・ディーンズ監督は「非常にタフな試合でした。イーグルスさんは前半から勢いのあるアタックでした。ショートサイドの効果的な攻撃などで我々が後手を踏みました。しかし後半に出ている選手の活躍などで自分たちの方向へ試合を手繰り寄せることができました」と勝利を振り返った。
またHO坂手主将は「一人ひとりが役割を遂行したのでこの結果になったと思います。メンバー23人、チーム全体を誇りに思います」と語った。
ワイルドナイツは勝ち点52となって、4強によるPO進出が決定。今季は2つの不戦敗からの幕開けとなったが、その後の12連勝で4強入りを決めてしまった。
ワイルドナイツのレギュラーシーズン、残る2試合の相手はグリーンロケッツ東葛、そして最終戦がクボタスピアーズ船橋・東京ベイだ。
一方、敗戦を喫したイーグルスは5位に転落(勝点41)。勝点44の4位・東芝ブレイブルーパス東京を3差で追いかけることになった。
イーグルスの沢木敬介監督は「前半であのようなゲームをしたら勝たなければならない」と悔しげに語った。
「組織として覚悟が必要だなと思いました。ただ下を向いていてもしょうがないので、自力(でのPO進出)は無くなりましたが、次の2試合で全部5ポイントを取りたいです」
「後半のスクラムは完敗でした。そこは認めます。イーグルスが強くなる過程でこういう経験が必要だと思うしかない。この悔しさを次の2試合にぶつけます」
SO田村主将は「前半にあれだけのパフォーマンスをしてこのような結果になるのはラグビーをやってきて初めてのこと」と吐露しながらも「次にこういうチャンスがあれば活かせるようになりたい」と次を見据えた。
イーグルスの残り2試合は5月1日のコベルコ神戸スティーラーズ戦、8日のグリーンロケッツ東葛戦だ。逆転のプレーオフ進出はあるか。今季イーグルスの挑戦がいよいよ佳境を迎える。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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