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東京サンゴリアス vs. 静岡ブルーレヴズ
ディビジョン1のリーグ戦は今週末を含めてあと4節。現在11勝1敗で首位を快走する東京サントリーサンゴリアスと5位東芝ブレイブルーパス東京の勝点差は17で、サンゴリアスは4月17日に秩父宮ラグビー場で行われる静岡ブルーレヴズ戦(14:05キックオフ)に勝利すれば、3節を残した段階で上位4チームによって争われるプレーオフトーナメントへの進出が確定する。8位のブルーレヴズもトップ4入りは難しい状況だがひとつでも多く勝利を重ねて順位を上げたいところで、リーグワンになってチーム初めての秩父宮でのゲームということもあり、強い意気込みでこの試合に臨んでくるだろう。
サンゴリアスのここまでの戦いで何といっても目を引くのは、圧倒的な攻撃力だ。467得点(1試合平均46.7点)、64トライ(同6.4本)はいずれも他を大きく引き離してのトップで、得失点差も12チーム中唯一200点を超えている。実施された10戦のうち6試合で40得点以上を挙げており、30点未満だったのはわずかに2試合(第5節○22-3NTTドコモレッドハリケーンズ大阪、第7節●17-34埼玉パナソニックワイルドナイツ)だけと、際立つ数字を残している。
一方のブルーレヴズは開幕からの3戦連続をはじめここまで不戦敗が4つとコロナに苦しめられてきたが、戦った8試合はどれも確かな地力を感じさせる内容だった。4つの黒星のうち3つは10点差以内の惜敗で、相手も横浜キヤノンイーグルス、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、埼玉パナソニックワイルドナイツと、現在2位~4位の強豪ばかり。特に直近の2節はワイルドナイツに25-26と肉薄し、リコーブラックラムズ東京には45-19で快勝するなど、ここにきて調子を上げてきた印象が強い。きっとこのサンゴリアス戦もいい精神状態で挑んでくるだろう。
ハイスコアのゲームになればサンゴリアス、僅差勝負ならブルーレヴズが優位と見られるこの試合で最大の焦点となりそうなのが、セットプレーだ。ブルーレヴズは前身のヤマハ発動機ジュビロ時代から強力なスクラムとラインアウトを看板としてきたチーム。果敢にボールを動かすスタイルを身上とするサンゴリアスにしても、強固なセットプレーが圧巻の全方位的アタックの源泉となっている。お互いにプレッシャーをかけ合う中で安定してボールキープできるかが、ゲームの主導権を握る上での鍵になりそうだ。
試合展開としては前半戦、特に立ち上がりの15分に注目したい。サンゴリアスが早い時間帯にスコアを挙げてのびのびと攻めてくる流れになれば、その勢いを止めるのは難しくなる。ブルーレヴズはここ3試合の前半の平均失点が4.3と最初の40分で質の高いパフォーマンスを発揮しており、それが好結果の要因となった。ブルーレヴズにすればひたむきにディフェンスし続けて失点を最小限にとどめ、堅い展開に持ち込みたいところだろう。
東京サンゴリアススターティングメンバー
発表された先発メンバーを見ていくと、サンゴリアスは前節レッドハリケーンズ戦からFW1人、BK2人を変更。ファン待望の公式戦デビューを飾ったばかりの箸本龍雅がリザーブから6番に繰り上がり、HBはSH流大、SO田村煕のコンビに入れ替わった。前節10番を背負ったダミアン・マッケンジーはFBでの出場となる。また序盤戦で活躍が光ったツイヘンドリックが、第7節以来約7週間ぶりにリザーブでメンバーに名を連ねた。
静岡ブルーレヴス スターティングメンバー
対するブルーレヴズも、前節からの変更はFW1人、BK2で同じとなった。注目はこの春に東海大学を卒業し加入したばかりで7番で先発するFLジョーンズリチャード剛。献身的なディフェンスと仕事量が持ち味のハードワーカーで、トップスピードで懐深く突き刺さるビッグタックルは必見だ。SHには37歳の矢富勇毅、13番には鹿尾貫太と、経験豊富な実力者がスターティングメンバーに復帰した。
マッチアップで楽しみなのは、サンゴリアスのCTBサム・ケレビとブルーレヴズのCTBヴィリアミ・タヒトゥアのミッドフィールドでのバトル。現在ボールキャリーはケレビが全体1位(135回)でタヒトゥアが4位(119回)、ディフェンス突破数もケレビが2位(53回)でタヒトゥアが7位(42回)と、ともにペネトレーターとしてリーグ屈指の能力を披露している。昨シーズンのトップリーグでトライ王を分け合ったWTBテビタ・リー(現在9トライ=1位)とWTBマロ・ツイタマ(同5トライ=11位タイ)のフィニッシャー対決も興味深い。さまざまな見どころのあるゲームとなりそうだ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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