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【ハイライト動画あり】サンゴリアスが終盤のトライラッシュでレッドハリケーンズを突き放し首位をキープ。リーグワン第12節レビュー
ラグビーレポート by 直江 光信73分までは18点差。しかしそこからの10分弱でスコアは42-3と大きく開いた。思うように流れに乗りきれない展開にも主導権は絶対に渡さず、相手の足が止まり始めた終盤にたたみかけて突き放す。ハンドリングエラーやラインアウトミスを頻発するなど課題も多い内容ながら、80分トータルで振り返ればまぎれもなく東京サントリーサンゴリアスのゲームだった。
前半は現在10位のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪の奮闘が光った。HOフランコ・マレーや両LOのタイラー・ポール、ルアン・フェルマークらがコンタクト局面で厳しくヒットしてプレッシャーをかけ、相手のエラーを誘発。この3月にチームに合流したばかりで初先発となったSHティアン・メイヤーの攻守に渡る活躍もあって、20分過ぎまで0-0とサンゴリアスに食い下がる。
最初の得点機は21分。サンゴリアスがゴール正面の約35メートルの位置でペナルティを獲得しPGを狙ったが、SOダミアン・マッケンジーの蹴ったボールは強い風に流されポールの左へ。逆にレッドハリケーンズは26分にSO高野祥太が左足のキックで左中間約30メートルのPGを成功させ、先制の3点を刻む。
攻める時間で上回りながらなかなかスコアできない時間が続いていたサンゴリアスも33分、持ち前のテンポのいい連続攻撃からSOマッケンジーが目の覚めるようなフラットパスを放ち、FL飯野晃司がクリーンブレイク。そのまま豪快に走りきってポスト下に飛び込み、すかさず逆転する。
さらに38分には、敵陣10メートルラインを越えた付近のペナルティで相手がディフェンスセットできていないと見るや、SH齋藤直人がクイックスタートで左サイドに展開。大外でパスを受けたCTBサム・ケレビが軽やかなフットワークで次々とタックラーを振りきり、2つ目のトライを挙げる。14-3とホストチームのサンゴリアスがリードして、前半の40分を終えた。
サイドが入れ替わった後半はサンゴリアスが風上に回ったが、レッドハリケーンズもひたむきなディフェンスとスピーディーな連続攻撃で懸命に対抗し、開始からしばらくは膠着した状況が続く。55分にサンゴリアスのNO8テビタ・タタフがラックサイドを突き抜けて21-3としたものの、59分にCTBケレビがインゴールになだれ込んだプレーは、グラウンディング直前にボールが手からこぼれたというTMO判定でトライにはならず。以降スコアを動かせないまま、時計は70分を回る。
【第12節ハイライト】東京サンゴリアス vs. NTTドコモレッドハリケーンズ大阪|ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
並のチームなら焦れて強引なプレーに傾きそうな流れだったが、そうはならないのがサンゴリアスのサンゴリアスたるゆえんだ。疲れが蓄積してくるこの時間帯でむしろ一段上の集中力を発揮し、74分に自陣からのアタックを仕留めきってSOマッケンジーがチーム4本目のトライをマークする。
これで勝利を決定づけると、その後も攻撃の手を緩めることなく足の止まったレッドハリケーンズの防御を切り崩し、78分にCTBケレビ、80分にはWTB仁熊秀斗がトライを追加。わずか6分間で3トライを奪う猛攻で一気に突き放し、39点差の大勝を収めた。
サンゴリアスはボーナスポイントつきの11勝目で勝点を51まで伸ばし、首位をがっちりと維持。前節終了時点で2位だったクボタスピアーズ船橋・東京ベイが横浜キヤノンイーグルスに敗れ、同3位の埼玉パナソニックワイルドナイツも勝利したもののボーナスポイントを逃したため、両チームとの勝点差は7に広がった。これまでFBに入ることが多かったマッケンジーをSOで先発させ、加入2年目の期待のFW箸本龍雅が公式戦初出場を果たすなどまだまだ熾烈なメンバー争いは続いており、クライマックスに向けここからさらにチーム力を伸ばしていきそうな印象を抱かせる。
何といっても際立つのは自慢の攻撃力で、どのエリアのどんなシチュエーションからでも仕掛け、フィニッシュまで持っていける決定力は、ディビジョン1の12チームの中でも突出している。今後メンバー構成を固め、戦い方を研ぎ澄ませていったところでどんなラグビーを披露してくれるのか楽しみだ。
敗れたレッドハリケーンズにもポジティブな要素は少なくなかった。とりわけTJ・ペレナラが抜けた後のゲームメイクの軸となる選手が定まらなかった中、SHメイヤーが出場2戦目で獅子奮迅のパフォーマンスを見せたことは、この上ないプラス材料だろう。残る4節にチームのすべての力を結集し、ひとつでも多くの勝利をファンに届けてくれることを期待したい。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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