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ケガから復帰するラピース
ジャパンラグビー リーグワンのディビジョン1はカンファレンス交流戦が終わり、4月9・10日から、AとBのカンファレンスごとの折り返しの5試合が行われる。現在、勝ち点44で2位につけているのは、昨季のトップリーグで初めてベスト4に入るなど力をつけてきているクボタスピアーズ船橋・東京ベイだ。
9日(土)、大阪・万博記念競技場で、4位の横浜キヤノンイーグルスを迎えるクボタスピアーズ船橋・東京ベイがオンライン会見を開いた。田邉淳アシスタントコーチ、日本代表でキャプテンを務める「ラピース」こと、FL(フランカー)ピーター・ラブスカフニ、そして9番をつけて試合を引っ張っているSH(スクラムハーフ)谷口和洋の3人が登壇した。
田邉淳アシスタントコーチ
残り5試合、すでに同じカンファレンスで、前半戦で対戦した相手と試合をすることに関して田邊コーチは「一度やった相手とまた対戦するのが、メンタル的に一番難しい。『Bye Week』(休みの週)はリカバリーに重点を置きました。(横浜イーグルス戦は)非常に楽しみな一戦なので、いい試合をぜひ期待していただきたい」と話した。
今回の試合は東京・江戸川陸上競技場ではなく、大阪でのホストゲームとなる。「今週の月曜日、会社の創業記念日で133年目を迎えました。創業地の大阪での試合で、我々が今ここでラグビーができているのも、133年前に始めた人がいるからということを認識しながら、今週、挑みましょうという話をシェアしました。多くの方が見に来てくれると聞いているので、試合のパフォーマンスで恩返ししたい」と意気込んだ。
2位につけるクボタスピアーズは、トライ数は首位のサントリーについで、2位の50トライ、失点数はリーグ最少失点の191点と好調を維持している。
田邊コーチは「南アフリカ出身選手が多いからというのもありますが、決してFW(フォワード)頼みではないのがうちのチームの特徴です。スタッツではパス、キックの数も多い。大きなFWの選手たちをできるだけ前に持って行くのが、BK(バックス)の役目としてあります。そのあたりのコントロールをSO(スタンドオフ)の(バーナード・)フォーリー、岸岡(智樹)を中心にゲームを組み立てていける」。
「WTB(ウィング)が活躍しているというのは、(BKにも手応えのある)証拠かなと思いますね。バックスリーに僕が求めているのは決定力です。元気な根塚洸雅、山崎洋之、金秀隆、この4月から入ったハラトア(・ヴァイレア)、木田晴斗など、今後代表クラスを狙えるような選手がたくさんいます。バックスリーの決定力がこのセカンドラウンドで、1つのキーになるかなと思います」と分析した。
SH谷口和洋
また、今季8試合に出場し7試合で9番を背負ったSH谷口は今季のチームの良さの要因を聞かれると「特に上手くいっているのはディフェンスです。失点数も少ない。ハードワークだけでなく、しっかりコミュニケーションとれているところが一番大きいのかなと思いますね。隣の人と喋るスモールトークが練習からできていますし、質も上がってきているので、すごいレベルがアップしているのかなと感じています」と手応えを口にした。
相手チームの脅威になる大きなFW、スピードのある選手が揃うバックスリーに関してSH谷口は、「FWが大きくて強いので、他のチームもマークしてくると思いますが、避けられない勝負だと思います。FWが強みなら、僕はどんどんボールを渡しますし、彼らもどんどんボール持ちたいと言っているので、なるべく心地よく彼らがアタックできるように、早めにボールを渡したり、取りやすいパスを投げたりを意識しています。
バックスリーに関しては、今シーズン、すごく頼りがいがある選手が揃っているので、しっかり彼とコミュニケーションをとって、アタックもディフェンスもやっていければと思っています」と話した。
FLピーター・ラブスカフニ
そして、2月28日以来の復帰戦となる日本代表キャプテン「ラピース」こと、FLラブスカフニ選手も登場した。試合から1ヶ月以上遠ざかっていたことに関してラピースは、「ケガをしてフラストレーションがたまっていたが、できることをやって確実に戻ること、また言われたことを解決することをやっていました」。
「もう少し早く戻れると思ったところが、時間がかかってしまいがっかりしました。それはコントロールできないことなので、違う見方に変えて、チームに自分がどう貢献できるのか考えて過ごしていました」と話した。
日本代表ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)とランチしたことも明かし、日本代表のスキッパーは、「しばらく会ってなかったので、ランチして会って話をしただけです。日本代表どうこうではなく、今はクボタに集中して試合に出ていきたい」と話すにとどめた。
復帰戦を迎えるラピース
横浜キヤノンイーグルス戦への意気込みを聞かれてラピースは「相手のNO8(ナンバーエイト)ナキ(アマナキ・レレィ・マフィ)はいい選手で脅威ですが、他にもいい選手がいる。自分たちがやりたいことをそれだけフォーカスして遂行できるのかが大事です」と話した。
また、今シーズンの残り試合に向けて、「チームとしていい調子なので、自分がどれだけ貢献できるのか、チームメイトに誇りに思ってもらえるようなプレーをしたい。チームが上手くいくように、どれだけできるのかすごい楽しみで、エキサイティングな気持です。今シーズン、どれだけ先に進めるか楽しみです」と語気を強めた。
SH谷口も「調子よく来ています。これから終盤戦になってきますが、相手のことだけを考えるのではなく、しっかり自分たちのプレーや、自分たちのシステム、プロセスにフォーカスして、今週もしっかりいいラグビーをして勝ちにこだわっていきたい」と前を向いた。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(勝ち点44)と首位の東京サントリーサンゴリアス(勝点46)との差はわずかに2だ。ディビジョン1は12チーム中上位4チームがプレーオフに進出できるが、当然1位通過の方が有利となろう。クボタスピアーズ船橋・東京ベイはリーグ戦1位を目指し、負けられない戦いが続いていく。
文:斉藤健仁/写真提供:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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