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ディビジョン1もリーグ戦2巡目に突入。その最初のゲームで、首位サンゴリアスとレッドハリケーンズがどんな戦いを見せるか。リーグワン第12節プレビュー
ラグビーレポート by 直江 光信東京サンゴリアス vs. NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
ひと足先に佳境を迎えたディビジョン2の終盤戦を観戦していると、やはりラグビーはハートのスポーツなのだと実感する。1巡目の戦いで完敗続きだったチームが、2巡目の対戦では人が変わったような気迫みなぎるパフォーマンスを発揮して上位勢に肉薄する。地元サポーターが見つめるホストゲームで気の抜けた戦いはできぬと奮い立つ選手たちが、心揺さぶる熱闘を展開するケースも少なくない。
順位争いの大勢は決していても、それぞれのチームにとって目の前の試合はどれひとつ負けていいものなどない大切な一戦だ。そしてクライマックスが近づくほど、愛するファンの期待と地域の誇りを背負う使命感は強まる。ここからはきっと、それまでの戦いぶりから連想するイメージを大きく上回るような激戦が、数多く繰り広げられるだろう。
残り5節となったディビジョン1は、今週末から同一カンファレンス内でのリーグ戦の2巡目に突入する。その最初のゲームとなるのが、4月9日に駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で開催される東京サントリーサンゴリアス-NTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦だ(12時キックオフ)。
現在の順位表を見ると、ホストチームのサンゴリアスが10勝1敗(うち不戦勝2)の勝点46で首位につけているのに対し、ビジターのレッドハリケーンズは3勝8敗(うち不戦勝2、不戦敗1)で勝点14の10位。豊富な戦力を生かし順調にチームづくりを進めて勝利を重ねてきたサンゴリアスに対し、レッドハリケーンズは相次ぐ主軸のケガで苦しい戦いが続いており、足取りは対照的だ。今回の対戦も、構図としては充実のサンゴリアスにレッドハリケーンズがどこまでチャレンジできるかという見立てになるだろう。
両者のスタッツ比較で特徴的なのはアタック面。サンゴリアスが実施9試合で58トライ(1試合平均6.4本)、425点(同47.2点)といずれも12チーム中トップの数字を残している一方、レッドハリケーンズは実施8試合で19トライ(1試合平均2.4本)、148点(同18.5点)と、全チームの中でもっとも少ない結果になっている。点の取り合いになればサンゴリアスが圧倒的に有利であり、レッドハリケーンズとしてはいかにロースコアの展開に持ち込めるかが、この試合最大のテーマとなるだろう。
クリーンブレイク数ランキング
プレーヤーのマッチアップで楽しみなのは、サンゴリアスWTBテビタ・リーとレッドハリケーンズWTBラリー・スルンガのフィニッシャー対決だ。リーは現在トライランキングで首位に立っており(9本)、昨季のトップリーグでトライ王に輝いた決定力を今季もいかんなく披露している。一方スルンガも苦しいチーム状況の中で全体5位タイのクリーンブレイク数(8回/リーも同数)を記録するなど、実力は十分。見応えある走り合いを期待したい。
東京サンゴリアススターティングメンバー
キックオフ48時間前に発表されたスターティングラインアップを見ていくと、サンゴリアスは2週前の横浜キヤノンイーグルス戦から6人を変更した。いずれも前節リザーブからの繰り上がりで、FWでは森川由起乙が1番、ハリー・ホッキングスが5番、飯野晃司が6番で出場。BKではSH齋藤直人とCTB森谷圭介、WTB仁熊秀斗が先発で登場する。
注目のNZ代表ダミアン・マッケンジーは、第10節NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安戦以来今季2度目となるSOでの出場。またリザーブに名を連ねた箸本龍雅は、出ればこれがサンゴリアスでの公式戦初キャップとなる。東福岡高校、明治大学と世代随一の存在として活躍してきた大器だけに、注目を浴びそうだ。
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 スターティングメンバー
対するレッドハリケーンズは、前節クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦から5人を入れ替えた。1番に岡部瞬、3番に金廉と両PRが替わり、強烈な突破力が自慢のナエアタルイがNO8に復帰。前節8番で出場したタイラー・ポールはLOに入る。カテゴリBの海外出身選手を3人並べ、FWにウエートを置いた布陣という印象だ。
BKではこの3月に合流したばかりのSHティアン・メイヤーが、前節リザーブから2試合目で先発入り。FBからシフトしたSO高野祥太とHB陣を組む。前節10番で出場のパエアミフィポセチは本来のCTBに戻り、FBには山本貫太が入った。リザーブで第2節以来のメンバー入りとなったミスターレッドハリケーンズ、茂野洸気がどんなランを見せるかも楽しみにしたい。
なお両者の一巡目の対戦は2月6日の第5節で、この時はヨドコウ桜スタジアムでビジターのサンゴリアスが22-3で勝利している。ホストが入れ替わる9週間後の再戦は、果たしてどのような戦いになるのか。終盤戦のスタートとして、それぞれにとっても、リーグ全体の観点でも、内容が注目される一戦となる。
文:直江 光信
直江 光信
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長。
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