人気ランキング
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
コラム&ブログ一覧
リーグ戦の今季ホストゲーム最終戦は、劇的な幕切れになった。
第9節を迎えたジャパンラグビーリーグワンのディビジョン2(D2)。4月1日(金)は東大阪市花園ラグビー場で、6勝2敗の花園近鉄ライナーズが、3勝5敗の日野レッドドルフィンズを迎えた。
2位のライナーズは上位ディビジョンとの入替戦進出を決めているが、4位のレッドドルフィンズは土俵際。昇格への挑戦権を得るためには勝利は必須だった。
そんなレッドドルフィンズはこの日、気迫のディフェンスを見せた。
ノックオンを誘うWTBチャンス・ペニの好タックルなど、接点で激しくファイトし、第4節では45点差(22-67/第4節)で負けたライナーズの攻撃力を押さえ込んだ。
しかしライナーズはPK(ペナルティキック)からの速攻が冴えていた。
前半10分にはクイックスタートから帝京大出身のWTB木村朋也がフィニッシュ。豊富なおとりのランナーを使いながら、SO野口大輔のロングパスで仕留めた。
しかし7点を追いかけるレッドドルフィンズは前半20分過ぎ、優勢のスクラムにこだわったライナーズから逆にPK(ペナルティキック)を奪うと反転攻勢。
敵陣でCTBトンガモセセが突破。この1つのキャリーを足掛かりとして、SHプル、PR山崎基生と3つのパスを重ねてインゴールへ。CTB東郷太朗丸のトライ(ゴール)で7-7の同点に追いついた。
新加入で元神戸製鋼のPR山崎はこのトライアシストの直後から、2連続のジャッカルを披露。攻撃権の奪取に貢献すると、チームは後半33分にはWTBペニがトライ。14-7とリードして試合を折り返した。
ライナーズの絶対的な司令塔だった重光泰昌アタックコーチ。チーム公式Twitterで試合後に語っていた。
「本当はアタックでは前半からボールを動かし、ライナーズのテンポで攻撃したかったのですが、スローテンポで相手のペースに付き合ってしまいました」
しかし後半は修正した。
「後半はボールを動かせました。ハーフタイムでこちらから仕掛けていこうと話しました」(重光アタックコーチ)
後半4分には今季入団でこの日(4月1日)出場解禁だった天理大卒のPR高橋虎太郎、日本文理大卒のPRラタ・タンギマナが途中出場。デビューを飾った。
ただ後半も序盤はレッドドルフィンズのペース。
ビデオ判定によりノートライになったものの、ライナーズはキック処理のミスからインゴールを奪われる立ち上がり。
レッドドルフィンズの守備は引き続き堅調で、ジャッカルから自陣に攻め込まれてモール攻撃を受ける。
すると後半8分、乱れたスローイングにCTBトンガモセセが反応して獲得&突進。ラック周辺でフォワードのように働けるSHプルがねじ込み、レッドドルフィンズが14点リード(21-7)を奪った。
今季チーム初のナイトゲーム、リーグ戦ホスト最終戦で勝利を届けたいライナーズだが、残り30分で14点ビハインド。
本人としては相手を吹き飛ばしてトライ、を狙ったかに見えたが、WTBペニがグラウンディングを許さない見事なトライセーブ。NO8セルジョセにとっては痛恨のミスになった。
さらにレッドドルフィンズはWTBペニのみならず、相手WTB木村の独走に追いついてジャッカルまで決めたSO北原璃久など、好プレーの連続でスコアを許さない。
しかし、自陣からでも果敢に攻めるライナーズの攻撃的スタイルが、次第に形勢を変えていく。FL野中キャプテンがチーム公式Twitterで言及した。
「後半の中盤から、どこからでも攻めていくライナーズスタイルを良い意味で振り切って出来ました」「息を吹き返すのは今年のチームのひとつの強みです」
ライナーズはボールをキープして猛攻した。
後半21分、相手のキックミスから敵陣でフェーズ攻撃を仕掛け、LOサナイラ・ワクァが接点勝負を制してフィニッシュ。ゴールは失敗で9点差(12-21)。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン2
【第9節ハイライト】花園近鉄ライナーズ vs. 日野レッドドルフィンズ
さらにライナーズはクイックスタートで奇襲。途中出場の吉本匠が突破から、日本代表CTBシオサイア・フィフィタのチーム4トライ目(ゴール失敗)で4点差(17-21)。
最後まで攻撃的なマインドを崩さなかったライナーズ。
待望の逆転トライは後半36分。相手の中途半端なキックを獲得すると、自陣のショートサイドを破り、WTB木村がパス交換から独走。
ファンの応援とナイター照明を浴びながら、スピードスターが左中間に殊勲の逆転トライ。途中出場の吉本匠がコンバージョンも決め、虎の子の3点リード(24-21)を得た。
しかしレッドドルフィンズも最後まで諦めない。
最終盤でフォワードが大仕事。相手ボールスクラムでペナルティを奪った。ここから敵陣ゴール前に侵入すると、フォワード同士がプライドを懸けたモール勝負。
ここでライナーズは反則をせずにモールを押し返す好守。さらに途中出場の吉本らの好タックルから相手を押し返し、勝利を決定づけるターンオーバー。
直後にホーンが鳴り、タッチに蹴り出した。夜の花園にノーサイドの笛と歓喜の声が響く。劇的な逆転勝利。プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはトライを決めたLOサナイラ・ワクァが選出された。
勝者となったライナーズのFL野中キャプテンは試合後にマイクの前に立ち、リーグ戦での今季ホスト最終戦への応援、来場への感謝を述べた。
7勝2敗となったライナーズの次戦は4月10日(日)。岩手・釜石鵜住居復興スタジアムで、1勝8敗(5位)の釜石シーウェイブス戦に臨む。
「『ディビジョン1に上がる』という今年の目標を達成するために、もうワンステップ成長してからランキングマッチ(順位決定戦)へ行きたいと思います」(ライナーズFL野中キャプテン)
一方、6敗目を喫したレッドドルフィンズ。
試合終盤まで熱いファイトを展開したが、第9節を終え、上位ディビジョンとの入替戦を逃してしまった。次戦は同じく4月10日、こちらも1勝8敗(6位)のスカイアクティブズ広島と激突する。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
リポビタンDツアー2024 ラグビー日本代表テストマッチ 日本 vs. ウルグアイ(11/16)
11月16日 午後10:15〜
-
ラグビー 関東大学対抗戦2024 帝京大学 vs. 明治大学
11月17日 午後1:50〜
-
ラグビー 関西大学リーグ2024 天理大学 vs. 近畿大学 / 関西学院大学 vs. 京都産業大学
11月17日 午前11:35〜
-
ラグビー 関東大学対抗戦2024 慶應義塾大学 vs. 早稲田大学
11月23日 午後1:50〜
-
【限定】第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会 奈良県予選 決勝
11月17日 午後1:55〜
-
【限定】第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会 神奈川県予選 決勝
11月17日 午後12:55〜
-
ラグビー 関東大学対抗戦2024 帝京大学 vs. 早稲田大学
11月3日 午後1:50〜
-
【先行】第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会 大阪府予選 決勝
11月17日 午前10:55〜
J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!