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ラグビー コラム 2022年4月3日

【ハイライト動画あり】ボールキープで猛攻!花園近鉄ライナーズがリーグホスト最終戦で劇的勝利

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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リーグ戦の今季ホストゲーム最終戦は、劇的な幕切れになった。

第9節を迎えたジャパンラグビーリーグワンのディビジョン2(D2)。4月1日(金)は東大阪市花園ラグビー場で、6勝2敗の花園近鉄ライナーズが、3勝5敗の日野レッドドルフィンズを迎えた。

2位のライナーズは上位ディビジョンとの入替戦進出を決めているが、4位のレッドドルフィンズは土俵際。昇格への挑戦権を得るためには勝利は必須だった。

そんなレッドドルフィンズはこの日、気迫のディフェンスを見せた。

ノックオンを誘うWTBチャンス・ペニの好タックルなど、接点で激しくファイトし、第4節では45点差(22-67/第4節)で負けたライナーズの攻撃力を押さえ込んだ。

しかしライナーズはPK(ペナルティキック)からの速攻が冴えていた。

前半10分にはクイックスタートから帝京大出身のWTB木村朋也がフィニッシュ。豊富なおとりのランナーを使いながら、SO野口大輔のロングパスで仕留めた。

しかし7点を追いかけるレッドドルフィンズは前半20分過ぎ、優勢のスクラムにこだわったライナーズから逆にPK(ペナルティキック)を奪うと反転攻勢。

敵陣でCTBトンガモセセが突破。この1つのキャリーを足掛かりとして、SHプル、PR山崎基生と3つのパスを重ねてインゴールへ。CTB東郷太朗丸のトライ(ゴール)で7-7の同点に追いついた。

新加入で元神戸製鋼のPR山崎はこのトライアシストの直後から、2連続のジャッカルを披露。攻撃権の奪取に貢献すると、チームは後半33分にはWTBペニがトライ。14-7とリードして試合を折り返した。

ライナーズの絶対的な司令塔だった重光泰昌アタックコーチ。チーム公式Twitterで試合後に語っていた。

「本当はアタックでは前半からボールを動かし、ライナーズのテンポで攻撃したかったのですが、スローテンポで相手のペースに付き合ってしまいました」

しかし後半は修正した。

「後半はボールを動かせました。ハーフタイムでこちらから仕掛けていこうと話しました」(重光アタックコーチ)

後半4分には今季入団でこの日(4月1日)出場解禁だった天理大卒のPR高橋虎太郎、日本文理大卒のPRラタ・タンギマナが途中出場。デビューを飾った。

ただ後半も序盤はレッドドルフィンズのペース。

ビデオ判定によりノートライになったものの、ライナーズはキック処理のミスからインゴールを奪われる立ち上がり。

レッドドルフィンズの守備は引き続き堅調で、ジャッカルから自陣に攻め込まれてモール攻撃を受ける。

すると後半8分、乱れたスローイングにCTBトンガモセセが反応して獲得&突進。ラック周辺でフォワードのように働けるSHプルがねじ込み、レッドドルフィンズが14点リード(21-7)を奪った。

今季チーム初のナイトゲーム、リーグ戦ホスト最終戦で勝利を届けたいライナーズだが、残り30分で14点ビハインド。

後半11分にはキャプテンのFL野中翔平がフラットへの仕掛けから突破。NO8セルジョセの独走が生まれたが、インゴールであえて相手WTBペニにコンタクト。

本人としては相手を吹き飛ばしてトライ、を狙ったかに見えたが、WTBペニがグラウンディングを許さない見事なトライセーブ。NO8セルジョセにとっては痛恨のミスになった。

さらにレッドドルフィンズはWTBペニのみならず、相手WTB木村の独走に追いついてジャッカルまで決めたSO北原璃久など、好プレーの連続でスコアを許さない。

しかし、自陣からでも果敢に攻めるライナーズの攻撃的スタイルが、次第に形勢を変えていく。FL野中キャプテンがチーム公式Twitterで言及した。

「後半の中盤から、どこからでも攻めていくライナーズスタイルを良い意味で振り切って出来ました」「息を吹き返すのは今年のチームのひとつの強みです」

ライナーズはボールをキープして猛攻した。

後半21分、相手のキックミスから敵陣でフェーズ攻撃を仕掛け、LOサナイラ・ワクァが接点勝負を制してフィニッシュ。ゴールは失敗で9点差(12-21)。

ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン2

【第9節ハイライト】花園近鉄ライナーズ vs. 日野レッドドルフィンズ

さらにライナーズはクイックスタートで奇襲。途中出場の吉本匠が突破から、日本代表CTBシオサイア・フィフィタのチーム4トライ目(ゴール失敗)で4点差(17-21)。

最後まで攻撃的なマインドを崩さなかったライナーズ。

待望の逆転トライは後半36分。相手の中途半端なキックを獲得すると、自陣のショートサイドを破り、WTB木村がパス交換から独走。

ファンの応援とナイター照明を浴びながら、スピードスターが左中間に殊勲の逆転トライ。途中出場の吉本匠がコンバージョンも決め、虎の子の3点リード(24-21)を得た。

しかしレッドドルフィンズも最後まで諦めない。

最終盤でフォワードが大仕事。相手ボールスクラムでペナルティを奪った。ここから敵陣ゴール前に侵入すると、フォワード同士がプライドを懸けたモール勝負。

ここでライナーズは反則をせずにモールを押し返す好守。さらに途中出場の吉本らの好タックルから相手を押し返し、勝利を決定づけるターンオーバー。

直後にホーンが鳴り、タッチに蹴り出した。夜の花園にノーサイドの笛と歓喜の声が響く。劇的な逆転勝利。プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはトライを決めたLOサナイラ・ワクァが選出された。

勝者となったライナーズのFL野中キャプテンは試合後にマイクの前に立ち、リーグ戦での今季ホスト最終戦への応援、来場への感謝を述べた。

7勝2敗となったライナーズの次戦は4月10日(日)。岩手・釜石鵜住居復興スタジアムで、1勝8敗(5位)の釜石シーウェイブス戦に臨む。

「『ディビジョン1に上がる』という今年の目標を達成するために、もうワンステップ成長してからランキングマッチ(順位決定戦)へ行きたいと思います」(ライナーズFL野中キャプテン)

一方、6敗目を喫したレッドドルフィンズ。

試合終盤まで熱いファイトを展開したが、第9節を終え、上位ディビジョンとの入替戦を逃してしまった。次戦は同じく4月10日、こちらも1勝8敗(6位)のスカイアクティブズ広島と激突する。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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