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釜石シーウェイブス vs. 三重ホンダヒート
リーグワンディビジョン2のリーグ戦はいよいよ残り2節。4月2日(土)には、5位の釜石シーウェイブスと3位三重ホンダヒートの一戦が、岩手県の釜石鵜住居復興スタジアムで行われる(12時キックオフ)。
現在勝点23のヒートにとっては、勝てば上位3チームによる順位決定戦への進出を自力で決められる大切な試合。シーウェイブスも下位3チームの順位決定戦に回ることが決定しているとはいえ、地元サポーターの前で戦う貴重なホストゲームだ。互いに強い意気込みで臨んでくるのは間違いないだけに、熱のこもった好ゲームになることが予想される。
直近の戦いを振り返ると、シーウェイブスは前節、そこまで未勝利だったマツダスカイアクティブズ広島とのビジターゲームで19-21と痛恨の敗戦を喫した。その1週前の第7節も地元釜石で日野レッドドルフィンズに7-55と完敗しており、厳しい戦いが続いている状況だ。
ただ、いずれの試合も要所でのわずかなミスが大きく響いた印象で、勢いに乗った時のアタックの推進力や、個々の使命感を感じさせるタックルなど、局面を見ればポジティブな要素も少なくなかった。今節は中2週と十分な準備期間があっただけに、課題は修正してくるはずだ。細かい部分でどこまで精度高くプレーを遂行できるかが、勝利への条件だろう。
一方のヒートは、第5節から3連勝して迎えた前節、花園近鉄ライナーズとの2位浮上をかけた大一番に30-40で敗戦。前半をほぼ完璧な内容で24-14と先行して折り返し、残り20分までリードを奪っていただけに、悔やまれる黒星となった。気迫みなぎる攻守でライナーズを押し込むなど底力を示した半面、気持ちが乗り過ぎたことによる規律の乱れ(レッドカード1枚、イエローカード2枚)が出たのは反省材料で、今節はその部分の改善も問われる機会となる。
そんな両者の激突で、ひとつの焦点となりそうなのがセットプレーだ。それぞれの先発FW8人のサイズを比較すると、平均身長181.9センチ、同体重103.7キロのシーウェイブスに対し、ヒートは187.2センチ、107.5キロと優勢。ここまでの通算スタッツを見ても、スクラム(75.6パーセント対92.3パーセント)、ラインアウト(84.4パーセント対86.2パーセント)ともに成功率はヒートが上回っている。攻守の起点となるプレーだけにヒートがここでプレッシャーをかけてくるのは必至で、シーウェイブスにすればいかに対抗してマイボールをキープできるかが、大きなポイントになるだろう。
この点では、両軍の10番を務めるシーウェイブスのブレット・キャメロンとヒートの朴成基のゲームコントロールにも注目したい。ともに正確でよく伸びるキックを有し、司令塔としてプレーを組み立てる重要な役割を担う。蹴り合いで優位に立ち、効率よくFWを前に進められたほうが、試合の主導権を握りそうだ。
釜石シーウェイブススターティングメンバー
登録メンバーを見ていくと、シーウェイブスは前節のスカイアクティブズ戦から先発8人を変更と大きく布陣を組み替えた。両PRには延田朋樹と今季初出場の束田涼太が入り、LOベンジャミン・ニーニーが第5節以来3戦ぶりに復帰。FL陣は上田宥人、河野良太のハードワーカー2人で、サム・ヘンウッドが7番からNO8に下がった。
BKではヘルダス ・ファンデルヴォルトが第4節以来のメンバー入りで、キャプテンの小野航大とCTBコンビを組む。菅原祐輝は13番からWTBにシフト。14番には加賀亮太郎、FBには中村良真が名を連ねた。加賀もこれが今季初出場だ。
三重ホンダヒートスターティングメンバー
対するヒートの変更は5人。エネルギッシュなLO中川真生哉が2試合ぶりに先発復帰を果たし、前節LOで出場した小林亮太は本来のFLを務める。パディー・バトラーがリザーブから繰り上がり、8番での先発だ。
BKはアタック力が魅力のSH根塚聖冴が9番で登場。前半戦で好調だった11番のWTB尾又寛汰は第3節以来のスタメン復帰となる。12番に入った半井優太も第4節以来5戦ぶりの出場。アウトサイドのWTB生方信孝、FBマット・ダフィーと合わせてスピードランナーぞろいの布陣で、ワイドな展開からスペースにボールを運んでチャンスを作りたいところだろう。
シーズンも終盤に入り、残る2節は目の前の試合での勝利もさることながら、順位決定戦とその後の入替戦に向け、いかにチームとして勢いに乗っていくかということも大事な要素になってくる。その意味では結果はもちろん、何より戦いぶりが問われる一戦といえる。
なお両者の一巡目の対戦は第1節で、この時はヒートがホストスタジアムの三重交通Gスポーツの杜鈴鹿で48-24と勝利を収めている。もっとも敗れたシーウェイブスも一時0-29と大きく先行されたところから後半に4トライを挙げて追い上げており、その後への可能性を感じさせる試合内容だった。11週後の再戦でそれぞれどのような成長を遂げているかという点も、この試合の重要なチェックポイントとなる。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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