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宗像サニックスブルースが会見
3月30日、ジャパンラグビー リーグワンのディビジョン3で戦っている宗像サニックスブルースが、今季をもって活動休止することを正式に発表。チームを運営する株式会社サニックスがオンライン会見を開き、続いてリーグワンもその対応に関するオンライン会見を行った。
まず、株式会社サニックスの執行役員の曽我拓氏より「最大限、チームの継続に向けて努力をしてまいりましたが、現在の経営環境を鑑みまして総合的に判断した結果、当社として、これまでと同様の体制でチームを強化、継続していくことは困難であると。苦渋の決断ではございますが、ラグビー部の活動を休止することを決定しました」と話した。
続いて、ラグビー部部長を務める渡邊敏行氏は、「(今季)17~18名の選手が入り、ファンに喜んでいただけるラグビーをしようと準備しているところで、このようなことになり、残念に思っております」。
「残りの試合は少ないですが、選手は必ず全力で戦ってくれると信じています。我々スタッフも会社側も、全力で選手のサポートをしてまいります。残り少ない活動になりますが、選手、スタッフはファンの皆さんに恩返しするつもりで戦っていきたい」と話した。
これで、1994年に創部された宗像サニックスブルースは、5月末をもって活動休止となることが正式に決まった。今年度、株式会社サニックスの事業の1つであるエネルギー関連で、価格が高騰し、ウクライナ情勢などの影響もあり、会社の経営が不安定になった影響が大きかったという。
今回の活動休止は30日の午前中に株式会社サニックスの取締役会が開かれ決定。午後にクラブハウスで、代表取締役社長である宗政寛氏により、選手たちにも伝えられた。2月に廃部を検討しているということを伝えていたが、もちろん選手たちはショックを受けている印象だったという。
今シーズンは4名が宗像サニックスブルースに新しく選手が入団したが、チームが今季で終わる可能性もあるということをあらかじめ伝えており、承諾した上で入団したという。現在、他社へのチーム譲渡について、福岡県宗像市以外で活動も含めて、リーグのバックアップも受けながら可能な限り検討しているという。所属選手に関しては移籍、再就職の支援などのバックアップをしていく考えだ。
また、曽我氏が「社の社会貢献、地域貢献活動につきましては、スポーツ、文化を通じた青少年の育成ということを様々な形で行わせていただいております。これらにつきましては、継続して取り組ませていただきたい」と話したとおり、現状、グローバリアリーナの維持や、サニックスワールドユースへの支援は継続していく方向だ。
この発表を受けてリーグワンもオンライン会見を開き、専務理事の東海林一氏が今後の対応について報道陣に対応した。
東海林専務理事は「宗像サニックスブルースおよび、株式会社サニックスには、これまでチーム、選手、スタッフの活躍はもちろんのこと、企業としての高校生世代の世界大会開催へサポートなど、日本ラグビーへ多大な貢献をいただきました。多くのファンの方々に愛されるチームでした。ファンの皆様には、このたびの活動休止は非常に残念なことであり、リーグとしても事態についておわび申し上げます」と話した。
リーグワンとしては今後、理事会で宗像サニックスブルースの退会を承認しつつ、チームの譲渡する場合のサポートも進めていく。さらに選手の移籍に関しては「60日ルール」があり、チームが活動を休止する60日前、つまり本日3月30日から宗像サニックスブルース所属の選手たちは移籍交渉を行うことが許されており、リーグとしても支援する。また、リーグワンとしては、6月にトップリーグ時代にも行っていたトライアウトも実施する方向だ。
ディビジョン3に所属する宗像サニックスブルースは順位決定戦には参加する。仮に、宗像サニックスブルースが3位になっても、4位のチームがディビジョン2との入替戦に繰り上がることはないという。宗像サニックスブルースの移籍先が見つからなかった場合、来季のディビジョン3は5チームで行われる予定だ(新規チームは2024年度からの参入を予定している)。
入替戦のフォーマットは、現在ディビジョン1で戦っているが、来季から社員選手中心にディビジョン3で戦う方向となったNTTドコモレッドハリケーンズ大阪の再審査と合わせて、宗像サニックスブルースの譲渡に関わる状況を踏まえ、4月中旬に発表されるという。
現場を預かる宗像サニックスブルースの松園正隆監督は、「会社より非常に辛く残念な通達を受けました。チームの歴史を振り返れば、これまで在籍した多くの選手、スタッフの努力により、現在の宗像サニックスブルースというチームがあります。また、チームがどんな状況であっても、宗像市をはじめとする多くのファンの皆様に熱い応援をいただくことができ、これまで走り続けることができました」。
「皆様には感謝の思いしかありません。今シーズンで活動は休止しますが、残りのシーズンを宗像サニックスブルースらしく、チーム一丸となって“BLUES PRIDE”を持って戦います」と気丈に話した。
非常に残念な決定だが、ジェイミー・ジョセフなど多くの日本代表選手を輩出し、九州の強豪として戦ってきた宗像サニックスブルースの勇姿が見られるのは今シーズンで最後となってしまった。リーグ戦は残り2試合と順位決定戦を残すのみとなったが、最後の最後まで伝統のランニングラグビーを貫いてほしい。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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