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横浜キヤノンイーグルスvs.東京サンゴリアス
ジャパンラグビー リーグワン第11節、3月27日(日)にはディビジョン1の交流戦の最終節が行われ、4位の横浜キヤノンイーグルスがセカンダリーホストである大分県・昭和電工ドーム大分に、首位の東京サントリーサンゴリアスを迎え撃った。
ホストチームの横浜イーグルスは試合前の時点で勝ち点を32とし、プレーオフ進出圏内の4位につけていた。キャプテンの日本代表SO(スタンドオフ)田村優は今試合もケガの影響で欠場し、沢木敬介監督は前節のトヨタヴェルブリッツ戦からFW(フォワード)1名、BK(バックス)2名の先発を変更。
引き続いてゲームキャプテンをHO(フッカー)庭井祐輔が務め、NO8(ナンバーエイト)にはアマナキ・レレイ・マフィが復帰した。SH(スクラムハーフ)は山菅一史に替わり、荒井康植が先発し、SO小倉順平とのハーフ団を形成。WTB(ウイング)松井千士、CTB(センター)梶村祐介は古巣との初対戦となり、南アフリカ代表のジェシー・クリエルらが先発した。
一方、第10節を終えた時点で9勝1敗で勝ち点42と首位に立っていた東京サンゴリアスはコロナ禍の影響で、ミルトン・ヘイグHC(ヘッドコーチ)は帯同しなかったが、前節からフロントローを総入れ替えするなど、FW6名、BK4名と先発を大きく入れ替えた。
九州出身のSH流大、CTB中村亮土中村亮土キャプテンや、ワラビーズでも活躍したリーグトップのボールキャリアーであるサム・ケレビ、先週SOでプレーしたオールブラックスのFB(フルバック)ダミアン・マッケンジーら国際経験豊富な顔ぶれが揃った。
トップ4入りを大きく左右する一戦は午後2時、快晴の大分県・昭和電工ドーム大分に5393人の観客が集まる中、キックオフされた。前半、横浜キヤノンイーグルスが積極的にボールを展開し、相手陣でのアタックを続ける。12分、ラインアウトを起点に、SO小倉が抜け出してノールックパスで、FL(フランカー)コーバス ・ファンダイクにパスを通して7点を先制する。
東京サンゴリアスも負けていない。SH流を中心にテンポのいいアタックを仕掛けて20分、FBマッケンジーがトライを挙げて、5-7とする。互いにPG(ペナルティゴール)を決め合った後の33分、東京サンゴリアスはCTB中村のキックパスからWTBテビタ・リーが決めて、15-10とし、さらにPGを加え、18-10とした。
そのまま前半終了と思われたが、東京サンゴリアスのSO田村熙がホーンが鳴る前にタッチに蹴り出してしまう。前半ラストプレーで得たチャンスに、横浜キヤノンイーグルスはラインアウトから展開し、SO小倉が少しためたショートパスに、FBのエスピー・マレーが走り込んで、そのまま左中間にトライ。ゴールも決まって、横浜キヤノンイーグルスが17-18と1点差に追い上げて前半を折り返した。
後半、膠着した状態の後、後半10分に東京サンゴリアス、12分には横浜キヤノンイーグルスがPGを決めて、得点差は1点差のまま。その後、16分には東京サンゴリアスが相手陣ラインアウトからのサインプレーで、HO中村駿太がトライを決めて28-20とリードを広げた。
だが、横浜キヤノンイーグルスも初開催となったセカンダリーホームのファンの前で意地を見せる。23分、途中出場のSH山菅一史が相手反則からクイックリスタートし、LO(ロック)リアキ・モリに渡してそのまま左中間にトライ。27-28と再び1点差に追い上げた。
残り20分、どちらに勝負が転ぶかわからない中、横浜キヤノンイーグルスが相手陣奥まで攻め込むが、得点に結びつけることはできなかった。すると33分、東京サンゴリアスはボールを継続し、最後は左大外にいたNO8テビタ・タタフがトライ。39分にはSOに入ったマッケンジーが裏へキックし、チャンスメイク。最後は右の大外にいたNO8タタフがトライを挙げて、40-27と突き放してノーサイドを迎えた。
東京サンゴリアスはリーグ一番乗りとなる10勝目を挙げ、勝ち点を46へと伸ばし首位をキープした。横浜キヤノンイーグルスは勝点を挙げることはできず、勝ち点32のままで、トヨタヴェルブリッツに並ばれたが、得失点差で4位をキープした。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には東京サンゴリアスのFBマッケンジーが選ばれた。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第11節ハイライト】横浜キヤノンイーグルス vs. 東京サンゴリアス
スタッツのアクションエリアではボールポゼッションは51%、相手陣でボールを持ってのプレーも41.1%とホストの横浜キヤノンイーグルスがボールを保持して攻めていた時間が長かったことがわかる。ただ、首位の東京サンゴリアスはゴール前のディフェンスは固く、相手陣22m内に入ったらしっかりトライを取り切ったことが勝利につながったといえよう。
敗れた横浜キヤノンイーグルスの沢木監督は冒頭、「まあ、うちはこんなもんじゃないですかね。サンゴリアスに対して善戦して、以前のイーグルスだと喜んでいたと思いますが、それは悔しさに変わってきた」と話した。
続けて「やっぱり、自分達から相手にチャンスを与えてしまったというのが現状です。ただ、ネガティブになることは全然ないと思うので、本当にこれからしっかり選手一人ひとりの意識が勝てる選手に変わっていて、まだまだトップ4の壁を崩せるチャンスがあるので、しっかりチームにエナジーを持って、さらなるレベルアップしていきたい」と前を向いた。
勝利して首位をキープした、東京サンゴリアスの田原耕太郎コーチングコーディネーターは、「タフなゲームの中で、キャプテンを中心に選手たちがしっかり話してくれて、最後までしっかり勝てたところ、しっかり首位で終わったことに対して選手たちのパフォーマンスに本当に満足しています」と1週間の準備、試合に指揮官が不在の中でも勝利した選手の健闘をたたえた。
「家族も母校の鹿児島実業の後輩たちも見に来た」という中村キャプテンは「ヘッドコーチがいない中での1週間の準備でしたが、選手が主体的になって準備した分、グラウンドで良いコミュニケーションを取って、80分間通して、しっかりサンゴリアスのラグビーができた。また、学ぶことも課題が出たので、次に向けてチームとして、レベルアップして準備したい」と反省しつつも前を向いた。
カンファレンスA・B同士の交流戦が終わり、ディビジョン1は来週「BYEウィーク」(休みの週)となり、試合は実施されない。次節、首位の東京サンゴリアスは4月9日(土)、ホストの東京都・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で、10位のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪と対戦する。
敗れたものの4位とプレーオフ圏内を維持した横浜キヤノンイーグルスは、同じく4月9日(土)に大阪府・万博記念競技場で2位につけるクボタスピアーズ船橋・東京ベイに挑む。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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