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ラグビー コラム 2022年3月24日

國學院栃木、花園で巻き起こした旋風を再び。全国高校選抜ラグビー大会 注目校紹介

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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國學院栃木

3月25日(金)から31日(木)まで、埼玉・熊谷ラグビー場を中心に、春の高校王者を決める第23回全国高校選抜ラグビー大会が行われる。注目校の1つで、「ベスト8以上」を目標に掲げる、3大会連続8回目出場の國學院栃木高校(栃木)を紹介する。

年末の花園で大きな旋風を巻き起こしたチームが、過去ベスト8が最高成績だった「國栃」こと、國學院栃木だった。スクラム、モールといったセットプレーが強く、堅実に、真面目に身体を張り続けるFW(フォワード)陣と、SO(スタンドオフ)伊藤龍之介、FB(フルバック)青柳潤之介の2年生の2枚看板がアタックをリードした。

新主将に選ばれたSO伊藤

昨年の関東大会王者としてBシードに選出され、3回戦で流通経済大柏(千葉)、準々決勝で長崎北陽台(長崎)を下し、初のベスト4に進出して歴史を塗り替えた。さらに準決勝で大会連覇中の桐蔭学園(神奈川)を下して決勝まで駒を進めた。決勝こそ東海大大阪仰星(大阪第2)に敗れたが、大きなインパクトを残した。

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1988年、ラグビー部が愛好会時代から34年間指導を続けてきた吉岡肇監督(60歳)は「簡単に強くなっていないから、簡単に弱くならない。やってきたことが間違いではないという自信になった」。

「方針をぶらさず右肩上がりの成長が重要で、花が咲き始めている。一発花火で終わらないために今年、来年は重要だと話しています。花園の自信を武器に、今回の選抜で再びベスト4、決勝まで行くのか、足下をすくわれるのか、ワクワクドキドキしています」と8回目の選抜を楽しみにしている。

コロナ禍での注意点を再確認する吉岡監督

10年ほど前までは栃木県出身の選手も多かったが、吉岡監督の「来る者拒まず」の精神と、2018年にグラウンドが人工芝となり、学内に男子寮ができたことで県外の生徒が増えていき、選手層が厚くなったこともチーム力向上に寄与している。現在、2年生が28名、1年生が32年(マネージャー1人)、春からの新入生49名の7割ほどは寮生活をしている。

中の2人が吉岡親子 左は加納トレーナー、右は河村コーチ

また、吉岡監督とともに長年スクラムを指導している長山時盛FWコーチ、トレーナーの加納秀久氏、大道泉S&Cコーチらが、チームのサポートを続ける一方で2年前から若い力がチームに加わった。

同校OBであり、早稲田大学で活躍、アルカス熊谷でもコーチをしていた吉岡監督の次男、吉岡航太郎氏(25歳)が教諭となり、ヘッドコーチに就任。また、航太郎コーチと同時に寮監として、同校OBであり國學院大学でプレーした河村裕平コーチ(30歳)も赴任、グラウンド内外で若い選手たちを支えている。

主にグラウンド外のことや人間教育などが父の吉岡監督、グラウンド内の主な指導は航太郎コーチが担当する。親子鷹の体制が國學院栃木の両輪として機能している。選手たちは「航太郎コーチが、最新の戦術や細かいことを教えてくれてやりやすい。選手の目線に立ってくれるし、自主性も尊重してくれる」と全幅の信頼を置いている。

練習の最後は綱登りとタイヤ引きで締める

ただ、新しいラグビーや戦術だけでなく、吉岡監督が大事にしているベースとなる基礎練習は決して怠らない。週2~3回、ウェイトトレーニングに精を出し、練習後は毎回、「デザート」と呼ばれる綱登り&タイヤ押しは欠かさない。また、少し時間があると校内の坂を30本ダッシュしたり、クロスカントリーも行ったりしている。こういった日々の努力がセットプレーや接点の強化につながっているのは明白だった。

父である吉岡監督は息子の指導に対して、「勤勉でラグビーのコーチングに夢中な姿は私の若いときにそっくりです。私の定年まであと5年で、いろいろと引き継いでもらって、30歳くらいで監督になってくれれば」と目を細めた。

25歳の航太郎コーチは、時には練習に参加して指導

4月から母校での指導3年目となる航太郎コーチは、「若くしてグラウンドを任されているのはありがたいです。もっと苦労すると予想していました。経験がなくて探り探りで、自分がやっている練習が効果的なのか疑問に思っていましたが、花園で結果が出て、いい練習ができていたのではないかと、確信はないですが、自信にはなりました」と振り返った。

アタックをメインに選抜に向けて練習を重ねてきた

FWの主力選手のほとんどが花園を経験している2年生のため、新チームもFWが安定しており、大きく崩れることはなさそうだ。その上で、花園後、チームが取り組んできたのは攻撃だった。航太郎コーチは「花園では先制されてリードされると逆転できる力がなかった。春はアタックをメインに練習しています。FW、BK(バックス)というより、15人全員がハンドリングできる、トータルラグビーがしたい」と語気を強めた。

キャプテンはプレーでも姿勢でもチームを引っ張ることができる選手ということで、同期の選手たちによって、SO伊藤が選ばれた(取材時は所用で練習に参加していなかった)。

左からBKリーダー島崎、副将FL櫻井、FWリーダー木村

副キャプテンのFL(フランカー)櫻井瑛太は「昨年度、2回戦で石見智翠館に負けたので。ベスト8は確実に入って、その上を狙っていきたい。花園を経験したメンバーが多いので、ディフェンスはそのまま活かせる。新チームになり、上積みとしてアタックメインでやってきた。昨年の経験がある分、チャレンジしたい」と意気込んでいる。

また、FWリーダーのPR(プロップ)木村陽太は「花園でもFWが通用した。選抜でもモールからトライしたり、スクラムで相手ボールをターンオーバーしたい」と言えば、東芝で活躍した父(SO正吾氏)を持つ、BKリーダーのSH島崎聖弥は「セットプレーからBKで取り切る力をつけてきた。選抜でもいい結果を出して花園につなげたい」と話す。

大黒柱の1人、FB青柳やBKリーダーSH島崎はケガのため出場できない可能性が濃厚だが、逆に新しい選手が出てくるチャンスと捉えている。親子鷹の監督&コーチの指導の下、花園を経験した献身的なFW陣、新キャプテンSO伊藤のリードを武器に選抜でも初のベスト4以上に進出し、再び「國栃」の歴史を塗り替えることができるか。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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