春の「熊谷」を制するのは？ 冬の「花園」を占う高校日本一決定戦

昨年の決勝 桐蔭学園 vs. 東福岡

3月25日、埼玉県の熊谷ラグビー場にて、第23回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会が開幕する。各チーム、4月から3年生、2年生になる選手たちが出てくるので2学年での参加になるが、春の戦いぶりで今年の勢力図がある程度見えてくる。高校ラグビーファンにとっては見逃せない大会だ。

参加するのは、全国9ブロックから選抜された32チーム（北海道1、東北3、関東5、北信越1、東海2、近畿5、中国2、四国2、九州5、開催県1、前年度優勝枠1、実行委員会推薦枠4）。トーナメントの勝ち抜き戦で優勝チームを決定する。コロナ禍ということもあり、決勝戦は3月31日という短期決戦だ。優勝争いは、昨年の覇者・東福岡、準優勝・桐蔭学園、冬の花園を制した東海大大阪仰星が軸になりそう。冬の全国大会から3年生が抜けてメンバーが変わったとはいえ、どのチームも選手層は厚い。

実力校が多い近畿地区からは5校が出場するが、強豪ひしめく大阪から予選を突破したのは東海大大阪仰星一校のみ。京都から2校（京都成章、京都工学院）、奈良1校（天理）、兵庫1校（報徳学園）という顔ぶれになった。京都工学院は6大会ぶり8回目の出場。伏見工業から校名を変更して以降初めての出場となる。近畿大会で大阪桐蔭と戦い、終了間際のトライで同点に追いつき、抽選で出場権を獲得するという劇的な結末で新たな歴史を作った。今大会の1回戦では三重県代表の朝明と戦う。勝てば流経大柏（千葉）と大津緑洋（山口）の勝者との対戦だ。

九州地区も実力校揃いだが、福岡から東福岡と並んで伝統校の修猷館が14大会ぶり2回目の出場を果たす。1回戦では、こちらも古豪の秋田工業と対戦。初出場は実行委員会の推薦枠で出場する立命館慶祥（北海道）と、勿来工業（福島）だ。立命館慶祥は、昨年10月に行われた札幌地区高校新人大会決勝戦で、札幌山の手に10－7で勝ち、11月の北海道高校新人大会でも、札幌山の手と12－14と僅差勝負を繰り広げた。また、2011 年 3 月に実施予定だった第12回全国高校選抜大会で北海道代表として出場権を得ていたが、東日本大震災の影響で大会自体が中止になったことも考慮されての推薦だ。勿来工業は、東日本大震災以降に部員が減り、一時は活動休止に追い込まれたが、2016年に再開。今年1月の福島県高校新人大会では磐城を31－6で下し、25年ぶりに優勝している。いずれも楽しみなチームだ。

2回戦までの組み合わせは抽選で決まっており、準々決勝からが再度抽選が行われる。茗溪学園（茨城県）、長崎北陽台（長崎県）が大会直前に新型コロナウイルス感染症の陽性者が出たため出場を辞退。これにより長崎北陽台と対戦予定だった立命館慶祥は不戦勝となり、2回戦では國學院栃木対城東（徳島）の勝者と対戦する。また、茗溪学園と対戦予定だった京都成章も不戦勝となり、2回戦では、春日丘（愛知）対高鍋（宮崎）の勝者と対戦。1回戦屈指の好カードは、天理（奈良）対石見智翠館（島根）。この勝者が東福岡と國學院久我山と対戦する組み合わせは面白い。石見智翠館は、前年の大会ではベスト8で敗退しているが、東海大大阪仰星に3－14と健闘している。この山を乗り越えて歴史を作りたい。

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、3月25日、26日の1、2回戦は無観客となり、準々決勝以降は有観客（バックスタンドのみ）での開催。有観客となる準々決勝以降のチケットについては、熊谷ラグビー場メインのバックスタンドのチケット販売窓口にて、第1試合の開始1時間前より当日券が販売される。中学生以下は無料。感染症対策として、チケット購入の際に検温と同意書への記入が必要となる。J SPORTSオンデマンドでは、敗者戦8試合を含む、全39試合をライブ配信予定だ。

文：村上 晃一