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東芝ブレイブルーパス東京 vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
ジャパンラグビーリーグワンのディビジョン1は残り7節となり、順位争いが緊迫感を増してきた。3月19日土曜日の秩父宮ラグビー場では、東芝ブレイブルーパス東京とクボタスピアーズ船橋・東京ベイの上位勢対決が行われる(14時30分キックオフ)。現在5勝4敗で勝点25で6位のブレイブルーパスにとってはプレーオフ出場圏のトップ4入りに向け、7勝2敗で勝点35の2位スピアーズにすれば2週ぶりの首位奪還に向け、それぞれ重要な意味を持つ一戦となる。
ホストチームのブレイブルーパスは前節、NECグリーンロケッツ東葛との激しい肉弾戦を37-18で制し、今季5勝目(不戦勝1を含む)を挙げた。後半なかばまで2点差の拮抗した展開から、ラスト20分で3トライをたたみかけて突き放した内容は、チームとしての底力を感じさせるものだった。第8節の横浜キヤノンイーグルス戦(21-18)に続いて今季初の連勝を飾り、プレー、メンタルの両面でコンディションは上向きと見ていいだろう。
対するスピアーズは、金曜のナイトゲームで東京サントリーサンゴリアスとの首位決戦に29-33と惜敗。シーズン2敗目を喫し2位に後退したが、HOマルコム・マークスやLOルアン・ボタ、FLピーター・ラブスカフニ、CTBライアン・クロッティら主軸を欠きながらサンゴリアスと紙一重の激闘を演じ、堂々たる優勝候補の一角であることをあらためて証明した。看板の大型FWの充実ぶりに加え、第7節のデビュー以来センセーショナルな活躍を続けるルーキーWTB根塚洸雅などBKにもリーグ屈指のランナーがそろっており、悲願の初タイトル獲得に向け機が熟しつつあることをうかがわせる。
ともに激しいコンタクトプレーを身上とする両者だけに、この対戦では体をぶつけ合う局面、特にブレイクダウンの攻防がひとつのポイントになるだろう。いずれもベンチまで含めて球際に強いハードワーカーがそろっており、タックル後のボール争奪戦でターンオーバーを取り切れることが、チームとしての強みになっている。当然お互いにそこは意識しているはずで、見応えあるバトルが繰り広げられそうだ。
この点については、それぞれの試合間隔の違いも展開に影響を及ぼす可能性がある。ブレイブルーパスが中5日のショートウィークとなるのに対し、スピアーズは中7日と準備期間は十分。どちらも前節がタフな削り合いだっただけに、消耗した体をリカバリーしつつ今節のゲームに向けた分析と落とし込みを進めるうえで、2日の差がどのように表れるかは興味深い。
もうひとつの注目点はディシプリンだ。ここまでのスタッツを見ると、ブレイブルーパスは実施8試合で117の反則(1試合平均14.6)をとられており、これはディビジョン1でもっとも多い数字(第9節終了時点)。スピアーズのビッグパックに22メートルライン内でマイボールラインアウトの攻撃機会を与えれば、守り切るのは至難の業だ。ブレイブルーパスにとってはいかに中盤でペナルティをせず戦うかということも、重要なテーマとなる。
東芝ブレイブルーパス東京スターティングメンバー
キックオフ48時間前に発表された登録メンバーを見ていくと、ブレイブルーパスは前節から先発5人を変更。FWでは右PRの小鍜治悠太、NO8山本浩輝がリザーブから繰り上がり、LOワーナー・ディアンズが2週間ぶりに復帰して先発入りした。グリーンロケッツ戦でトライを挙げた徳永祥尭は8番から6番に上がり、山本がNO8を担う。
BKではニュージーランド代表3キャップのSOトム・テイラーが、第5節以来6週ぶりにスターターに名を連ねた。前節10番を背負った中尾隼太は12番に移り、卓越したラインブレイク力を誇るセタ・タマニバルとCTBコンビを組む。FBでは昨春加入した松永拓朗が、2試合ぶりに先発復帰を果たした。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイスターティングメンバー
一方スピアーズの変更は4人。FWではHOマークス、FLラブスカフニが前節に続きメンバーから外れたが、205cm、120kgの巨漢LOボタが先発に帰ってきたのは大きなプラス材料だろう。BKではSO岸岡智樹が第2節以来今季2度目の先発スタートとなり、13番にはオールブラックスで48キャップを誇るクロッティがイン。粘り腰と勝負強さが魅力のWTB山崎洋之が14番に入り、11番の根塚と強力な両翼を形成する。
両者のトップリーグでの対戦を振り返ると、通算成績では5度の優勝を誇るブレイブルーパスが11勝4敗(カップ戦を除く)と大きく勝ち越しているが、直近の2試合(2018年、2021年)はスピアーズが連勝を収めている。特に昨季はFW戦で圧倒して39-7と快勝しており、いいイメージを持って今回のゲームに臨んでくるだろう。近年着実にステップアップを重ねてきたスピアーズと、復権に燃えるブレイブルーパス。両者のプライドをかけた激突が楽しみだ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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