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ラグビー コラム 2022年3月8日

日本代表を目指すトップレベルの選手たちが高校最後の試合。ラグビー高校日本代表候補エキシビションマッチ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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ラグビー高校日本代表候補エキシビションマッチ

3月7日(月)、静岡・エコパスタジアムで、2021年度の高校日本代表の海外遠征の代替として、3年生50名の高校日本代表候補選手が「U19 Red Blossoms」(レッド)と「U19 Blue Blossoms」(ブルー)に分かれてエキシジビョンマッチを行った。

昨年度はコロナ禍の影響で、高校日本代表は活動を行うことができず、今年度も主にオンラインでの活動だったが、今回は3月4日から8日まで「第8回TIDユースキャンプ」(高校日本代表候補合宿)を行い、各選手の競技力の発掘、U20日本代表や、その先につながる国際舞台で活躍する選手の発掘を目的に試合が組まれた。

ビッグマンキャンプから代表候補になったLO能勢

2チームは今年度、春の全国高校選抜大会、夏の全国高校7人制ラグビー大会、「花園」こと、全国高校ラグビー大会で活躍した選手が多く選出されたが、身長197cmのLO(ロック)能勢涼太郎(川西北陵)やWTB(ウィング)福島秀法(修猷館)といった全国大会に出場経験のない選手も選ばれた。

両キャプテンを先頭に入場

U17日本代表の活動もなかったため、選手たちは桜のエンブレムがついたジャージーを初めて着て行う試合となった。両チームの選手たちは、2019年ワールドカップで日本代表がアイルランド代表を下したスタジアムで国歌を歌い、1月に海底噴火の被害に遭ったトンガ王国に対する黙祷も行われた。

トップレベルの選手たちが、今年度の高校日本代表のテーマだった「HONKI」(本気)の言葉通り、バチバチと身体を当て続けた60分間となったが、序盤、ペースを握ったのは「コネクト」をテーマに掲げて臨んだ「レッド」だった。

キャプテンのSO(スタンドオフ)大町佳生(長崎北陽台)は「合宿に来る前から楢本幹志朗(東福岡)ら、BK(バックス)中心にどういうプランでやるかを明確にしていた」という言葉通り、アタックで相手にプレッシャーをかけ続けた。

2トライを挙げたレッドのWTB御池

そして13分、相手陣奥のスクラムを起点に、最後はSO大町からパスを受けた御池蓮二(東海大大阪仰星)がトライを挙げて5-0とリードする。その後、「ブルー」のペースになり、FB(フルバック)上ノ坊駿介(石見智翠館)らのランで攻め込むも、「レッド」はディフェンスで粘り得点を許さない。

すると18分、「レッド」のCTB(センター)野中健吾(東海大大阪仰星)がパスをインターセプトしチャンスをつかむ。ラインアウトからSO大町がブラインドサイドにキックし、そのボールをLOティポアイールーテル・ラリー(倉敷)が押さえて12-0とリードする。

前半終了間際、トライを挙げるブルーのWTB山村

前半終了間際、「ブルー」も意地を見せて、CTBステファン ヴァハフォラウ(札幌山の手)のランで攻め込み、最後はSO大島泰真(京都成章)のキックパスを受けたWTB山村和也(報徳学園)がトライ。12-5で前半を折り返す。

さらに、後半早々の2分、「ブルー」はFW(フォワード)陣が力強さを見せてHO(フッカー)長島幸汰(京都成章)がトライを挙げて、2点差に追い上げる。だが、勝負にこだわりを見せる「レッド」は7分、SO大町がPG(ペナルティゴール)を決めて15-10とした。

トライを挙げてポーズを決めるレッドWTB小池

その後は攻め合う中で、互いにディフェンスで粘り、得点を許さない展開が続く。試合が動いたのは22分、「レッド」のWTB小池陽翔(中部大春日丘)が相手のパスをインターセプト。快足を活かして、そのまま中央にトライを挙げて、22-10とリードを広げた。

「ブルー」も30分にSH(スクラムハーフ)高橋佑太朗(茗渓学園)が意地のトライを挙げたが、ロスタイム、「レッド」は再びボールを動かしてWTB御池がこの試合2つ目のトライを挙げ、27-15でノーサイドを迎えた。POM(プレイヤーオブザマッチ)にはキャプテン&司令塔としてチームを引っ張り、2トライをアシストした「レッド」のSO大町が選ばれた。

今季の高校日本代表を率いた高橋監督

高橋智也監督(一関工業高校)は「6月からチームがスタートしましたが、なかなか思うように準備できず、さらにフランス遠征が中止になったが、素晴らしい試合を準備していただき本当に感謝しています」。

「日本代表が世界で戦うために、絶対必要なこの年代の強化を今日できてうれしい。練習してきたことがすべて凝縮され、選手の熱が最後まで伝わるいいゲームだった。今後、数年後に日本代表で活躍することを信じています」と話した。

ブルー薄田、レッド大町の両キャプテン

「ブルー」のキャプテンを務めたFL(フランカー)薄田周希(東海大大阪仰星)は「自分自身の足りないところや、また通用する部分というのが非常に多く見つかった。フル代表のジャージーを着て、世界に出ても活躍できるプレイヤーになりたい。日本代表を引っ張る存在になれるようにこれからも努力していきます」と先を見据えた。

「レッド」の勝利に貢献しPOMにも選ばれたSO大町は「周りの選手のレベルも高いので、ゲームメイクもしやすかった。相手のレベルが高くて苦しい時間もあったが、仲間に助けられた。自分のいい経験にもあったし、これからの修正点も見えたので、これからのターニングポイントになった。切磋琢磨して、またこの桜のジャージーを着られるように頑張りたいと思います。各選手それぞれの大学で頑張ってほしい」というコメントで締めた。

高校最後、本気の勝負となった60分間

高校3年間中、2年はコロナ禍にあたり、制限のある中での練習だった高校3年生の選手たちにとっては、同学年のトップレベルの選手と実際に身体を当てた今回の合宿、エキシビションマッチは大きな糧になるとともに思い出にもなったはずだ。

選手たちの多くはこの合宿の終了直後に、各大学の寮に入ってすぐに大学ラグビーに打ち込むことになる。各選手たちはU20日本代表を経て、その先の日本代表に選ばれ、ワールドカップへの出場を目指すべく研鑽を続けていく。

◆U19 Red Blossomsメンバー

1 杉本安伊朗(國學院久我山)
2 垣田基樹(東海大大阪仰星)
3 笛木健太(常翔学園)
4 楠田知己(東海大大阪仰星)
5 ティポアイールーテル・ラリー(倉敷)
6 利川桐生(大阪桐蔭)
7 永池海音(佐賀工業)
8 宮下晃毅(報徳学園)
9 石田太陽(東海大大阪仰星)
10 大町佳生(長崎北陽台)※キャプテン
11 小池陽翔(中部大春日丘)
12 野中健吾(東海大大阪仰星)
13 東海隼(光泉カトリック)
14 御池蓮二(東海大大阪仰星)
15 楢本幹志朗(東福岡)

【控え】

16 シオネ ポルテレ(目黒学院)
17 西野帆平(東福岡)
18 伊藤潤乃助(常翔学園)
19 北川叶羽(朝明)
20 能勢涼太郎(川西北陵)
21 小山田裕悟(桐蔭学園)
22 立川和樹(天理)
23 岡崎慶喜(石見智翠館)
24 福島秀法(修猷館)

※CTB田中大誠(國學院栃木)WTB/FB倉田渉(京都成章)はコンディション不良のため出場せず

◆U19 Blue Blossomsメンバー

1 弓部智希(石見智翠館)
2 長島幸汰(京都成章)
3 斎藤健太(國學院栃木)
4 奥平一磨呂(東海大大阪仰星)
5 小椋健介(桐蔭学園)
6 薄田周希(東海大大阪仰星)※キャプテン
7 大西一平(東福岡)
8 林 慶音(大阪桐蔭)
9 川久保瑛斗(長崎北陽台)
10 大島泰真(京都成章)
11 中俊一朗(東海大大阪仰星)
12 今野椋平(桐蔭学園)
13 ステファン ヴァハフォラウ(札幌山の手)
14 山村和也(報徳学園)
15 上ノ坊駿介(石見智翠館)

【控え】

16 富田 陸(大阪桐蔭)
17 楳原大志(長崎北陽台)
18 池田蒼威(石見智翠館)
19 大本峻士(常翔学園)
20 中村 豪(常翔学園)
21 高橋佑太朗(茗溪学園)
22 奈須貴大(光泉カトリック)
23 最上太尊(仙台育英)
24 吉本大悟(東海大大阪仰星)
25 平 翔太(東福岡)
26 茨木 颯(東福岡)

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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