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リーチ マイケル
トップリーグで5度の優勝歴を持つ社会人名門・東芝ブレイブルーパス東京。
準優勝と遂げた2015年度以降は、最高成績が17年度の6位でありリーグ中位に甘んじてきたが、今季は若手の台頭、コーチ増員などの強化策も奏功し、力強いラグビーを披露している。
そんな3勝4敗(実戦2勝4敗)のブレイブルーパスは3月5日(土)、ジャパンラグビーリーグワン「ディビジョン1」第8節で、5勝2敗(実戦4勝2敗)の横浜キヤノンイーグルスと激突した。
先週のシャイニングアークス東京ベイ浦安戦では逆転負けを喫したが、3連敗は避けるべく、NZ代表のFLマット・トッド、共にフィジー出身のCTBセタ・タマニバルとWTBジョネ・ナイカブラなど主力が帰ってきた。
さらに23歳の天理大コンビ、PR小鍜治悠太とFB松永拓朗、さらに19歳のLOワーナー・ディアンズという若手の成長株がスタメンに入った。
しかし序盤はビジターであるイーグルスが主導権を握った。
イーグルスは最初のアタックでいきなり自陣からLOサウマキアマナキがビッグゲイン。この日のクリーンブレイク数はイーグルスが7回(ブレイブルーパスは2回)であり、効果的なビッグゲインが多かった。
前半のブレイブルーパスが劣勢だった一因は反則数。
序盤から立て続けに5回のペナルティを犯し、相手にモメンタム(勢い)が増した。以下は前半のブレイブルーパスの被ペナルティだ。
※試合結果の「チョークボード」、東芝ブレイブルーパス東京「被ペナルティ(前半)
東芝ブレイブルーパス東京 被ペナルティ(前半)
前半だけで9回のペナルティを犯し(後半は5回)、前半3分にはSO田村優に先制のPG(ペナルティゴール)を許した。
さらにブレイブルーパスは前半8分、犯したペナルティからの速攻を受け、南アフリカ代表のCTBジェシー・クリエルの突破を許す。ここからショートサイドに6人が参加する複層的なラインからの突破を許し、10点ビハインドを背負った。
そんな劣勢ムードを払拭したのは、2戦連続の先発となった元日本代表キャプテン、ブレイブルーパスのFLリーチマイケル。
FLリーチは前半18分にジャッカルを決め、チームを前進させた。この日はチーム最多13タックルをノーミスで決める活躍だった。
イーグルスは前半31分にCTBクリエルの見事な飛ばしパスから、25歳のWTBヴィリアメ・タカヤワが突破&ショートキック。最後は自身で左隅にチーム2トライ目を決め、15点リードを奪取。
我慢し続けたブレイブルーパスの初得点は、日本代表招集歴のある27歳、フィジー出身のWTBナイカブラだった。
スクラムでの相手反則(アングル)から敵陣左に入ったブレイブルーパスは左ラインアウトからアタック開始。
FLトッドのオフロードパスから右隅でボールをもらったWTBナイカブラが、SO田村をハンドオフで弾き返してインゴールへ。7点を返し、ビハインドを8点(7-15)に縮めて前半を折り返した。
後半3分にはイーグルスがPGで3点追加してリードを11点(18-7)としたが、以降にイーグルスの追加点はなかった。
ホストで連敗脱出に懸けるブレイブルーパスは、モールでの好守備に加え、相手のオフサイドもあって後半14分に自陣のピンチを脱出。
ここで剛脚を披露したのは、またもWTBナイカブラ。
ブレイブルーパスは敵陣右ラインアウトから順目にNO8徳永祥尭、FLリーチと当てて、最後はWTBナイカブラがDFラインを斜めに切り裂く弾丸ラン。そのまま左隅へ飛び込み、ゴール成功で4点差(14-18)に迫った。
逆襲したいイーグルスだが、後半34分に攻守の要であるCTBクリエルがシンビン(10分間の一時退出)。さらに14人で自陣左の相手ラインアウトの大ピンチ。
ここでブレイブルーパスは、スローワーを含めた10人でラインアウトへ。モールをくみ上げると最後尾についたのは先発復帰のCTBタマニバル。
フィジー出身の29歳はショートサイドにいた相手FL嶋田直人がモールに寄ったところを見計らい、後半35分、モール最後尾から勝負。相手を蹴散らして見事にワンハンドで右隅にグラウンディングを決め、逆転トライに成功。
そして、トライ後の難しいコンバージョンをSO中尾が成功。ここで鹿児島大卒の27歳がリードを3点(21-18)に広げたことが、結果的に勝敗を変えた可能性があった。
というのも、直後の後半38分、イーグルスは敵陣中央のスクラムで強制ペナルティを奪取。
フロントローに五十嵐優、松岡将大をまじえたスクラムで値千金のPKを獲得したが、ここで1点差ならば逆転PG、という選択もあったからだ。
しかし残り2分弱で、3点を追いかけるイーグルスはラインアウトからの逆転トライを狙った。
ラインアウトで、強心臓のHO庭井祐輔が正確なスローイングを見せると、競られたもののモールを形成したイーグルス。バックスも入ったモールでじわじわ前進。
しかしモールからラックが出ず、無念の攻守交代。ブレイブルーパスがボールを出し、ホストで21-18の劇的な幕切れ。今季4勝目を手にした。
プレイヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)は勝者からWTBナイカブラ。11キャリーで10回のディフェンス突破、クリーンブレイク2回、そして剛脚で2トライ。文句なしのPOMだった。
3敗目を喫したイーグルスの次戦は3月12日(土)。いまだ実戦未勝利のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪と東京・秩父宮ラグビー場で戦う。
勝敗を五分に戻したブレイブルーパス。次戦は3月13日(日)、同じく秩父宮ラグビー場にNECグリーンロケッツ東葛を迎え撃つ。
16節あるレギュラーシーズンは折り返しとなる。ディビジョン1は上位4チームが初代王者が決まるプレーオフへ、下位3チームがホスト&ビジターの入替戦へ回る。順位をめぐる争いはいよいよ激化しそうだ。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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