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ラグビー コラム 2022年2月28日

【ハイライト動画あり】黒と赤の「事務機ダービー」は横浜キヤノンイーグルスに軍配。ジャパンラグビー リーグワン第7節

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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トライをあげる横浜キヤノンイーグルスSH天野

2月27日(土)、「ジャパンラグビー リーグワン」ディビジョン1のカンファレンスA・B交流戦、トップリーグ時代から「事務機ダービー」と呼ばれてきたリコーブラックラムズ東京vs.横浜キヤノンイーグルスの一戦が行われた。

ホストのブラックラムズ東京にとっては、練習場を構える世田谷区にある駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で初の試合となり、今季、初めて黒ジャージーで戦うことになった。

ブラックラムズ東京HO武井主将

第2節と前節がコロナ禍の影響で試合がなく、2勝4敗の勝ち点12の7位につけていたブラックラムズ東京は、FW(フォワード)はキャプテンのHO(フッカー)武井日向を筆頭に、先発に復帰した元スコットランド代表FL(フランカー)ブレア・カーワンが先発に復帰、元日本代表FL松橋周平らが入った。

BK(バックス)は、SH(スクラムハーフ)高橋敏也、22歳のSO(スタンドオフ)アイザック・ルーカスの2人が中心となってゲームをコントロールする。

POMに輝いたイーグルスのNO8マフィ

前節静岡ブルーレヴズに28-18で勝利し、4勝2敗の勝ち点18位の5位につけていた赤いジャージーの横浜キヤノンイーグルス。FWは前節と変わらず、副キャプテンで日本代表HO庭井祐輔、ウェールズ代表29キャップのLO(ロック)コリー・ヒル、元日本代表NO8(ナンバーエイト)アマナキ・レレイ・マフィらが入った。

BKにはキャプテンの日本代表SO田村優を筆頭に、南アフリカ代表CTB(センター)ジェシー クリエル、東京五輪に出場したスピードスターWTB(ウィング)松井千士らが名を連ねた。

南アフリカ代表CTBクリエル

5位と7位の対決ということで、上位を狙うためにも互いに負けられない試合は、4370人の観客が集い、春の陽気を思わせる暖かさの中、午後1:00にキックオフされた。前半、先に主導権を握ったのは風下の中、自陣からでも積極的にアタックを仕掛けたビジターの横浜キヤノンイーグルスだった。

前半7分、横浜キヤノンイーグルスはボールを継続して、CTBクリエル選手のトライかと思われたが、ハンドオフが危険なプレーと判定されてノートライとなった。その直後、相手陣奥でSO田村のグラバーキックをWTB松井が押さえて、5点を先制に成功する。

2トライを挙げたWTB松井

さらに11分、ボールを動かした後、SO田村が自陣からオープンサイドのスペースに大きくキック、ワンバウンドしたところを再び、WTB松井がキャッチしてトライ、SO田村がゴールを決めて12-0。さらに17分にはSO田村がPG(ペナルティゴール)を決めて15-0とリードを広げた。

PGを決めるSO田村

ホストのブラックラムズ東京も早い時間帯で得点を返そうと、BK陣のアタックやFWのモールなどで何度も攻め込むが、横浜キヤノンイーグルスの粘りのディフェンスの前にゴールラインを割ることができなかった。

後半、やや拮抗した状態が続き、SO田村のPGで追加点を加えた横浜キヤノンイーグルスは19分、モールを押しもみ、最後はNO8マフィが押さえて25-0と大きくリードした。

たが、残り20分、ホストのファンの応援でブラックラムズ東京が奮起する。22分、14フェーズを重ねた後、FLカーワンが抜け出して、最後はFL松橋がトライし、7-25.さらに、35分もボールを我慢強く継続して、最後はWTB栗原由太が左サイドに押さえて12-25と追い上げる。

トライを挙げたFL松橋

ただ、横浜キヤノンイーグルスは37分、スクラムからNO8マフィがボールを持ちだして相手を引きつけてオフロードパス、最後は途中出場のSH天野寿紀が飛び込みトライ。そのままノーサイドを迎えた。

『赤』の横浜キヤノンイーグルスが、30-12で、『黒』のブラックラムズ東京を下し、POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはゲインを繰り返したNO8マフィが選出された。

横浜キヤノンイーグルスはボールポゼッションでは46%と相手よりも低く、アクションエリアも自陣22m内から相手陣22m内での時間帯が多かったが、それでも快勝できたのは、SO田村のキックを中心に得点機にしっかり得点を挙げたこと、さらにディフェンスでも相手を2トライに押さえたことが大きかったと言えよう。

順位は5位と変わらなかったが、勝ち点を22と伸ばし、上位を追う横浜キヤノンイーグルスの沢木啓介監督は「良いプレーもあり、また課題が明確になった、そういうゲームだった。その課題をチーム全員でしっかり改善して、良い方向にチームの流れを持っていけるように準備していきたい」とさほど喜ぶことなく、次を見据えた。

ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1

【第7節ハイライト】ブラックラムズ東京 vs. 横浜キヤノンイーグルス

キャプテンのSO田村は「積極的にプレーしてうまく流れをつかめた。これから成長できる。また良いレッスンになった」と試合を振り返った。

POMに輝いたNO8マフィは、「いいアタックのスタートをしようと話をしていて、それがしっかりできた。2週間ほどフラストレーションの溜まる試合をしてしまったが、(今日の勝利は)いいスタートを切るために選手全員でがんばった結果だと思います」と胸を張った。

先手を取られてしまったブラックラムズ東京

ブラックラムズ東京は2月5日から3週間実戦から遠ざかっていた影響は否めなかったようだ。ピーター・ヒューワットHC(ヘッドコーチ)は「すごく残念な結果になりました。最初の10分、15分はやはり強度というものがなかった。フラストレーションが溜まる結果となってしまいました。後半はチームができることを見せられたと思います」と悔しさをにじませつつも前を向いた。

副将のFL松橋も、「最初の20分キヤノンさんにやりたいようにやられてしまった。僕自身もフィジカルに行けなかったことをすごく悔しい」と振り返ったが、「後半に入ってから、自分たちのやりたいプレーというのはできていたんですけど、試合は続くので、チームとして改善してやっていきたいと思います」と語った。

ブラックラムズ東京SOルーカス

また、攻守で気を吐いたFLカーワンは、「チームにはすごく才能のある選手がたくさんいて、特に日本人の選手はアタックの直感のようなものを持っていて、日本だけではなく世界的にも通用すると思うし、これからはディフェンスでもいいパフォーマンスをできるようにしていく必要がある」と若いBK陣のさらなる成長に期待を寄せた。

連勝で5位をキープした横浜キヤノンイーグルスは、次節3月5日(土)東京・秩父宮ラグビー場で6位の東京ブレイブルーパス東京と対戦する。

善戦するものの5連敗(2勝)と黒星先行のブラックラムズ東京は、3月6日(日)で東京・秩父宮ラグビー場で9位のNECグリーンロケッツ東葛を迎える。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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