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【ハイライト動画あり】クボタスピアーズ船橋・東京ベイがトヨタヴェルブリッツとの重量級対決制し首位に浮上。リーグワン第7節レビュー。
ラグビーレポート by 直江 光信根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
昨シーズンのトップリーグはラストプレーで逆転を許し1点差の惜敗。約11か月後の再戦となった今回の対戦では、41-20と大きくスコアを広げて見事に雪辱を果たした。5トライを挙げる会心の勝利の随所に、クボタスピアーズ船橋・東京ベイの充実ぶりは浮かび上がった。
リーグ屈指の重量FWを擁する両者の激突らしく、開始直後から迫力満点の激しいフィジカルバトルが繰り広げられたこのゲーム。展開が大きく動いたのは、それぞれ1本ずつPGを決め3-3で迎えた前半19分だった。スピアーズはこれがリーグワン初出場のWTB根塚洸雅の鋭いランなどでゲインを重ねると、ラックサイドに走り込んだNO8ファウルア・マキシが相手防御を突き抜けてトライラインを超える。
さらにスピアーズはたたみかけ、中盤のターンオーバーからの切り返しでSOバーナード・フォーリーが右大外のスペースへ浮かすようにカットパス。これをWTB金秀隆が外に開きながら受けて抜け出すと、3人のディフェンダーを引きつけて内をサポートするSH谷口和洋にラストパスを通し、連続トライを奪う。コンバージョンも決まって17-3とリードを拡大した。
その後も相手ボールのスクラムをターンオーバーするなどスピアーズが優勢に試合を進めたが、トヨタヴェルブリッツもタックルシチュエーションで厳しく体を当ててプレッシャーをかけ、徐々にリズムをつかみ始める。そして33分、敵陣ゴール前のマイボールラインアウトでモールを形成すると、SH福田健太が好判断でサイドを突破しトライ。SOライオネル・クロニエがゴールを追加して、7点差に詰め寄った。
前半終了間際には反則の繰り返しでスピアーズのCTB立川理道がシンビンに。ひとり多い状況でゴール正面でのペナルティを獲得したヴェルブリッツは、PGではなくトライを狙ってスクラムを選択する。しかしこのスクラムで逆にコラプシングを取られ、惜しくもスコアはならず。17-10とスピアーズが先行してハーフタイムを迎えた。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第7節ハイライト】クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs. トヨタヴェルブリッツ
拮抗した展開は後半も続く。砂袋を打ち込むような重量感あるコンタクトにたびたびスタンドがどよめく中、14人のスピアーズが46分にPGで先に加点。しかしヴェルブリッツも50分にSOクロニエが自陣ゴール前でのインターセプトから約90メートルを切り返し、17-20と3点差に迫る。
行ったり来たりする流れが大きく傾いたのは、勝負どころのラスト20分だった。力強くたぐり寄せたのはスピアーズだ。60分、FWが密集で圧力をかけてペナルティを得ると、ゴール前のラインアウトからモールを押し切ってHOマルコム・マークスが左中間にグラウンディングする。
ヴェルブリッツもその直後にSOクロニエが正面40メートルのPGを成功し、ふたたびワンチャンスで逆転圏内の点差に戻したが、スピアーズは66分、この日再三ビッグランを見せるWTB根塚がSOフォーリーの左ライン際へのキックに反応しチャンスメーク。内でリターンパスを受けたFLピーター・ラピース・ラブスカフニが抜け出し、14点差に突き放す。
このトライで大きく勝利に近づいたスピアーズは、自陣ゴール前まで攻め入られるピンチを切り抜けた後の76分にも、中盤のペナルティ奪取からSOフォーリーのロングキックで一気に敵陣ゴール前へ前進。ラインアウトモールでHOマークスが押さえる得意の形で、とどめのトライを挙げる。これで3トライ差以上のボーナスポイントも加えて、大きな勝点5を手にした。
ホストスタジアムの江戸川陸上競技場で6勝目を挙げたスピアーズは、この勝利で勝点を30に伸ばしポイントテーブルの首位に浮上。初のトップリーグ4強入りと躍進を遂げた昨季からさらにスケールアップし、堂々たる優勝候補の一角であることを印象づけた。一方のヴェルブリッツはこれでシーズン2敗目。勝点23で3位は変わらなかったが、残り20分まではどちらに転んでも不思議ではない展開だっただけに、攻め込んだ場面でのイージーエラーが悔やまれた。
プレーヤーオブザマッチの根塚
プレーヤーオブザマッチは攻守に文句なしのパフォーマンスを見せたスピアーズWTB根塚。開幕直前のケガで序盤戦は出遅れたものの、存分に持ち味を発揮して鮮烈なデビューを飾った。躍動感に満ちた走りは、右肩上がりに進歩を続けるチームをさらに加速させる武器になりそうだ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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