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【ハイライト動画あり】シャトルズがラストプレーの逆転トライでブルーシャークスを破り全勝維持。リーグワンDiv.3 第5節レビュー。
ラグビーレポート by 直江 光信逆転サヨナラトライを挙げた齊藤大朗
カテゴリーは3番目でも、目の前の闘争にかけるハートはトップディビジョンにもなんら引けはとらない。一発のタックル、ひとつのボールキャリーに、選手一人ひとりの熱がほとばしる。2月20日、愛知県はパロマ瑞穂ラグビー場。ディビジョン3の豊田自動織機シャトルズ愛知と清水建設江東ブルーシャークスの一戦は、まさにそうしたリーグワンの醍醐味を実感するゲームとなった。
試合に火をつけたのは白いジャージーのブルーシャークスだ。立ち上がりから満点の気迫で鋭いアタックを繰り出し、ホストチームのシャトルズをあおる。テンポよくボールを左右に動かし続けてゲインを重ね、開始早々にゴールライン近くまで攻め入った。
もちろんシャトルズも簡単には流れを渡さない。粘り強くカバーディフェンスに戻ってこのピンチをしのぐと、すかさず反撃に転じる。7分、中盤のスクラムを起点に順目を攻め、絶好調のルーキーWTB齊藤大朗が左大外を抜けて防御裏へチップキック。こぼれ球を拾ったSH藤原恵太が左中間に飛び込んだシーンは、直前のノックオンでトライにならなかったが、狙い通りにスペースを作り出して仕留めかけた一連のアタックで、芝の上の空気は一気に引き締まった。
その後も拮抗した展開は続く。188cm、105kgの巨体に卓越したスキルを備えるフィジー代表、CTBジョシュ・マタヴェシを軸にした多彩な攻撃でシャトルズが攻め立てれば、ブルーシャークスは全員一丸のひたむきな防御で対抗。たびたび自陣ゴール前まで攻め込まれながらも厳しく体を当てて相手のエラーを誘い、わずかな隙間に体をねじ込んで最後の一線を死守する。
前半、0-0。
激しく攻防が動く試合で初めてスコアが動いたのは、51分だった。ブルーシャークスが長い連続攻撃からのBK展開で前進し、WTB野田涼太が右大外を抜け出してゴールラインに迫るも、シャトルズはCTB石田圭祐とWTB齊藤が懸命のカバー防御でつかまえてトライを阻止。さらにライン際に弾むボールをCTBジョシュア・ケレビがすくい上げて切り返し、約90mを独走してインゴールへ駆け抜ける。ゴールも決まってシャトルズが7-0と先行した。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン3
【第5節ハイライト】 豊田自動織機シャトルズ愛知 vs. 清水建設江東ブルーシャークス
シャトルズは17分にもFBルテル・ラウララが左中間約25mのPGを決め、10-0とリードを拡大。しかしブルーシャークスもここで気持ちを切らさず、献身的なタックルでその後の劣勢の時間帯をしのぐ。そして67分、ターンオーバーから途中出場のSH原田健司がスピードを生かして防御のギャップをブレイク。最後はタックルを受けながら内へつなぎ、フォローしたSOオルビン・レジャーがゴールラインを越えた。FBコンラッド・バンワイクのコンバージョンも決まり、3点差に詰め寄る。
ラスト10分はまさに死闘だった。ホストのシャトルズがグラウンドいっぱいにボールを動かして攻めたてるも、ビジターのブルーシャークスは渾身のタックルとカバーディフェンスで懸命に抗う。そして77分、ブルーシャークスは敵陣10m線付近のスクラムから右サイドをサインプレーで攻め、パスダミーで突破したFBバンワイクが右コーナーにトライ。12-10と逆転してほぼ勝利を手中に収めたかと思われた。
しかし試合はこれで終わらなかった。シャトルズは続くキックオフを浅く蹴り込んで圧力をかけ、ノックオンを誘発して敵陣でのマイボールスクラムを獲得。残り時間がなくなったことを伝えるホーンが鳴り響く中、辛抱強く攻撃を継続してじわじわと前進すると、SO清水晶大のカットパスを受けたWTB齊藤が左ライン際を鋭く抜け出す。最後はFBバンワイクのタックルを受けながらも左スミに押さえて、劇的な逆転サヨナラトライを挙げた。
ホストスタジアムで勢いに乗る勝利を手にしたシャトルズは、これで無傷の5連勝(不戦勝2を含む)。勝点を23に伸ばし、ホスト&ビジターの2回戦で行われるリーグ戦の1巡目を首位で折り返した。一方のブルーシャークスは第2節九州電力キューデンヴォルテクス戦以来となる2敗目を喫し、3勝2敗の勝点15で2位(不戦勝1を含む)。直接対決でシャトルズとの差を縮める絶好のチャンスだっただけに惜しまれる敗戦ではあったが、選手たちは悔しさの中にもたしかな手応えを感じたはずだ。今度はホストチームとして迎える4月9日の最終節での再戦が楽しみになるゲームだった。
開幕節の全3試合が中止になるなど激動の幕開けとなったディビジョン3だが、その後の中止は1試合だけで、実施された11試合のうち6試合が7点差位内の決着と、拮抗した戦いが続いている。どのチームも毎節気迫のこもったパフォーマンスを見せており、最後までどちらに転ぶかわからない激闘は見応え十分だ。ぜひ今後の熱戦にも注目してほしい。
2/21現在のディビジョン3順位表
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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