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互いに接点は最後まで激しかった
「ジャパンラグビー リーグワン」のディビジョン1、先週の「BYE WEEK」(休みの週)が明けて、2月19・20日の第6節は、A・Bカンファレンスの交流戦が開催された。
コロナ禍の影響で4試合が中止となる中、3連勝で5位(勝ち点14)まで上がってきた埼玉パナソニックワイルドナイツは、ホストの埼玉・熊谷ラグビー場に、勝ち点で1つ上の4位につけている東芝ブレイブルーパス東京を迎えた。
埼玉ワイルドナイツは前節からFW(フォワード)1人、BK(バックス)1人の2名を入れ替えた。FWは元イングランド代表LO(ロック)ジョージ・クルーズが復帰、キャプテンのHO(フッカー)坂手淳史、PR(プロップ)稲垣啓太、前節MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いたFL(フランカー)ベン・ガンターら日本代表が並ぶ。
互いの気迫があふれる肉弾戦
BKはCTB(センター)の元ウェールズ代表ハドレー・パークスがベンチから先発に復帰し、日本代表SO(スタンドオフ)松田力也、WTB(ウィング)に、オーストラリア代表マリカ・コロインベテと昨季の新人賞の竹山晃暉など、ほぼベストメンバーで臨んだ。
一方のビジターの東芝ブレイブルーパス東京は、静岡ブルーレヴズ戦からFWを2人、BKは1人と3人を交替し、ポジション変更が1人となった。
共同キャプテンSH(スクラムハーフ)小川高廣、日本代表FL徳永祥尭を筆頭に、昨年日本代表デビューした19歳のルーキー、LOワーナー・ディアンズ、ニュージーランド代表経験のあるFLマット・トッド、元ニュージーランド代表CTBセタ・タマニバル、WTBジョネ・ナイカブラら実力者が顔を揃えた。
「私がクルセイダーズのヘッドコーチの時には彼はキャプテンをし、ともにコーチングしたときもありました」という埼玉ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督と、東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダーHC(ヘッドコーチ)、オールブラックス経験のある師弟対決も注目された一戦となった。
PGを決めるBL東京の共同主将SH小川
3連勝の堅守速攻が武器の埼玉パナソニックと、今季アタックが好調の東芝ブレイブルーパス東京の一戦は3284人の観客が見守る中、試合は午後5:00にキックオフされた。
「自分たちのラグビーをしっかりやろうと臨んだ」という東芝ブレイブルーパス東京のSH小川主将の言葉通り、先手を取ったのはビジターチームだった。自陣からでもボールを継続してアタックを仕掛けた。
先制トライを挙げたLOピアス。左はLOディアンズ
そして前半6分、ハーフウェイライン付近からのスクラムからCTBタマニバルがゲインしてゴール前に迫り、最後はLOジェイコブ・ピアスが押さえてトライ。SH小川のゴールも決まって7点を先制する。
カウンターからトライを挙げたWTB竹山
14分、東芝ブレイブルーパス東京がPG(ペナルティゴール)をH小川が決めて10-0とリードを広げる。だが、ホストの埼玉ワイルドナイツも接点で反則を得た後、敵陣でのプレータイムを増やしていき、17分、キックカウンターからWTB竹山が相手ディフェンスの隙を突いてトライを挙げて5-10とした。
接点で互角のファイトをしていた東芝ブレイブルーパス東京は、28分に再びPGを沈めると、5-13と再び8点差に広げる。埼玉ワイルドナイツも反撃し、34分にSO松田がPGを沈めた後、相手陣奥深くでボールを継続し38分、SO松田が中央からDG(ドロップゴール)を成功させて、11-13と2点差に追い上げてハーフタイムを迎えた。
空中で競り合う両チーム
後半、先に得点を挙げたのはホストの埼玉ワイルドナイツだった。後半6分、相手ゴール前に攻め込み、相手のキックを取った後に左に大きく展開し、最後はWTBコロインベテが中央に押さえて18-13と、この試合、初めてリードした。
たが、東芝ブレイブルーパス東京もモールでプレッシャーを掛けて、相手の反則を誘い、ゴール前でスクラムを選択。そのスクラムから新人のFB松永拓朗が右中間にトライを挙げて18-18の同点に追いつく。
後半から出場しチームに勢いを与えたHO堀江
その後は一進一退の攻防が続くが、HO堀江翔太ら控え選手がチームに勢いを与えた埼玉ワイルドナイのペースとなっていく。29分、相手ゴール前で我慢強く14次までアタックを続けて、最後はSO松田のロングパスを受けたCTBライリーがトライを挙げて25-18とした。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第6節ハイライト】埼玉ワイルドナイツ vs. 東芝ブレイブルーパス東京
さらに直後の31分、SO松田のハイパントキックをCTBライリーが競り、こぼれ球をWTBコロインベテが拾って50mを走りきって左隅にトライ。30-18とリードを広げた。互いに勝ち点1を得るために攻撃を続けたが、試合はそのまま30-18でノーサイド。埼玉パナソニックが4連勝を達成し、4位に順位を上げた。
ダメ押しの2トライ目を上げたコロインベテ
MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)にはセットプレー、特にラインアウトで存在感を見せた埼玉パナソニックのLOジャック・コーネルセンが選出された。
ボールポゼッションのデータ
ボールポゼッションは埼玉パナソニックの52%とほぼ互角だったが、埼玉パナソニックは相手陣22m内で29.8%もプレーしており、ゴールラインに近いエリアで相手にプレッシャーを与え続けていたことが勝利につながったと言えよう。
一方の東芝ブレイルブーパス東京は積極的に自陣からでもアタックを仕掛けていたが、自陣22m内からハーフウェイラインでのプレータイムが24.9%と最も多く、埼玉パナソニックのディフェンスの前に相手陣でプレーする時間が多くなかったことが敗因の1つとなった。
4連勝で勝ち点を18に伸ばし4位となった埼玉ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督は「トップ4をかけたタフな試合でした。このような試合を勝利できて、監督冥利につきます。コロナの影響もあり、今シーズンは1試合1試合が大事になってくる。その中で選手がハードワークを続け勝利につなげてくれました」と勝利を喜んだ。
キャプテンHO坂手は「これからはじまる6試合の交流戦の中で、今日の試合は大事な試合の1つだと思っていました。ディテールを大事にしながら試合を進めることができた」と振り返った。
一方、3勝3敗となり6位に後退した東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダーHCは「試合中のモーメントでどちらに転がるがわからなかった。こういった瞬間をものにするには経験値がものをいう。プレッシャーもありましたが、アタックもディフェンスも素晴らしかった」。
日本代表FLリーチは後半から出場
「相手との差がなくなってきていること、成長できていること、そしていいラグビーができている。細かな部分、今日の試合でうまく行かなかったところを修正していきたい」と敗戦も前向きに捉えていた。
SH小川キャプテンも「終始ワイルドナイツのブレイクダウンでのディフェンスが厳しく、なかなか勢いが出せなかった部分もありましたが、準備してきたところでトライを取ることができたのはよかった。来週にむけていい準備をしていきたい」と話した。
埼玉ワイルドナイツは次節、2月26日(土)にホストの埼玉県・熊谷ラグビー場で、昨季のトップリーグ決勝の相手で、現在、6連勝(勝ち点28)と無敗でリーグワン首位に立つ東京サントリーサンゴリアスを迎え撃つ。優勝を占い大一番となろう。
東芝ブレイブルーパス東京は、同日、東京・江東区夢の島競技場で11位のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安と対戦する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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