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ラグビー コラム 2022年2月7日

【ハイライト動画あり】クボタスピアーズ船橋・東京ベイが4勝目!横浜キヤノンイーグルスに地力で勝る

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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横浜キヤノンイーグルス vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

3勝1敗同士の好カードは、混戦模様の前半から一転、後半に差が広がった。

ジャパンラグビーリーグワン「ディヴィジョン1」の第5節カンファレンスA。

3位の横浜キヤノンイーグルスが2月6日(日)、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場に2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイを迎えた一戦。

リーグ屈指の攻撃力を誇るイーグルスだが、鮮やかな先制点はビジターのスピアーズだった。

まずはキックオフを絶妙な位置に落としてボールを保持すると、敵陣で連続攻撃を開始。右隅のラックでWTB金秀隆、突破後の中央でPR松波昭哉がそれぞれ一人でプロテクトして高速展開。

余った人数で数的優位を生み出し、第2節以来の出場となった日本代表の新キャプテン、ピーター・ラピース・ラブスカフニが左隅に電撃的なノーホイッスルトライ。2週間ぶりの実戦となった相手の出鼻を挫いた。

しかし5点を追いかけるイーグルスも、第2節ではハットトリックもあったCTB梶村祐介のショートキック&再獲得から敵陣へ。前半10分に意表を突いた高速のモール形成で初速を生み出し、そのままインゴールへ走って会心のトライ。FWが雄叫びを上げた。

1トライずつを取り合う展開となり、試合のムードは「実力伯仲」。しかしこの日のイーグルスは規律に課題を抱えた。

スピアーズのFLラブスカフニらのジャッカルもあり、イーグルスは1試合で15回のペナルティ(スピアーズは9回)。前半だけでスピアーズは実に5回のPG(ペナルティゴール)機会を手にした。

スピアーズは前半13、16分に2本連続のPG成功で11-7と逆転。イーグルスは前半24分にWTB起用のジェシー・クリエルが混戦模様を切り裂き、ゴール成功で14-11と再逆転。

スピアーズのSOバーナード・フォーリーは2回(前半28、33分)のPGチャンスを外してしまうが、相手のさらなる反則に助けられた。イーグルスは自陣でペナルティ(オフサイド)を犯し、SOフォーリーがPG成功。前半35分で14-14に追いついた。

ただ序盤にFW一丸のモールトライを奪ったイーグルスは、この日はモールDFでも奮闘していた。

スピアーズの武器である高精度のラインアウト、堅固なモールを受け止めて、単騎になった南アフリカ代表HOマルコム・マークスに立命館大卒のHO高島忍が絡んでジャッカルに成功。失点を防いだ。

ここからイーグルスは得意のクイックスタートでモメンタムを生み出そうとするが、NO8アマナキ・レレイ・マフィのキックが半端なエリア中盤に落ち、ここからスピアーズがカウンター攻撃。

SH谷口和洋がショートサイドを攻め、前半39分、日本代表スコッドのFBゲラード・ファンデンヒーファーと2人でパス交換をしてトライを取り切った。

イーグルスの反撃ムードから一転、7点を失い、スピアーズがリードして後半へ向かった。

7点を追いかけるイーグルスは後半早々に返しておきたかったが、ここでラインアウトからの一次攻撃で南アフリカ代表の世界的フッカー、マークスが十八番のジャッカル。相手の1フェーズ目、3人掛かりのクリーンアウトに微動しない姿はまさに世界最高峰だった。

この辺りからスピアーズの堅守がより目立ち、イーグルスは後退しながらのアタック、相手の出足によりパスミスが起きる。キックに活路を見出すが、そこはスピアーズも警戒していた。

「キヤノンさんは田村優を中心としたキックが多かったので、そこからの切り替えをどうチャンスにするかをチームとして一週間備えて練習してきました。そこからの攻撃は非常に良かったです」(スピアーズ、田邉淳アシスタントコーチ)

後半6分にはSO田村優キャプテンのグラバーキックを読んでいた世界的司令塔、オーストラリア代表71キャップのSOフォーリーが素早く反応して確保。パスを受けたCTB立川理道キャプテンが新ルール「50:22」の好キックで敵陣へ。

スピアーズの田邉アシスタントコーチが「相手のショートキックから自分たちの形に持っていけば自分たちの試合になると考えた」と試合後に明かしたように、狙い通りの展開で敵陣へ侵入。

ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1

【第5節ハイライト】横浜キヤノンイーグルス vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

そして、ここから2021年日本代表スコッドで、この日チーム最多14キャリー、ディフェンス突破6回と大車輪だったNO8ファウルア・マキシが力強くゲイン。最後はHOマークスがラック脇を仕留め、28-14とダブルスコアとした。

SOフォーリーの読みは冴え、さらにイーグルス主将のSO田村のクロスキックを捕球し、ブレイクダウンワークも見事なWTB金秀隆のトライをアシスト。2分後には相手を引きつける絶妙なパスでSH谷口のトライの起点になった。

イーグルスは後半19分にSO田村主将がスピアタックルでシンビン(10分間の一時退場)となり、大黒柱を失っていよいよ劣勢に。14分間の間にさらに1トライ、後半35分にも東海大出身のWTB近藤英人がチーム7トライ目をスコア。

イーグルスは試合終了間際にWTBクリエルがターンオーバーから左隅でボールをもらうと、キックの再獲得でインゴールへ。個人技でなんとか1トライを返したが、結果は後半に突き放したスピアーズが50-21で快勝。4勝目の勝ち鬨を上げた。

プレイヤー・オブ・ザ・マッチはトライアシストからスコア、キックゲームまでスキルの冴え渡ったスピアーズのSOフォーリーが受賞した。

試合後のオンライン会見に登場した田邉淳アシスタントコーチは「前半非常に接戦になりましたが、後半ベンチから出た選手も含めて良い形で終われました。天候もよくて展開ラグビーにはもってこいの環境でした」と快勝を喜んだ。

一方、敗戦したイーグルスの沢木敬介監督は「自分たちの中でレベルの低い試合をしてしまった。ファンの方に申し訳ないです。次にどう振る舞うか、チームとしてテストしたいです」

「自分たちがやることをやりきる強さ、一貫性をしっかり持たないと自分たちの強みが出ません。負けたのは僕の責任です。ただゲームプランを含めてグラウンドで発揮する勇気を持たせることが大事だと思っています」と決意を語った。

SO田村キャプテンは「前半の入りからすぐトライを取られ、そこからずるずると修正もできないまま相手の思い通りにしてしまった。僕を含めて個人個人に責任があります。修正するしかないです」

「僕たちはベストゲームを繰り返さないと勝つ力はないです。自分たちの力に自信はありますし、悲観もしていませんが、毎試合ベストなパフォーマンスを出せるようにみんなで準備することが大事です」と力強く話した。

3勝2敗(6位)となったイーグルスは次戦、BYEウィーク(休みの週)を挟んで2月19日(土)、元ヤマハ発動機、1勝4敗のプロラグビーチーム「静岡ブルーレヴズ」と敵地ヤマハスタジアム(静岡)で対戦する。

4勝1敗(2位)となったスピアーズの次戦も2月19日。相手は「名勝負メイカー」、粘り強い2勝3敗のブラックラムズ東京と敵地で激突する。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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