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【ハイライト動画あり】ヴェルブリッツがブラックラムズとの熱闘制し今季最初のホストゲームを白星で飾る。リーグワン第5節レビュー。
ラグビーレポート by 直江 光信トヨタヴェルブリッツ vs. ブラックラムズ東京
第4節終了時点で4位のトヨタヴェルブリッツが、5位リコーブラックラムズ東京をホストスタジアムのパロマ瑞穂ラグビー場に迎えたこの試合。上位進出に向けどちらにとっても重要な意味を持つ一戦は、予想通り最後まで勝敗の行方が見えない激闘となった。
キックオフからしばらくはヴェルブリッツのペースで進んだ。互いにこだわりを持つコクタクト局面のバトルで優位に立ち、SOティアーン・ファルコン、FBウィリー・ルルーが長く精度の高いキックを蹴り分けて効率よく陣地を獲得。開始2分、NO8姫野和樹のジャッカルからファルコンのPGで先制すると、12分にはファルコンが追い風を利して自陣から約60メートルの超ロングPGを決め、6-0と先行する。
その後2本続けてPGを外したものの、25分に相手の反則から敵陣ゴール前でマイボールラインアウトの機会を得ると、FWが近場を削ってじわじわと前進。右サイドに振り戻して鋭く縦に切れ込んだCTBマレ・サウがゴールラインを超える。コンバージョン成功でヴェルブリッツのリードは13点に広がった。
しかしブラックラムズもここから攻勢に転じ、35分にキックレシーブから左サイドを切り返して一気に敵陣22メートル線内へ入る。そのままリズムよくたたみかけ、SOアイザック・ルーカスがタックラーをかわして左中間にフィニッシュ。FBマット・マッガーンのゴール成功で7-13とした。
詰め寄られたヴェルブリッツは続くキックオフから接点で圧力をかけ、相手の反則に乗じて敵陣でのマイボールラインアウトを獲得。前半のラストプレーでCTBチャーリー・ローレンスのキックパスからWTBウィリアム・トゥポウが左コーナーに飛び込んだが、これはトゥポウがタッチラインを踏んでいたためトライはならず。それでも正面のPGをファルコンが決め、16-7とリードを9点に広げて前半を折り返した。
サイドが入れ替わった後半は、風上に立ったブラックラムズがいい形を作るシーンが増える。開始早々にマッガーンのビッグゲインで敵陣22メートル線内に攻め入ると、ラインアウトからFWが粘り強く近場を攻めて前進。最後はショートサイドへの左展開でCTBメイン平がミスマッチを突いてインゴールに飛び込み、16-12と4点差に詰め寄った。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第5節ハイライト】トヨタヴェルブリッツ vs. ブラックラムズ東京
しかしその後相手のシンビンで数的優位の時間帯に巡ってきた好機を仕留め切れず、あと一歩で攻めあぐねる場面が続くと、危機をしのぎ切ったヴェルブリッツにチャンスが訪れる。63分過ぎ、中盤のペナルティから速攻を仕掛けて大きく攻め込んだ場面はつなぎのミスで取り切れなかったが、直後のスクラムで交替出場のSH茂野海人がこぼれ球を拾って外に展開。球を受けたCTBローレンスが鋭いステップでギャップを切り裂き、左中間に飛び込んだ。ゴール成功で23-12に。
ブラックラムズもここで集中力を発揮し、ひたむきなディフェンスでペナルティを獲得すると、長いタッチキックで一気にゴール前へ。ラインアウトモールは押し切れなかったが、セカンドオプションのBKのサインプレーでWTB栗原由太がタックラーを引きずりながら右中間にグラウンディング。マッガーンのコンバージョンも加わり、ふたたびワンチャンスで逆転できるスコアに迫った。
ラスト10分はまさに総力戦となった。ヴェルブリッツのFL古川聖人がブレイクダウンにしぶとく腕を差し込んでジャッカルを決めれば、ブラックラムズも懸命に攻めの姿勢を維持してあわやという場面を作る。息を止めて見入ってしまうような拮抗した展開が繰り広げられる中、ヴェルブリッツが厳しくプレッシャーをかけてリードを守り抜き、23-19でフルタイムを迎えた。
リーグワン最初のホストゲームを白星で飾ったヴェルブリッツは、これで勝点4を積み上げてトップ4の地位を維持した。いい流れの前半から風下に回った後半に蹴り合いで後手に回り、相手の追撃を許した点は反省材料だが、タイトな接戦を勝ち切った経験は、チームをまたひとまわり成長させるだろう。激しいファイトが連続する中、要所のブレイクダウンでたびたび相手ボールを奪取したFL古川(プレーヤーオブザマッチを獲得)、NO8姫野らの球際のたくましさは光った。
惜敗のブラックラムズもあらためて地力を示した。流れが傾きそうな場面で簡単に突き放されず、昨季トップリーグ4強の実力者を相手に最後までもつれる戦いを演じられたのは、チームのスタンダードが上がったことのたしかな証だ。迷いなく自分たちのスタイルを貫く一体感ある戦いぶりに、選手一人ひとりが手応えをつかみつつあることをうかがわせた。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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