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ベン・ガンター(埼玉ワイルドナイツ)
埼玉ワイルドナイツはこの日も強かった。直近 34 試合のビジター戦で1回しか負けていないという抜群の安定感はシャイニングアークス東京ベイ浦安を相手にもいかんなく発揮された。2月5日、秩父宮ラグビー場には寒空の中、4,306人の観衆が集った。午後2時30分、ワイルドナイツSO松田力也のキックオフで試合は始まる。
序盤からワイルドナイツが主導権を握った。前半2分、今季初先発のCTBヴィンス・アソがディフェンスラインを突破し、LOジャック・コーネルセンがトライ。松田のゴールも決まって、7-0とリードする。その直後、FLベン・ガンターがジャッカルで相手の反則を誘うと、PKから松田がアークスのゴールライン手前でタッチラインを割る好キックを披露。ゴール手前5mの地点で得たラインアウトからモールを組んだワイルドナイツは、キャプテンのHO坂手淳史がディフェンスの選手がモールに集中した瞬間を見逃さずにサイドアタックして2つめのトライをあげる。
前半10分、アークスはSOオテレ・ブラックの防御背後へのキックをWTB石井魁がキャッチして前進し、FBイズラエル・フォラウにパスしたが、これがやや後ろになってフォラウがノックオン。トライチャンスを逸した。ここでスコアしていれば流れは少し違ったかもしれない。その5分後、ワイルドナイツは再びゴール前のラインアウトを得ると、今度はモールを押し切って坂手がトライ。松田が3本連続でゴールを決めて、21-0とリードを広げた。
竹山晃暉(埼玉ワイルドナイツ)
その後もワイルドナイツは効率よく得点。前半30分に松田がPGを決め、37分にWTB竹山晃暉がトライし、29-0と大きく差を広げた。「立ち上がりから、すごく良い形でディフェンスができていました。選手同士でコミュニケーションをとって、選手の間の良い距離を保ってプレッシャーをかけることができていました」(坂手淳史キャプテン)。
アークスも攻めるのだが、ここまでの2試合で2トライしかできていないことが示す通り、チャンスでミスが出る。ブレイクダウン(ボール争奪局面)でワイルドナイツが徹底して圧力をかけたことで、ハイテンポの攻撃ができなくなったのも要因だろう。ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督は次のように説明した。「先週の試合(神戸スティーラーズ戦)は、ディフェンスで受け身でした。その戦いをフィードバックし、きょうは自分たちからブレイクダウンに入っていった。それがよい結果につながりました」。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第5節ハイライト】シャイニングアークス東京ベイ浦安 vs. 埼玉ワイルドナイツ
後半10分、ワイルドナイツは、CTBディラン・ライリーからパスを受けた竹山が右タッチライン際を快走してトライし、36-0とし、ほぼ勝利を手中にした。アークスがようやくトライを返したのは、後半32分だった。石井が左タッチライン際を走ってチャンスを作り、最後はFBイズラエル・フォラウがタックラーを3人かわしてゴール右中間に躍り込む。これで43-5としたが、時すでに遅し。さらに1PGを加えたワイルドナイツが最後まで主導権を握ったまま勝利した。
ワイルドナイツは、ニュージーランド屈指のボールハンターであるFLラクラン・ボーシェー、突破力あるCTBヴィンス・アソが初先発を飾ったほか、PR床田裕亮がリーグ戦デビュー。坂手淳史キャプテンもワイルドナイツでの通算50試合を飾るなど、各選手のメモリアルを勝利で飾った。一方、アークスはFL金正奎の公式リーグ戦50試合の節目を勝利で飾ることができなかった。現時点で、チームの完成度に大きな差があったが、ワイルドナイツの坂手キャプテンは「もっと良くなるところがたくさんあります。常に成長していかなくてはいけません」と貪欲だった。アークスのシェーン・ゲイツキャプテンは「もっと強くなって戻ってきます」と前を向いた。ワイルドナイツは次節、ブレイブルーパス東京(2月19日、熊谷ラグビー場)、アークスはレッドハリケーンズ大阪(2月20日、ヤンマースタジアム)と対戦する。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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