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【ハイライト動画あり】ヒートが地元鈴鹿でプライド示す。エナジーみなぎる攻守で2連勝中のレッドドルフィンズに勝利。リーグワンDiv.2第3節レビュー。
ラグビーレポート by 直江 光信三重ホンダヒート vs. 日野レッドドルフィンズ
三重ホンダヒートは前節、花園近鉄ライナーズに10-62の大敗を喫した。熱狂的な応援で知られる花園でのビジターゲームだったとはいえ、持ち味をほとんど発揮できぬままの敗戦に、チームは危機感を募らせていただろう。
今季のディビジョン2はまず6チームによるホスト&ビジターのリーグ戦(2回戦)を行い、その結果をもとにした上位3チームと下位3チームに分かれての総当たり戦で最終順位を決定する。つまり最初のリーグ戦で上位3強に入れなければ、その時点でディビジョン1との入替戦への道は絶たれる。1、2節を連勝中の日野レッドドルフィンズとのこの一戦は、ホストゲームということもあってヒートにとっては絶対に落とせない戦いだった。
海底火山の大規模噴火で甚大な被害を受けたトンガの復興を祈り、同国出身のヒートのNO8ヴィリアミ・アフ・カイポウリ、レッドドルフィンズのCTBトンガモセセとNO8ナシ・マヌがトンガ国旗を持って入場するセレモニーも催されたこの試合。序盤から両者の気迫を感じさせる激しいせめぎ合いが繰り広げられる中、先に流れを引き寄せたのはヒートだった。
開始10分。敵陣22メートル線付近のラインアウトでターンオーバーを許すも、CTBダーウィッド・ケラーマンが鋭い飛び出しでトイメンのTJ・ファイアネのキックをチャージ。そのままこぼれ球をインゴールで押さえ、ヒートが先制点を挙げる。
その後しばらくはレッドドルフィンズの連続攻撃に対しヒートがディフェンスで耐える時間が続いたが、相手の圧力をしのぎ切って迎えた34分、ヒートにチャンスが訪れる。敵陣ゴール前のマイボールラインアウトからFWが近場で真っ向勝負を挑み、最後はNO8カイポウリがタックルをかいくぐって右中間にトライ。SO呉洸太のゴールも決まり、リードを14-0と広げた。
レッドドルフィンズも続くキックオフから相手の反則を誘って敵陣22メートル線内に攻め込むと、じわじわとモールで前進。塊が崩れたところでSH橋本法史がタイミングよくブラインドサイドを駆け抜け、7点を返す。さらに40分にも蹴り合いからのカウンターでWTB吉川遼が抜け出し、SH橋本がふたたびゴールラインを超えたが、これはTMOでその前に危険なタックルがあったという判定でトライにはならず。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン2
【第3節ハイライト】三重ホンダヒート vs. 日野レッドドルフィンズ
逆にこのペナルティでもう一度好機が巡ってきたヒートは、ホーンが鳴った後の42分、ラインアウトモールを起点に力強く攻め立て、最後はFLポール・スクーマンが密集脇をねじ込んでゴールライン上にグラウンディング。貴重な7点を追加し、21-7でハーフタイムを迎えた。
引き締まった攻防は後半に入っても続いた。先に集中力を見せたのは追いかけるレッドドルフィンズだ。44分、FBジャック・デブラシーニの50:22キックで敵陣22メートル線内のマイボールラインアウトを獲得すると、パワフルな縦突進を重ねてインゴールに迫り、PRデイヤン・ファンダーウエストハイゼンが右中間にフィニッシュ。
ヒートも49分に途中出場のSO朴成基が約25メートルのPGを決めて引き離しにかかるが、レッドドルフィンズは55分、ラインアウトモール起点の左展開からCTBトンガが防御のギャップを突き抜けて中央にトライ。ゴールも加えスコアは3点差に縮まった。
しかし残り15分の勝負どころで、地元サポーターの拍手に背を押されたヒートが真価を発揮する。接点でひたむきにプレッシャーをかけ続けて敵陣でゲームを進めると、22メートル線上のスクラムからNO8カイポウリがすぐに右サイドへ持ち出してトライ。29-21とワンチャンスでは追いつかれないところまでリードを広げた。
粘るレッドドルフィンズも勤勉なキックチェイスからチャンスをつかみ、73分にSO北原璃久のPGで逆転圏内に入ったが、その3分後、今度はヒートが渾身の連続攻撃で相手の反則を誘い、SO朴のPGで8点差に戻す。残り時間も厳しく体を当て続けたホストチームのヒートが、32-24でシーズン2勝目を手にした。
前節の完敗から見事にチームを立て直し、意地とプライドを示して価値ある白星を手にしたヒート。順位争いの上ではもちろん、失いかけた自信を取り戻すという点でも、この一勝の意味は大きいだろう。今季初登場のLOフランコ・モスタートの絶大な存在感もあってFW戦に太い芯が通り、身上のパッションとエナジーがプレーに戻ってきたことは、今後の戦いに向けての貴重な追い風となるはずだ。
一方のレッドドルフィンズも前半の劣勢から後半ジワジワと巻き返し、逆転まであと一歩のところまで追い上げたのは地力の証だ。この日は相手の向かってくる勢いに受けに回り、なかなか戦い方の焦点を絞り切れなかったが、テンポよくたたみかけた時の推進力は脅威を感じさせた。ディビジョン2のこの先の戦いが楽しみになる一戦だった。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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