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福田健太(トヨタヴェルブリッツ)
激しいフィジカルコンタクトが大きな武器の東芝ブレイブルーパス東京だが、代償として反則数が多くなっている。
第1節東京サンゴリアス戦後、共同主将のSH小川高廣が明かしていた。
「春のプレシーズンのゲームでもそこ(反則数)がずっと課題で、ペナルティの数がすごく多く、チームとしても練習から常にペナルティを少なくしようというのがありました」
「皆のメンタル的には激しくいこうという気持ちが結果的にペナルティになってしまった部分がありました」
激しさと規律の両立――難題にチャレンジするブレイブルーパスだが、今季初の実戦ホストゲームではどうだったか。
ジャパンラグビーリーグワンの最高峰「ディビジョン1」第4節カンファレンスB。
2勝1敗で初のホストゲームを迎えたブレイブルーパスは1月29日(土)、同じく2勝1敗のトヨタヴェルブリッツを東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場に迎えた。
まず輝いたのはブレイブルーパスの共同主将、30歳のSH小川だ。
序盤の得点機をハンドリングエラーで逃していたヴェルブリッツに対し、ブレイブルーパスは前半7分、SH小川が相手のムーブを読み切って元明大主将のSH福田健太にタックル。敵陣3度目の落球を誘った。
直後の前半10分、ラインアウトモールから前進したブレイブルーパスはSH小川がラックサイドを急襲。体を反転させる技アリのランで飛び込み、先制トライ。同20分にPG(ペナルティゴール)を加え、10点を先制する展開とした。
ブレイブルーパスは守備も堅調。山梨・日川高出身のHO大内真はこの日FW最多15タックル、バックスではCTB中尾隼太がミスなく14タックルを決めた。
ブレイブルーパスはタックル成功率は脅威の95%にのぼり、ヴェルブリッツのDF突破数はわずか6回(ブレイブルーパスは18回)。しかし、反則数が手痛かった。
実戦初勝利に懸けるヴェルブリッツは、ブレイクダウンで果敢にファイト。南アフリカ代表のFLピーターステフ・デュトイは一撃でダウンさせる好タックルで、味方のジャッカルをたびたび演出。前半13分にはみずからもボールに絡みついた。
一方のブレイブルーパスは攻撃的なマインドが反則に。
前半29分、ラックで不要なノーバインドのオーバーがあり、相手PKから自陣に後退。ここでヴェルブリッツは好調のWTB岡田優輝がカットインからブレイク。ブレイブルーパスは不要な反則からトライを奪われた。
ブレイブルーパスもPG加点で13-7としていた前半34分。
ヴェルブリッツはふたたびWTB岡田がキックオフ直後に好タックル。FLデュトイのラック参加からターンオーバーし、ここからエリア右奥のラインアウトモールでHO加藤竜聖がトライ。1点差(13-14)に詰め寄った。
さらに1PGを追加して4点リード(17-13)で前半を折り返したヴェルブリッツだが、後半はまたもブレイブルーパスに先制を食らう。
後半2分、片側でのアタックを重ねて左サイドに守備を集めたブレイブルーパスは、好守に活躍するCTBセタ・タマニバルが守備の頭を越えるロングパス。
ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス)
21年日本代表のファイター、WTBジョネ・ナイカブラが鋭いランで内に切れ込み、タックルを振りほどいて右中間にトライを決めた。
3分後(後半7分)にヴェルブリッツもPGを追加し、スコアが20-20の振り出しに戻っていた後半11分。
すると、直後にヴェルブリッツでこの日初出場の南アフリカ代表FBウィリー・ルルーが、故意のノックオンで10分間の一時退出。
この日キックも冴えていた第2の司令塔が10分間の不在となったが、途中出場の21年日本代表スコッド、PR淺岡俊亮が入ったスクラムでPKを奪うなど、14人で逆に攻勢。
逆転したいブレイブルーパスだったが加点は1PG(3点)に留まり、逆にヴェルブリッツは2PG(6点)で26-23とリードを広げた。
ここでは、この日プレースキック成功率100%(6本中6本成功)で16得点をたたき出した記録したSOファルコンが存在感。14人だった10分間、PG機を掴んだ後半7、17分の2PGは、どちらも50m級のロングキック。数的不利の10分間で、逆にリードを広げた。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第4節ハイライト】東芝ブレイブルーパス東京 vs. トヨタヴェルブリッツ
数的優位を活かせなかったブレイブルーパスに対して後半24分、この日初先発で、明大主将として大学日本一を経験している25歳が輝いた。
自陣でのターンオーバーからSH福田が乱れた守備網から抜け出して独走。CTBタマニバルが懸命に追いすがり、飛びついて止めたがこれがハイタックルとなり、痛恨のペナルティトライ(7点)。
この反則によりCTBタマニバルがシンビン(10分間の一時退出)となり、ブレイブルーパスは14人で10点差(23-33)を追いかける展開に。
反則により苦境に立ったブレイブルーパスだが、ボール保持率を高めて果敢に攻め続けた。しかし反撃は届かず、33-23でヴェルブリッツが嬉しい実戦初勝利。プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはSH福田が輝いた。
この日のブレイブルーパスのペナルティ数は14(トヨタヴェルブリッツは10)。プレシーズンからの課題克服には至らず。ラインアウトの成功率67%(15本中10本成功)も得点機で響いた。
2勝2敗となったブレイブルーパスは次戦、2月5日(土)に同じ舞台、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で、静岡ブルーレヴズを迎える。
実戦初勝利を挙げたヴェルブリッツは第5節、今季初となる実地でのホスト試合を迎える。
2月5日(土)、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で、東京サンゴリアスと3点差(33-36)の熱戦を演じたブラックラムズ東京と激突する。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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