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レッドハリケーンズ大阪とブレイブルーパス東京、リーグワン初白星をつかむのはどちらか。ジャパンラグビー リーグワン第2節プレビュー。
ラグビーレポート by 直江 光信NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 vs. 東芝ブレイブルーパス東京
開幕戦をはじめ第1節から各ディビジョンで中止が相次ぐなど激動の幕開けとなった国内最高峰リーグ「ジャパンラグビー リーグワン」だが、開催された試合はどれも見応えがあった。気迫みなぎる攻防の随所に選手たちの情熱と決意が立ち上り、試合前から試合後まで、スタジアムの内外に渡って展開されたさまざまな企画や演出には、新リーグの船出にかける各クラブの思いが表れていた。一度観戦すれば、きっと次の試合も来たくなる。そう思わせる魅力が、どのゲームからも確かに感じられた。
そうした中で迎える第2節。1月15日の大阪では、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪がホームのヤンマースタジアム長居で東芝ブレイブルーパス東京と激突する(14時30分キックオフ)。前節レッドハリケーンズはリコーブラックラムズ東京に22-43、ブレイブルーパスは東京サントリーサンゴリアスに46-60で敗れともに黒星スタートとなったが、いずれも多くの見せ場を作るなど、今後への可能性を感じさせる内容だった。シーズン2試合目でどのように課題を修正し、自分たちの持ち味を発揮できるかが注目される一戦だ。
就任2年目のヨハン・アッカーマンヘッドコーチ(HC)が「チャンスを作りながら接点の部分でボールを失い、そこから失点するイージーミスが多かった」と振り返ったように、前節のレッドハリケーンズは相手の激しいファイトにオープンラグビーの生命線であるボールリサイクルを乱され、早いテンポで攻撃を継続できなかったことが敗戦につながった。リズムよく球を動かした時のアタックはトライをイメージさせるキレ味があっただけに、ブレイブルーパスの厳しい圧力の中でいかにブレイクダウンの精度を維持できるかが、今節のポイントになるだろう。初戦を欠場したキャプテンのLOローレンス・エラスマスを筆頭に多くのケガ人を抱え、今季のチームの中心として期待されていたSOエルトン・ヤンチースまでもが前節に肩を痛めて離脱する苦しい状況だが、昨季トップリーグで旋風を巻き起こしたような一体感あるラグビーで、この試練を乗り切ってほしい。
対するブレイブルーパスは同じ東京・府中市に本拠を置くサンゴリアスとのダービーマッチで、両軍合わせて13本のトライが生まれる乱打戦の末に競り負けた。7トライ60点を許した防御とペナルティ数13は大きな反省材料だが、前年度のトップリーグで5-73と大敗を喫した相手から46点を奪ったアタックには今季の成長が表れていた。日本ラグビー期待の19歳、201cmのLOワーナー・ディアンズが先発フル出場を果たし、最年少記録を更新するトライを挙げたのも貴重な収穫だ。かさにかかって攻めた時の破壊力はリーグ有数であり、規律を保ってタイトな試合運びができるようになれば、上位に進出できるポテンシャルは十分ある。
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 スターティングメンバー
キックオフ48時間前に発表された登録メンバーを見ると、レッドハリケーンズはLO陣を入れ替え、前節FLで出場したタイラー・ポールを4番、200cmと高さのあるルアン・フェルマークを5番に起用。両FLには横山大輔と大椙慎也が初戦リザーブから繰り上がった。PR西川和眞、HOフランコ・マレー、PR杉本達郎とNO8ナエアタ ルイは前節に続き先発を務める。
BKでは前節途中出場の井之上明が9番に入り、昨季活躍した川向瑛がヤンチースに代わって司令塔を担う。WTBラリー・スルンガ、CTBパエア ミフィポセチは第1節に続く先発で、13番は小林正旗、14番にはチーム2番目の在籍年数を誇るミスター・レッドハリケーンズ、茂野洸気が名を連ねた。FBはコカ・コーラレッドスパークスから移籍加入した吉澤太一が2戦連続の先発だ。
東芝ブレイブルーパス東京スターティングメンバー
ブレイブルーパスは前節から先発2人を入れ替えた布陣を組んだ。PR藤野佑磨からHO橋本大吾、PR小鍜治悠太、LOワーナー・ディアンズ、LOジェイコブ・ピアスまでは同じ顔ぶれで、6番はリーチ マイケルに代わってシオネ・ラベマイがイン。7番は元オールブラックスのハードワーカー、マット・トッドが引き続き務め、NO8は共同主将の徳永祥尭から非凡な潜在力を秘める山本浩輝にシフトした。BKはSH小川高廣、SOトム・テイラー、WTB松延泰樹、CTB中尾隼太、CTBセタ ・タマニバル、WTBジョネ・ナイカブラ、FB松永拓朗と、前節とまったく同じラインアップとなった。
ちなみに両チームは過去のトップリーグでカップ戦を含めて5度対戦しており、すべてブレイブルーパスが勝利を収めている。トップリーグでの実績も優勝5回のブレイブルーパスが大きく上回っているが、昨季の戦いを振り返れば、開幕3連勝で台風の目となったレッドハリケーンズに対し、ブレイブルーパスはパフォーマンスの波が大きく、プレーオフトーナメント初戦敗退という不本意なシーズンに終わった。
アッカーマンHCの就任で躍進を遂げたレッドハリケーンズは2戦連続のホストゲームであり、なんとしてもホームのサポーターの前でリーグワン初勝利を手にしたいところだろう。ブレイブルーパスにとっても、上位進出のためには絶対に落とせない試合だ。熱のこもった激闘になることを期待したい。
文:直江 光信
直江 光信
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長。
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