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ラグビー コラム 2022年1月11日

【ハイライト動画あり】日本ラグビー新時代の幕開けを飾る激戦!リーグ開幕試合「神戸S×SA浦安」。NTTリーグワン2022

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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コベルコ神戸スティーラーズ vs. シャイニングアークス東京ベイ浦安

記念すべきリーグ初戦は、1本のコンバージョンキックが勝敗を分けた。

2022年1月8日(土)、兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場は、ホストチームであるコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)のチームカラー「赤」に染まっていた。

スタジアム外ではチームグッズ販売をする赤いテントに長蛇の列。神戸グルメを楽しめる「神戸マルシェコーナー」やラグビー体験コーナーは盛況だった。

この日神戸Sは来場者全員に「開幕戦記念Tシャツ」をプレゼント。多くのファンが防寒具の上から赤い記念Tシャツを着ていたため、会場内の観客席は赤く染まった。

試合開始10分前にはサプライズもあり、大型ビジョンに地元・神戸市出身の有名アスリートが登場。

東京オリンピック2020で史上初の兄妹同日金メダルに輝いた柔道の阿部一二三、妹・阿部詩が映り、「NTTリーグワン2022開幕おめでとうございます」と挨拶してファンを驚かせた。

阿部兄妹は「コベルコ神戸スティーラーズが栄光を掴み取れるよう応援しています」「頑張れ!コベルコ神戸スティーラーズ!」と地元のラグビーチームに声援を届けた。

リチャード・バックマン

ホストゲームの熱気を後押しにして、神戸Sは前半3分、記念碑となるリーグ最初のトライを決める。

この日献身的に動き続けたLO(ロック)JD・シカリングの突破から敵陣に入ると、SO(スタンドオフ)アーロン・クルーデンが、CTB(センター)リチャード・バックマンの突破を演出。ゴール下に押さえ、CTBバックマンがリーグ最初の得点者となった。

SA浦安も前半12分にキックカウンターからチーム初トライ。

今季新加入の大物3人、SOオテレ・ブラックからFL(フランカー)ジェームス・ムーア、最後は内側をフォローしていたFBイズラエル・フォラウに繋がり、左中間に片手トライ。戦力補強が奏功するトライが生まれ、7-7としてスコアを振り出しに。

この日の神戸Sのスクラム、ラインアウトは、SA浦安のプレッシャーもあって劣勢気味。SA浦安がスクラム、ラインアウトの成功率が100%だったのに対し、神戸Sはラインアウトが13本中11本成功、スクラムは3本中2回の成功でターンオーバーも許した。

前半15分にはWTB(ウイング)アタアタ・モエアキオラがノックオンでトライを防いでしまい、シンビン(10分間の一時退場)に。

ペナルティトライで7点ビハインド(7-14)を背負うが、14人だったその後の10分間は無失点。FL橋本皓ゲーム主将のジャッカルなど意地の守備を見せた。

しかし神戸Sは敵陣でのラインアウトモールで苦戦し、なかなか得点機を活かせない。

「試合の中でいくつかの大事な瞬間がありましたが、そこで求めている良い結果に繋げられませんでした。それが勝敗に繋がったと思います」(神戸S、デーブ・ディロンHC)

しかし神戸Sは前半39分、ラインアウトからの2次攻撃で切り返し、HO有田隆平のノールック・パスから左展開。左隅で帝京大卒のNO8(ナンバーエイト)ブロディ・マクカランがフィニッシュ。

しかしゴールは不成功で、SA浦安の2点リード(14-12)で後半へ向かった。

後半はお互いの好守備もあって拮抗。神戸Sが2本、SA浦安が1本のPG(ペナルティゴール)を決め、迎えた後半36分だった。

1点(17-18)を追いかけるSA浦安は、敵陣ゴール前でアドバンテージをもらった。

ここで途中出場の鶴田諒がすかさずパスアウト。ボールを受けたSOブラックは、インゴールへキックパス。ハイボール・キャッチの名手であるFBフォラウに合わせた。

「いつもああいったチャンス(アドバンテージからのキック再獲得)は窺っています。オテレ(SOブラック)とはここ数週間、チャンスがあればやろうといった話をしていました」(FBフォラウ)

イズラエル・フォラウ

狙い通りにFBフォラウが捕球し、値千金の勝ち越しトライ。リードを6点(24-18)に広げた。

ホストファンの多い観客席からは、自然と神戸Sを鼓舞する手拍子が。奮起した神戸Sは後半ロスタイム、ホーンが鳴った後に約4分、敵陣に居座りアタックを続けた。

相手ゴールまで5メートル。神戸Sは強力FWが順目に圧力をかけて、途中出場の中島イシレリが突進。LOシカリングのスイープ(クリーンアウト)で空いた順目に、NEC(現東葛)から決意の移籍をしたSH中嶋大希がトライ。

ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1

【第1節ハイライト】コベルコ神戸スティーラーズ vs. シャイニングアークス東京ベイ浦安

俊足アタッキングハーフのトライで、スコアはついに1点差(23-24)に。

運命は左タッチラインから15m、22mライン付近に立った元ニュージーランド代表50キャップの名手、クルーデンに託された。

無人のように静まり返ったスタジアム。放たれたキックは、Hポールを反れた。クルーデンはこの日が33歳の誕生日だったが、チームと自身の記念日を勝利で飾ることはできなかった。

勝利したSA浦安は歓喜。2011年度以来、約10年ぶりのリーグ戦での神戸S戦勝利だった。試合後に2014年から5季ヘッドコーチを務めたロブ・ペニー監督は、快挙について訊ねられ表情を綻ばせた。

「この上ない喜びです。記憶の限りでは神戸さん(コベルコ神戸スティーラーズ)に勝利したことは初めてです。そうしたクオリティの高いチームに勝利でき、嬉しい限りです。我々が勝ったということはリーグワンのディビジョン1が、競争率の高いリーグであることを物語っていると思います」

ホストでの開幕戦を勝利で飾ることができなかった神戸S。ディロンHCは「本当に残念」と吐露した。

「勝つチャンスがありながら勝ちきれなかったことは残念です。試合の中でいくつかの大事な瞬間がありましたが、そこで求めている良い結果に繋げられませんでした。それが勝敗に繋がったと思います」

「ただ選手に対しては誇りに思います。最後、キックが決まれば勝ちか負けか、というところまで持っていってくれました。チームとしての一体感がなかったわけではありません。次に向けてしっかり修正をしていきたいと思います」

神戸Sは次戦、開幕戦白星の横浜キヤノンイーグルスと対戦。舞台は1月15日(土)、2019年W杯日本大会の会場だった神奈川・日産スタジアムだ。

勝利したSA浦安は次戦に「東京ベイ・ダービー」が待つ。リーグ開幕戦のキャンセルで初陣となるクボタスピアーズ船橋・東京ベイと、同じく1月15日、東京・秩父宮ラグビー場で激突する。

SA浦安のペニー監督が試合後、NTTリーグワン2022について力強く語っていた。

「世界中のファンが注目するグローバルな大会になると思います」

開幕試合にふさわしい熱闘で、ついに日本ラグビーの新時代が始まった。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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