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【ハイライト動画あり】ブラックラムズ東京が昨季の雪辱果たし白星発進。レッドハリケーンズ大阪はホーム開幕戦を勝利で飾れず。ジャパンラグビーリーグワン第1節
ラグビーレポート by 直江 光信NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 vs. リコーブラックラムズ東京
号砲の爆発音に続いてホストチームのNTTドコモレッドハリケーンズ大阪のメンバーがピッチに登場すると、会場のヨドコウ桜スタジアムは多くの拍手と高揚感に包まれた。日本ラグビーの新時代の幕開け。生まれ変わった国内最高峰リーグ、「ジャパンラグビー リーグワン」の門出の当事者となった選手たちと、そこに立ち会ったファン、関係者は、新しいことが始まる期待に満ちた空気を確かに実感したはずだ。
ともにチーム一丸のひたむきな戦いぶりで昨季のトップリーグを沸かせた両者の激突となった第1節のこのゲーム。速いテンポでボールを動かすランニングラグビーが持ち味のレッドハリケーンズに対し、激しいフィジカルバトルを身上とするリコーブラックラムズ東京がボール争奪局面でどこまでプレッシャーをかけられるかが焦点と見られた戦いは、予想通り序盤からスピーディーなアタックと気迫みなぎるコンタクトが交錯する白熱した展開となった。
最初にスコアを刻んだのはアウェイのブラックラムズだ。開始5分、キックレシーブのカウンターから敵陣22メートルライン付近まで切り返してペナルティを獲得すると、タッチに蹴り出して敵陣ゴール前へ。マイボールラインアウトでモールを形成し、じわじわとドライブして新キャプテンのHO武井日向が右隅に押さえる。
ホームのレッドハリケーンズもすぐに反撃。10分、リズムよくフェーズを重ねて相手防御を揺さぶり、中央ラックからの左展開で新加入のSOエルトン・ヤンチースが大外へロングパス。球を受けたWTBラリー・スルンガがライン際を駆け抜け、左コーナーに飛び込む。ビデオ判定の結果、グラウンディングは認められなかったものの、ブラックラムズFBマット・マッガーンのノーバインドタックルによりペナルティトライとなり、マッガーンにはイエローカードが提示された。
これで7-5と逆転したレッドハリケーンズは、20分にもチャンスをものにする。相手ゴール前のラインアウトでサインプレーを仕掛け、一気にモールを押し切ってインゴールへ。神戸製鋼から移籍したNO8ナエアタルイの猛烈な推進力を生かす狙い通りのトライで、リードを7点に広げる。
しかしブラックラムズもここからがたくましかった。中盤での相手反則に乗じて敵陣深く攻め入ると、SOアイザック・ルーカスが柔らかいタッチで防御ライン裏のスペースへキック。こぼれ球に反応したWTB栗原由太がインゴールでボールを押さえ、2点差に詰め寄った。
そしてこの直後、痛恨のアクシデントがレッドハリケーンズを襲う。SOヤンチースがタックルした際に肩を負傷し、前半28分でピッチの外へ。多彩なパスワークと高精度のキックで絶大な存在感を示していた司令塔の早すぎる離脱により、チームはゲームプランの変更を余儀なくされた。
それでも懸命のディフェンスで対抗していたレッドハリケーンズだったが、ブラックラムズは36分、ゴール前のラインアウトからFWで近場を崩し、ショートサイドに走り込んだFBマッガーンがタックルを弾いて左中間に飛び込む。これで15-12と逆転。レッドハリケーンズも39分にWTBスルンガのカウンターランからたたみかけ、NO8ナエアタがゴールラインを越えたが、その前の場面でノックオンがあったという判定でノートライに。ブラックラムズの3点リードで、前半の40分を終えた。
後半も立ち上がりからタイトなせめぎ合いが連続する中、ブラックラムズが先にスコアを加える。49分、またもペナルティ→タッチキックの流れで敵陣ゴール前へ前進すると、モールから左オープンに展開。SOルーカスがタックルをかいくぐって外のスペースへ長いパスを通し、WTB栗原がこの日2本目のトライを挙げる。
ラリー・スルンガ
これで勢いに乗ったブラックラムズは、さらに56分FBマッガーン、62分にWTB西川がトライを追加。残り20分を切ったところで36-12と一気に引き離しにかかる。レッドハリケーンズもホームの意地を見せ、直後に連続攻撃からNO8ナエアタが2つ目のトライを奪取。77分にはWTBスルンガがインゴールに飛び込んで14点差に追い上げ、スタンドのサポーターを沸かせた。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 vs. リコーブラックラムズ東京
しかしブラックラムズの集中力は最後まで途切れず、続くマイボールのキックオフでルーズボールを確保すると、途中出場のSH南昂伸がラックサイドを突破。そのままあざやかなランで駆け抜けて勝負を決定づけるトライを挙げる。残り時間もしっかりとゲームを制御し、43-22でフルタイムを迎えた。
マット・マッガーン
ブラックラムズはHO武井主将が「今シーズンの武器にしようとハードに練習してきた」と胸を張るモールを起点に5つのトライを挙げるなど、強みを押し出した試合運びで手応えを感じる白星発進を飾った。昨季のリーグ戦ではラストプレーの逆転トライで悔しい敗戦を喫した相手に雪辱し、敵地で勝ち点5を挙げられたことで、チームは大きく勢いづくだろう。アタック、ディフェンスいずれもアグレッシブにファイトし続ける姿勢は、今シーズンのさらなる躍進を予感させた。
ホーム開幕戦で黒星スタートとなったレッドハリケーンズも、SOヤンチースの早々の負傷退場という不運に見舞われる中、持てる力を出し尽くしてプライドを示した。リズムよくボールが動く躍動感に満ちたアタックはもちろん、スタジアム内外での工夫を凝らした企画と試合中の演出にも、この一戦に向けクラブとして重ねてきた入念な準備のあとは表れていた。大黒柱の司令塔の早期の戦線復帰とともに、そうした努力が実を結び、地域のラグビー熱の高まりにつながることを願いたい。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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