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【ハイライト動画あり】開幕戦の「府中ダービー」は合計106点の乱戦。東京サンゴリアスvs.東芝ブレイブルーパス東京。ジャパンラグビー リーグワン第1節
ラグビーレポート by 斉藤 健仁府中ダービー
トップリーグに変わる、新たな「ジャパンラグビー リーグワン」が1月8日(土)に開幕。東京・味の素スタジアムでは、ディビジョン1のカンファレンスBの試合が行われた。
昨季、最後のトップリーグ準優勝の東京サントリーサンゴリアスと、9位の東芝ブレイブルーパス東京が激突。初戦からともに東京都府中市に練習場を構える「府中ダービー」となり、互いに負けられない、プライドをかけた一戦となった。
1月7日(金)に予定されていたクボタスピアーズ船橋・東京ベイと埼玉パナソニックワイルドナイツの開幕戦が、新型コロナウィルス感染症の影響で中止となったため、試合前にリーグワンの開幕セレモニーとして、玉塚元一理事長より開幕宣言が行われた。
玉塚理事長は「日本ラグビーの新しい歴史が始まります。素晴らしいラグビーを日本中にもっともっと広めていきたいという思いで、新しいリーグを立ち上げた。みなさんと素晴らしいリーグを作っていきたいと思います。世界最高のラグビーリーグを目指します」と力強く語った。
1万0075人のファンが集った行われた試合は、午後3:30、ブレイブルーパス東京ボールでキックオフされた。「アタッキングラグビー」を信条とする東京サンゴリアスは、序盤からテンポ良くボールをつないで敵陣へ切り込んでいく。
前半3分、ラックから右に展開し、新加入のオールブラックスFB(フルバック)ダミアン・マッケンジー、キャプテンの日本代表CTB(センター)中村亮土と繋ぎ、最後は大外にいたWTB(ウイング)尾崎晟也が左サイドを走りきってトライ。ホストの東京サンゴリアスが5点を先制した。
しかし、東芝ブレイブルーパス東京も8分、敵陣からラインアウトからボールをキープし、中央までボールを運び、最後は高卒ルーキーのLO(ロック)ワーナー・ディアンズが初トライ。SO(スタンドオフ)トム・テイラーのゴールも決まり7-5と逆転に成功した。
15分にサンゴリアス東京はFBマッケンジーのPG(ペナルティゴール)で8-7とするが、その直後の17分、ブレイブルーパス東京は、敵陣まで入り、ルーズボールを足にかけて上手く転がしたLOジェイコブ・ピアスが、そのままインゴールで押さえて再び14-8とスコアをひっくり返した。
その後、互いPGを1本ずつ加えた後の26分、敵陣深くに入った東京サンゴリアスはスクラムからフェーズを重ね、右サイドでWTB尾崎が抜け出し、最後はNO8(ナンバーエイト)ショーン・マクマーンがトライ。FBマッケンジーのゴールも入り、東京サンゴリアスが18-17と逆転する。
だが28分、ブレイブルーパス東京は、昨年日本代表に選ばれたWTBジョネ・ナイカブラが、東京サンゴリアスのパスの乱れを拾ってファイブポインターとなる。その後、互いにPGを決め合って、前半はビジターのブレイブルーパス東京が27-24と3点をリードして折り返した。
後半、先手を取ったのは3点を追うホストの東京サンゴリアスだった。4分、ラインアウトから右に展開して、ラックからNO8マクマーンがトライを挙げて逆転。さらに9分、モールから押し込んで、再びNO8マクマーンがハットトリックとなる3本目のトライを挙げ、東京サンゴリアスが36-27とリードを広げた。
粘るブレイブルーパス東京も13分、LOピアスのトライで追い上げた。だが、東京サンゴリアスはFBマッケンジーのロングPGで得点を着実に積み重ねると、23分には自陣でボールを奪い返し、途中出場の昨季のトライ王WTBテビタ・リーが左サイドを駆け上がり、最後はやはり途中出場の日本代表SH(スクラムハーフ)齋藤直人がトライ。27分にもWTBリー、29分にCTB中村とトライを重ねて60-34として勝負を決めた。
終盤に東京サンゴリアスのLOハリー・ホッキングスがシンビンで10分間の一時的退場となり、ブレイブルーパス東京がLOディアンズ、CTB中尾隼太のトライで追い上げるも、結局、ホストの東京サンゴリアスが60-46で開幕戦を白星で飾った。
ジャパンラグビー リーグワン ディビジョン1
【第1節ハイライト】東京サンゴリアス vs. 東芝ブレイブルーパス東京
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはハットトリックを達成、勝利に貢献した東京サンゴリアスNO8マクマーンが選出された。
ミルトン・ヘイグHC
開幕戦でライバルに勝利した東京サンゴリアスのミルトン・ヘイグHC(ヘッドコーチ)は、「(新リーグの開幕戦という)独特な緊張感もある中で、勝利できたことは収穫。7トライで60得点取れたことに関しては満足している部分です」と安堵した。
その一方で、「課題も多く見えた試合。特にディフェンス面での課題があったと感じています。あと自陣から脱出するところで、少しディシプリンが足りない場面があったので、そのあたりが修正すべきポイントと感じています」と反省も忘れなかった。
キャプテンのCTB中村も「いい意味でも悪い意味でも、開幕戦でまだチームが完成していない中、自分たちの強みは出ていましたが課題も見えた。そういう意味では全体的にいいゲームだった。シーズンは長いですが、毎週、課題をクリアにして自分たちの強みを出して、最後のファイナルまで向かっていければ」と先を見据えた。
FBダミアン・マッケンジー
この日が日本デビュー戦となり、5本のPGと5本のコンバージョンを決め、80分間フル出場したFBマッケンジーは「初めての試合でたくさんの観客の方の前でプレーできたことがすごく嬉しかったです」と笑顔を見せた。
さらに「自分がもっとリーグワンのスピード感にしっかりアジャストしていかないといけないと感じましが、自分はこのテンポの速いグビーがあうと思っているので、ちょっとずつそこにアジャストして学んで、うまくプレーできるようにしていきたい」と語った。
一方、敗れた東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダーHCは「規律の部分で、繰り返しペナルティを与えてしまい勢いを失った」と敗因を語りつつも、「前のシーズンより良くなっている部分が見られている。学ぶものが多かった。これを活かして次の準備をしたい」と一定の評価を与えていた。
トッド・ブラックアダーHC
また、デビュー戦でトップリーグ時代も含めて最年少トライを決めたLOディアンズについて、元ニュージーランド代表選手だった指揮官は「ニュージーランドに送り返した方が良かったと思います(苦笑)」と冗談を言いながらも、「信頼して先発させた。日本代表に加わりインテンシティの高い環境ですごく成長した。今日のプレーでも自信をつけることもできた。19歳の頃の(ニュージーランド代表LO)サム・ホワイトロックのよう」と手放しで褒めた。
SH小川高廣共同主将は「自分たちはアタックに自信を持っていて、サンゴリアスもアタックに自信を持っているチームだったので、どっちがより多く、アタックができるかだった。だが、自分たちのディシプリンのところで、それができなくなってしまったので修正していきたい」と振り返った。
白星スタートを切った東京サンゴリアスは、次節もホストゲームとなり、1月16日(日)、再び、東京・味の素スタジアムでトヨタヴェルブリッツを迎える。一方のブレイブルーパス東京は、1月15日(土)に、大阪のヤンマースタジアムでNTTドコモレッドハリケーンズ大阪とあいまみえる。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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